World Heritage Sites

世界遺産一覧

(執筆協力:細谷 正文)

カフジ・ビエガ国立公園

Kahuzi-Biega National Park
カフジ・ビエガ国立公園
コンゴ民主共和国東部のルワンダとの国境地帯キヴ湖の西岸にある国立公園です。カフジ山(3,308m)とビエガ山(2,790m)という2つの死火山を中心としたエリアに広がる原生熱帯林地域で、広さは60万haに及びます。この国立公園は1970年にヒガシローランドゴリラを保護するために設けられたもので、現在は標高2,000m付近に250頭ほどが生息しています。ヒガシローランドゴリラのオスはその背中の色から「シルバーバック」と呼ばれ人気があり、1980年代に多くの観光客が来園しましたが、その人間たちの持ち込んだ感染症により多数のゴリラが死亡するという事態が起こりました。また、近年は内戦等により生息環境が悪化しており、危機遺産に指定されています。
地域: アフリカ / 国名: コンゴ民主共和国 / 分類: 自然遺産 / 登録年: 1980年 / 登録基準: (x)
詳細ページを見る Arrow-right

カミ遺跡

Khami Ruins National Monument
カミ遺跡
この遺跡はジンバブエで二番目に大きな石造建築の遺跡で、標高1,300mのジンバブエ高原の西部に位置しています。近くにカミ川が流れるこの地には先史時代より人類が住んでいたといわれますが、15世紀の中頃、大ジンバブエを放棄したロズウィ族がここに移住し、トルワ王朝を興して新たな都市を建設しました。時代としては、大ジンバブエ時代と後期ジンバブエ時代の間になります。建造物は、花こう岩を直方体に切り出して交互に積み重ねて建てられており、モルタル等を使わない精巧な石積みの技術が特徴です。この遺跡からは、中国の青磁や白磁、ヨーロッパ各国の陶器類が出土しており、この一帯から産出される金をもとに広範囲の国々と交易をおこなっていたことがわかります。また、ポルトガルの宣教師が作ったとされる花こう岩の十字架も残されているなど、ここは数少ない未盗掘の遺跡としても貴重です。
地域: アフリカ / 国名: ジンバブエ共和国 / 分類: 文化遺産 / 登録年: 1986年 / 登録基準: (iii)(iv)
詳細ページを見る Arrow-right

ガリ

K’gari
ガリ
オーストラリア大陸の東海岸にある南北約120kmにわたる世界最大の砂の島です。大陸の東部にあるグレート・ディヴァイディング山脈から風化で削られた砂が飛んできて堆積して形成されました。砂丘は海鳥たちの生息地となり、鳥たちにより運ばれた種子が芽吹いて成長し、森が広がり安定した台地となりました。この島にはアボリジナル・ピープルの人々が約4万年前に初めて居住したと考えられています。先住民バジャラ族は、島を「天国」という意味の「ガリ」と呼びました。19世紀半ばに木材資源が豊富にあることが知られ、それを目的とするヨーロッパ人が大挙して来島しました。20世紀になると製材所や鉄道なども造られ、島の自然は荒廃していきましたが、1991年に伐採が全面的に停止されました。また、1976年には採掘も終了し、環境回復が進められています。
地域: オセアニア / 国名: オーストラリア連邦 / 分類: 自然遺産 / 登録年: 1992年 / 登録基準: (vii)(viii)(ix)
詳細ページを見る Arrow-right

カンチェンジュンガ国立公園

Khangchendzonga National Park
カンチェンジュンガ国立公園
インド北部シッキム州のヒマラヤ山脈に位置する『カンチェンジュンガ国立公園』は、標高8,586mの世界第3位の高峰カンチェンジュンガを中心とする国立公園です。標高差は最大でおよそ7.3km(標高1,220m〜8,586m)もあり、ヒマラヤ山脈の中でも非常に急峻な地形が特徴です。この高度差によって気候や降水量の違いが生じ、亜熱帯から高山地帯まで多彩な生態系を有しています。園内には非常に多様な動植物が生息しており、固有種や希少種の多さも評価されています。また、多数の湖や氷河が点在しており、その中には全長26kmのゼム氷河も含まれます。
地域: 西・南アジア / 国名: インド / 分類: 複合遺産 / 登録年: 2016年 / 登録基準: (iii)(vi)(vii)(x)
詳細ページを見る Arrow-right

