World Heritage Sites

世界遺産一覧

(執筆協力:大津 綾野)

アフロディシアス

Aphrodisias
アフロディシアス
アフロディシアスは、トルコの南西部、モルシナス渓谷の上流にあり、都市遺跡とその北東部にある大理石の採石場で構成されています。古くはレルゴノポリス、メガロポリスと呼ばれていましたが、紀元前2世紀にローマ帝国の支配が強化されたことで、この街は神聖な場所としての重要性を増し、美、愛、自然、豊かさの女神アフロディーテに由来してアフロディシアスの名前が付けられました。街の中心には、女神を祀ったアフロディーテ神殿つくられ、現在も堂々とした14本の柱を見ることができます。発掘調査によると、劇場の壁に書かれた文字に「カエサルから女神アフロディーテに贈った黄金のエロス像」とあることから、カエサルはこの街に来て女神に忠誠を捧げたと考えられています。
地域: 西・南アジア / 国名: トルコ共和国 / 分類: 文化遺産 / 登録年: 2017年 / 登録基準: (ii)(iii)(iv)(vi)
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オーストラリアの哺乳類の化石保存地区

Australian Fossil Mammal Sites (Riversleigh / Naracoorte)
オーストラリアの哺乳類の化石保存地区
オーストリア大陸は、かつて存在したと考えられているゴンドワナ大陸から分裂してできた大陸で、数億年前は森と湖が広がる場所で、そこに生息する動物は巨大だったことが分かっています。太古に生息していた動植物は、大陸が他の地域から切り離されたために、独自の進化を遂げていきました。オーストラリア南部のナラコートと北部のリヴァーズレーでは、哺乳類の進化に関わる重要な化石が数多く発掘されており、最古のものは約1,000万~3,000万年前にまでさかのぼります。
地域: オセアニア / 国名: オーストラリア連邦 / 分類: 自然遺産 / 登録年: 1994年 / 登録基準: (viii)(ix)
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オロモウツの聖三位一体記念柱

Holy Trinity Column in Olomouc
オロモウツの聖三位一体記念柱
チェコ東部の北モラヴィア地方のオロモウツ旧市街、ホルニー広場にそびえ立つ聖三位一体記念柱は、中央ヨーロッパを代表する宗教的記念碑のひとつです。18世紀初め、この地方を襲ったペストの終息に対して記念柱を建てることを考えたオロモウツ市民は、当時すでにあった別の記念柱よりも素晴らしいものを作りたいと考えました。そこで1714年、建築家ヴァーツラフ・レンダーと弟子たちが、高さ約35mの聖三位一体記念柱の建築を始めました。レンダーの死後も建築が続けられ、1754年の完成を祝う献堂式には女帝マリア・テレジアが臨席しています。この記念柱はオロモウツ市民の大きな誇りとなり、プロイセン軍に街が包囲された時には、市民が敵方の将軍に聖三位一体記念柱を撃たないよう直談判に行くほどでした。将軍はその訴えを聞き入れて記念柱は破壊されずに残り、現在もその美しい姿を見ることができるのです。
地域: ヨーロッパ / 国名: チェコ共和国 / 分類: 文化遺産 / 登録年: 2000年 / 登録基準: (i)(iv)
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カトマンズの谷

Kathmandu Valley
カトマンズの谷
ネパールの首都カトマンズは、標高約1,350mの盆地に位置し、古くからチベットとインドを結ぶ交易と文化の要衝として栄えてきました。仏教とヒンドゥー教が融合することで独特の宗教文化が生まれ、直径約20㎞の範囲内に約900もの歴史的建造物が密集しています。14世紀に確立したマッラ王朝は、15世紀後半に3人の王子がカトマンズ、パタン(ラリトプル)、バクタプル(バドガオン)にそれぞれ王国を築き、栄華を競うように宮殿や寺院、堂塔などを建設しました。これらの建造物には芸術性の高い彫刻が多く見られ、独特の建築や工芸は「ネワール文化」と呼ばれています。3つの王国は18世紀にグルカ王国によって滅ぼされましたが、その後も優れた建築物は造られ続けました。2015年のネパール大地震で大きな被害を受け、現在も修復作業が進められています。
地域: 西・南アジア / 国名: ネパール / 分類: 文化遺産 / 登録年: 1979年 / 登録基準: (iii)(iv)(vi)
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ギョベクリ・テペ