キーウ:聖ソフィア聖堂と関連修道院群、キーウ・ペチェルーシク大修道院

Kyiv: Saint-Sophia Cathedral and Related Monastic Buildings, Kyiv-Pechersk Lavra
キーウ:聖ソフィア聖堂と関連修道院群、キーウ・ペチェルーシク大修道院
9~13世紀にキリスト教圏の東端で栄えたキエフ大公国(キーウ・ルーシ)が首都キーウに残したキリスト教関連の建築物群です。キエフ大公国は10世紀末にギリシャ正教を国教として公認し、ビザンツ様式の教会や修道院が数多く建てられました。キーウの中心部にある聖ソフィア聖堂はキーウ・ルーシ全盛期の11世紀にヤロスラフ賢公によって建設されたキーウ最古の聖堂です。後にロシア各地の聖堂建築に影響を及ぼしたことから、「ロシア聖堂の母」と呼ばれます。郊外の高台に立つキーウ・ペチェルーシク大修道院はやはり11世紀に建設され、宗教・学問・教育の広い分野で中世ロシア有数の「知の中心」でした。13世紀にモンゴル軍により破壊されましたが、19世紀になって再興されました。世界遺産には、ペレストヴォ地域にある救世主聖堂も併せて登録されています。
地域: ヨーロッパ / 国名: ウクライナ / 分類: 文化遺産 / 登録年: 1990年 / 登録基準: (i)(ii)(iii)(iv)
詳細ページを見る Arrow-right

クエンカのサンタ・アナ・デ・ロス・リオス歴史地区

Historic Centre of Santa Ana de los Ríos de Cuenca
クエンカのサンタ・アナ・デ・ロス・リオス歴史地区
クエンカのサンタ・アナ・デ・ロス・リオス歴史地区はエクアドル南部、キトの南約300㎞、標高2,580mの高地にあります。ここは1557年にスペインのカルロス5世の命で建設された植民都市で、ラテンアメリカにおけるスペインの都市計画(ルネサンス様式)の代表的な例です。ここには先住民インカ・カナリ族が住んでいましたが、彼らの文化とこの地の気候風土にスペイン建築を融合させ、独特の様式となりました。主要な建物としては、新旧の大聖堂、サント・ドミンゴ教会そしてカルメル会修道院があります。この街は19世紀に抗マラリア薬の「キニーネ」とパナマ帽の生産と輸出で繁栄しました。
地域: 南米 / 国名: エクアドル共和国 / 分類: 文化遺産 / 登録年: 1999年 / 登録基準: (ii)(iv)(v)
詳細ページを見る Arrow-right

グラン・プレの景観

Landscape of Grand Pré
グラン・プレの景観
ここはカナダ東部ノヴァスコシア州のミナス湾の湿原帯と考古遺跡群で、広さは13㎢以上あります。ここには17世紀にフランス系入植者(アカディア人)が環境に適応して農地開発を進めてきた歴史が残されています。彼らは世界で最も干満差が激しい(平均11.6m)といわれるこの地に、堤防や木製水門システム(アボトー)を用いて広大な干拓農地をつくり出しました。さらに、その土地区画の方法や作物栽培法は何世紀にもわたって受け継がれ、彼らの生活様式の跡と合わせて、きわめて重要な考古学的遺跡ともなっています。アカディア人は1755年のグラン・デランジュマンと呼ばれる出来事でこの地を追放されてしまいましたが、彼らの入植と農地開発の象徴的な風景が残されています。
地域: 北米 / 国名: カナダ / 分類: 文化遺産 / 登録年: 2012年 / 登録基準: (v)(vi)
詳細ページを見る Arrow-right