Göbekli Tepe
ギョベクリ・テペ
ギョベクリ・テペは、文明発祥の地とされるメソポタミア地域に位置し、アナトリア南東部シャンルウルファ県オレンジク村の近くにある遺跡です。ここでは、新石器時代の神殿と考えられている巨石建造物が発見されています。1994年、ドイツ考古学研究所によるの発掘調査の結果、人類がまだ狩猟採集の生活を営んでいた約1万1,500年前に、世界で最も古い信仰の痕跡が見られることが分かりました。それまでの研究では、農耕が始まることで人類が定住生活を送るようになり、貧富の差がうまれ、やがて宗教的権力者が現われ、神殿が建てられるという文明発達の過程が定説とされてきました。狩猟採集の時代、人々は食料を求めて移動生活を送っていたため、大規模な建造物は存在しないとされていたのです。しかし、ギョベクリ・テペの発見はこの定説を覆し、農耕が始まる以前から神殿を建設するほど発達した文明の存在を示しているのです。
地域: 西・南アジア / 国名: トルコ共和国 / 分類: 文化遺産 / 登録年: 2018年 / 登録基準: (i)(ii)(iv)
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グアダラハラの救貧施設

Hospicio Cabañas, Guadalajara
グアダラハラの救貧施設
19世紀初期、メキシコ中西部の都市グアダラハラに、孤児や高齢者、障害者など、恵まれない人々のための施設が建設されました。この救貧施設は「オスピシオ・カバーニャス」と呼ばれた新古典主義の建物で、平面は幅164m、奥行き145mの長方形をしており、高さが7.5mある内部はバリアフリーの設計になっています。建物内部の壁や天井は、1920年代に興ったメキシコ壁画運動の一環として制作された壁画で覆われています。なかでも、併設された教会の主礼拝堂のドーム型天井を飾る『炎の人』は、壁画運動の推進者であるホセ・クレメンテ・オロスコの最高傑作といわれています。
地域: 北米 / 国名: メキシコ合衆国 / 分類: 文化遺産 / 登録年: 1997年 / 登録基準: (i)(ii)(iii)(iv)
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クサントスとレトーン

Xanthos-Letoon
クサントスとレトーン
クサントスとレトーンは2つの隣り合った遺跡で、トルコ南西部アンタルヤ県とムグラ県の境界、地中海沿岸のリュキア地方にあります。海洋民族のリュキア人は、アナトリア、ギリシャ、ローマ、ビザンツの異なる時代の文明が混じり合った独自の文化を作り上げました。その政治的・宗教的中心地となったクサントスとレトーンには、岩や石柱にリュキア語とギリシャ語で書かれた文字が刻まれ、紀元前5世紀のクサントスの王子ケレイの人生や、彼らが使っていたインド・ヨーロッパ語族の言語を知る重要な手掛かりになっています。
地域: 西・南アジア / 国名: トルコ共和国 / 分類: 文化遺産 / 登録年: 1988年 / 登録基準: (ii)(iii)
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サンボー・プレイ・クックの寺院地区:古代イシャナプラの考古遺跡

Temple Zone of Sambor Prei Kuk, Archaeological Site of Ancient Ishanapura
サンボー・プレイ・クックの寺院地区:古代イシャナプラの考古遺跡
サンボー・プレイ・クックの寺院地区は、カンボジア中央部コンポントム州 に6世紀後半から7世紀前半にかけて栄えた真臘国(チャンラ王国)の都イシャナプラと呼ばれた場所にあります。イシャナプラはスタン・セン川やオー・クル・ケー川が流れる平野にあり、インドと中国とを結ぶ海上交易路の要所であったため、商業だけでなく宗教の中心地としても発展しました。サンボー・プレイ・クックという名前は、クメール語で「豊かな森の寺院」という意味で、7世紀初めに即位したイシャナヴァルマン1世は、この地に多くのヒンドゥー教の寺院が建てました。これらの寺院はアンコール・ワットよりも古く、プレ・アンコール期とされるクメール建築が生まれた初期の特徴がみられます。「空中宮殿(フライング・パレス)」や「怪魚マカラ」など遺跡に残る砂岩の彫刻は、サンボー・プレイ・クック様式と呼ばれています。100以上ある寺院遺跡の多くはレンガ造りで、そのうち10の寺院は東南アジアでは珍しい八角形の祠堂を持っています。約2㎞四方の環濠に囲まれた都城の中には、寺院だけでなく、水路や溜池などの水利施設、古い道などが残されています。しかし、これら遺跡の多くは熱帯の植物に覆われて倒壊の危機に瀕しており、修復・保存への取り組みが国際的協力のもとで進んでいます。
地域: 東・東南アジア / 国名: カンボジア王国 / 分類: 文化遺産 / 登録年: 2017年 / 登録基準: (ii)(iii)(vi)
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ビスカヤ橋