グレート・バリア・リーフ

Great Barrier Reef
グレート・バリア・リーフ
グレート・バリア・リーフは、オーストラリアの北東部の海岸沿いに広がる世界最大級のサンゴ礁です。全長は約2,300km、面積約35万㎢もの大きさで、多くのサンゴや魚類などが生息しており、一帯は先住民アボリジナル・ピープルの漁場となっていました。1770年に探検家のジェームズ・クックがここで座礁したことから、その存在が知られるようになり、20世紀に入ってから本格的な調査が行われるようになりました。ここはサンゴ礁がまさに「バリア」となって外敵から守られているため、多くの海洋生物の安住の地であり、絶滅危急種のジュゴンやウミガメ類が生息しています。
地域: オセアニア / 国名: オーストラリア連邦 / 分類: 自然遺産 / 登録年: 1981年 / 登録基準: (vii)(viii)(ix)(x)
詳細ページを見る Arrow-right

グレート・ヒマラヤ国立公園保護地区

Great Himalayan National Park Conservation Area
グレート・ヒマラヤ国立公園保護地区
ここはヒマラヤ山脈西部の約90,000haに広がる国立公園です。標高2,000mの谷あいの川の流域から6,000mの高山地帯まで広がり、標高に対応した独自の生態系が見られます。山頂部の万年雪や氷河の雪解け水はいくつもの川となって下流の森林や多様な生物を育み、遠くインダスの大河へ合流していきます。ここはインド亜大陸の熱帯性の生物と中央アジアの温帯性生物がモザイク状に生息し、ヒマラヤ山脈における生物多様性のホットスポットとなっています。鳥類ではハイイロジュケイや哺乳類ではジャコウジカなどの絶滅が危惧される貴重な生物もいます。
地域: 西・南アジア / 国名: インド / 分類: 自然遺産 / 登録年: 2014年 / 登録基準: (x)
詳細ページを見る Arrow-right

ケオラデオ国立公園

Keoladeo National Park
ケオラデオ国立公園
インド北西部のラジャスタン州にある渡り鳥の保護区です。この地にあるシヴァ神を祀った寺院にちなんでケオラデオ(केवलादेव)と名づけられました。広さは2,873haで、湿地や森林、草原がモザイク状にひろがり、その9割は沼沢地です。北からの渡り鳥の飛行路の途中にあり、水場が豊富なため、冬にはカモ、ガン、ペリカン、シギ等の大群が飛来します。絶滅危惧種であるソデグロツルにとっての越冬地としても知られ、約350種の野鳥が生息しています。元々は19世紀にこの地のマハラジャの狩猟場として整備されたところで、今は「鳥類の楽園」となっています。
地域: 西・南アジア / 国名: インド / 分類: 自然遺産 / 登録年: 1985年 / 登録基準: (x)
詳細ページを見る Arrow-right

コア渓谷とシエガ・ベルデの先史時代の岩絵群

Prehistoric Rock Art Sites in the Côa Valley and Siega Verde
コア渓谷とシエガ・ベルデの先史時代の岩絵群
ポルトガル北部を流れるドウロ川の上流域のコア渓谷と支流アグエダ川沿いのアグエダ渓谷(シエガ・ベルデ)には、2万年から1万年前の先史時代に描かれた岩絵(線刻画)が広い範囲に数多く残されています。コア渓谷では約5,000、シエガ・ベルデでは約440の動物の岩壁画があり、旧石器時代の壁画の特徴である、屋外・洞窟内とも同じ表現手法で描く方法が取られています。1998年にコア渓谷が世界遺産に登録され、2010年にシエガ・ベルデまで範囲拡大されました。これらは、旧石器時代にここで人々が生きた証拠であり、その芸術的創造性のすばらしさを示す事例です。
地域: ヨーロッパ / 国名: スペイン, ポルトガル共和国 / 分類: 文化遺産 / 登録年: 1998年 / 登録基準: (i)(iii)
詳細ページを見る Arrow-right

ゴアの聖堂と修道院

Churches and Convents of Goa
ゴアの聖堂と修道院
インド西部の港町「オールド・ゴア」と呼ばれる地には、多くのキリスト教の聖堂と修道院があります。ここは15世紀にビジャープル王国が建設した町でしたが、16世紀にポルトガルが占領し、ポルトガル領インドの行政府が置かれました。貿易で栄え、人口20万人以上の都市となります。16世紀の前半は目立ったキリスト教化は行われませんでしたが、16世紀半ば以降はヒンドゥー教寺院などが破壊され、キリスト教化が進みました。
地域: 西・南アジア / 国名: インド / 分類: 文化遺産 / 登録年: 1986年 / 登録基準: (ii)(iv)(vi)
詳細ページを見る Arrow-right

古代都市サーマッラー

Samarra Archaeological City
古代都市サーマッラー
イラクの首都バグダードの北西約130km、ティグリス川沿いに位置する『古代都市サーマッラー』は、9世紀にイスラム王朝のアッバース朝の首都として栄えた都市の遺跡です。当時アッバース朝は中央アジアから北アフリカまでを支配し隆盛を誇っていました。サーマッラーは、当時の都市遺跡としては現在唯一原形を残しているもので、都市計画の平面プランや数々の特徴的な建築物、彫刻やモザイクなどが残っています。また、イスラム教シーア派の聖地ともなっています。
地域: 西・南アジア / 国名: イラク共和国 / 分類: 文化遺産 / 登録年: 2007年 / 登録基準: (ii)(iii)(iv)
詳細ページを見る Arrow-right

古代都市チョガー・ザンビール

Tchogha Zanbil
古代都市チョガー・ザンビール
ここはイラン西部にある古代エラム王国の聖都遺跡です。チョガー・ザンビールとは「大きな籠のような山」という意味ですが、エラム語では「ドゥル・ウンタシュ(ウンタシュの都)」と呼ばれていました。紀元前13世紀にウンタシュ・ナビリシャ王によってエラム王国の宗教的中心地として建設されました。三重の巨大な城壁に囲まれ、中心にはインシュシナク神を祀る5層の聖塔ジッグラトが立っています。これは当時は一辺が105mで高さ53mの巨大な焼きレンガ造りのジッグラトでメソポタミア以外では最大規模のものといわれています。今はその半分の高さしかありません。壁面には楔形文字で神々の名が刻まれています。紀元前640年ごろアッシリアのアッシュールバニパル王により破壊され、それ以後放棄されていましたが、1935年の油田調査の際に発見され保存状態がきわめて良好なため、イラン最初の世界遺産となりました。
地域: 西・南アジア / 国名: イラン・イスラム共和国 / 分類: 文化遺産 / 登録年: 1979年 / 登録基準: (iii)(iv)
詳細ページを見る Arrow-right

コナーラクのスーリヤ寺院

Sun Temple, Konârak
コナーラクのスーリヤ寺院
インド東部ベンガル湾を望む地にあるヒンドゥー教の寺院です。13世紀に東ガンガ朝(オリッサ王国)の王ナラシンハ・デーヴァ1世により建造されました。4万7,000㎡の広大な敷地の中央に、高さ39mのピラミッド形の前殿(謁見の間)と19世紀に破壊された本殿(主聖殿)の基壇が残され、さらにその東側には、現在は屋根を失った舞楽殿が立っています。この寺院は全体が太陽神スーリヤの戦車に見立てられており、本殿基壇には直径3mの車輪彫刻12対計24輪が数頭の馬に引かれるように彫られています。
地域: 西・南アジア / 国名: インド / 分類: 文化遺産 / 登録年: 1984年 / 登録基準: (i)(iii)(vi)
詳細ページを見る Arrow-right