Vizcaya Bridge
ビスカヤ橋
スペイン北部バスク地方の港湾都市ビルバオ近郊のネルビオン川に架かるビスカヤ橋は、世界で初めてのゴンドラを使った運搬橋です。ポルトゥガレテとゲチョの2つの街を結ぶこの橋は、1893年に完成し、橋げたは全長160m、船の運航に支障がないよう水面から45mにあり、橋げたに吊るされた巨大なゴンドラに人や車などを乗せて対岸へ移動します。ビスカヤ橋のゴンドラは今も現役で稼働しており、約2分で対岸へ渡ることができます。
地域: ヨーロッパ / 国名: スペイン / 分類: 文化遺産 / 登録年: 2006年 / 登録基準: (i)(ii)
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ピュー族の古代都市群

Pyu Ancient Cities
ピュー族の古代都市群
ミャンマー中部に位置するピュー族の古代都市群は、紀元前200年頃から紀元後900年頃にかけて繁栄したピュー族の王国の遺跡です。ピュー族は、ビルマ族がこの地域に進出する以前からエーヤワディー川流域に居住していた、チベット=ビルマ系の民族です。ハリン、ベイッタノ、シュリ・クシェートラの3つの都市遺跡は、いずれもレンガ造りの城壁で囲まれており、内側には宮殿や埋葬地、ボーボージーパゴダと呼ばれる仏塔が残されています。城壁で街を囲み、中央に宮殿を配置する都市構造は、古代インドの宗教観に影響を受けたものと考えられています。交易の拠点として栄えたこの地域には、約2,000年前に東南アジアに伝来した仏教によって経済的・社会的・文化的な変化がもたらされました。文献記録によると、ピュー族の王国は東南アジア最古の仏教都市国家とされています。しかし、9世紀に入ると中国雲南地方を基盤に勢力を拡大した南詔からの攻撃を受け、急速に衰退しました。
地域: 東・東南アジア / 国名: ミャンマー連邦共和国 / 分類: 文化遺産 / 登録年: 2014年 / 登録基準: (ii)(iii)(iv)
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ブルー・アンド・ジョン・クロウ山脈

Blue and John Crow Mountains
ブルー・アンド・ジョン・クロウ山脈
ジャマイカ南東部に位置する『ブルー・アンド・ジョン・クロウ山脈』は、セント・アンドリュー、ポートランド、セント・トーマス、セント・メアリーの4つの教区にまたがる約263㎢の熱帯山岳雨林で構成されています。この地域は、2015年にジャマイカで初めての世界遺産(複合遺産)になりました。コーヒー豆の産地としても有名なブルー・マウンテンがあり、その標高は2,256mでジャマイカ最高峰です。
地域: 中米・カリブ海 / 国名: ジャマイカ / 分類: 複合遺産 / 登録年: 2015年 / 登録基準: (iii)(vi)(x)
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ブルノのトゥーゲントハート邸

Tugendhat Villa in Brno
ブルノのトゥーゲントハート邸
チェコ南部モラヴィア地方に第2の都市ブルノがあります。このチェルナー・ポレ地区に、1930年、ブルノの繊維業で財をなした富裕な実業家トゥーゲントハート夫妻の新居がつくられました。ドイツ人建築家ミース・ファン・デル・ローエの設計で、傾斜地に建てられたその3階建て邸宅は、玄関やプライベート空間が上階に、下階がリビングや食堂になっています。庭に向かった壁面は総ガラス張りで部屋と庭とが一体的になっており、メインフロアには壁がなく、仕切りと建築家ミース自身がデザインした家具によって空間に機能を持たせる開放的なつくりになっていて、世界四大邸宅建築のひとつに数えられています。
地域: ヨーロッパ / 国名: チェコ共和国 / 分類: 文化遺産 / 登録年: 2001年 / 登録基準: (ii)(iv)
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プレ山及びマルティニーク島北部の峻峰群の火山と森林

Volcanoes and Forests of Mount Pelée and the Pitons of Northern Martinique
プレ山及びマルティニーク島北部の峻峰群の火山と森林
フランスの海外県マルティニークは、カリブ海西インド諸島のウィンドワード諸島に位置し、プレ山やピトン山の火山活動によって形成された険しい山々が生み出す景観が広がる島です。標高1,397mのプレ山は、マルティニーク島で最も高い山です。1902年5月8日に発生したプレ山の大噴火は、当時マルティニークの県庁所在地だったサン・ピエールの街に壊滅的な被害をもたらし、20世紀で最も多くの犠牲者を出した火山災害とされています。火砕流を一方向に射出するプレ山特有の噴火様式は「プレ式噴火」と呼ばれ、火山活動の研究において重要な事例とされています。カリブ海に面した海岸から火山の山頂にかけては、生物多様性に富んだ熱帯雨林が広がり、マルティニーク・ボルケーノ・フロッグ(通称)やマルチニクムクドリモドキなど、絶滅の危機に瀕している固有種を見ることができます。
地域: ヨーロッパ / 国名: フランス共和国 / 分類: 自然遺産 / 登録年: 2023年 / 登録基準: (viii)(x)
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