ゴレスタン宮殿

Golestan Palace
ゴレスタン宮殿
テヘランの歴史地区の中心部にある『ゴレスタン宮殿』は、テヘランで現存する最古の建物のひとつです。宮殿は、18世紀末に成立し、近代化を進めたガージャール朝の時代に建てられました。ペルシア伝統の芸術品や工芸品を配しながらも、西洋の建築技術やヨーロッパの建築様式を取り入れた建物です。敷地内の北側に位置するカーフ・エ・アスリー(本館)のタラー・エ・アイネは、別名「鏡の宮殿」と言われていて、壁から天井まで鏡でびっしりと飾られており、光を反射して空間全体が輝くかのように設計されています。室の居城や行政上の拠点としてだけでなく、ガージャール朝時代の建築と芸術の中心地としての側面も持ち合わせていました。
地域: 西・南アジア / 国名: イラン・イスラム共和国 / 分類: 文化遺産 / 登録年: 2013年 / 登録基準: (ii)(iii)(iv)
詳細ページを見る Arrow-right

コロニア・デル・サクラメントの歴史地区

Historic Quarter of the City of Colonia del Sacramento
コロニア・デル・サクラメントの歴史地区
ウルグアイ南西部、ラ・プラタ川河口の北岸にある港湾都市です。ここは1680年にポルトガルが建設した植民都市ですが、当時この地はスペイン領だったため、その後約100年間にわたり両国の領有権争いが続きました。そのため、ここにある建物はポルトガルとスペインの文化が融合したコロニアル様式となっています。また、ほとんどの建物が平屋建てで、2階建てのものはわずかにあるのみです。それは、町の景観を保つため、灯台と大聖堂(サンティシモ・サクラメント大聖堂)以外は平屋もしくは2階建て以下に制限されているからです。
地域: 南米 / 国名: ウルグアイ東方共和国 / 分類: 文化遺産 / 登録年: 1995年 / 登録基準: (iv)
詳細ページを見る Arrow-right

ゴンバデ・カーブース

Gonbad-e Qābus
ゴンバデ・カーブース
ゴンバデ・カーブースは、イラン北部にある、ズィヤール朝の首都だったゴルガン(またはジョルジャン)の近くに1,006年に建設された高さ53mの焼きレンガ造りの塔です。形はやや先細りの円筒形で先端部は円錐形となっています。内部は空洞で初期のムカルナス様式の装飾があり、壁の厚さは3m近くあります。土台部分の碑文にはアラビア語で「アミール・カーブース・ワシュムギール自身が生きている間に建設を命じた」と書かれており、この時期のズィヤール朝皇帝でアラビア詩人でもあったカーブースのための建造物であることがわかります。初期イスラム建築の革新的な設計と幾何学的で斬新なデザインは、これ以降イランだけでなく中東・中央アジアへと広まっていきました。建設1000年を迎えた後2012年に世界遺産に登録されました。
地域: 西・南アジア / 国名: イラン・イスラム共和国 / 分類: 文化遺産 / 登録年: 2012年 / 登録基準: (i)(ii)(iii)(iv)
詳細ページを見る Arrow-right

砂漠の城クセイル・アムラ

Quseir Amra
砂漠の城クセイル・アムラ
ヨルダン東部の砂漠地帯に8世紀初頭に隊商宿を増改築して建設されたウマイヤ朝時代の離宮の跡です。ここには謁見の間(応接ホール)とハンマームと呼ばれる浴場施設が非常に良好な状態で残されており、いずれも当時の世俗的な題材による絵画で飾られています。謁見の間の床はモザイクタイルで覆われ、天井には神話や踊り子などのフレスコ画が描かれています。浴場施設は脱衣所や温・冷水浴室の他にカルダリウムと呼ばれるサウナのような施設もあり、そこにはイスラム社会では珍しい裸婦や異教世界の図柄も見られます。また、半球形のドーム天井には平面以外に描かれたものとしては最古の現存する天文図があります。この施設は、カリフが居住するというだけでなく、この地の部族との交流を目的にしたものであることから、娯楽的・世俗的な要素も包含した、イスラム建築としては独特なものとなっています。
地域: 西・南アジア / 国名: ヨルダン・ハシェミット王国 / 分類: 文化遺産 / 登録年: 1985年 / 登録基準: (i)(iii)(iv)
詳細ページを見る Arrow-right

サリアルカ:北部カザフスタンの草原と湖群

Saryarka – Steppe and Lakes of Northern Kazakhstan
サリアルカ:北部カザフスタンの草原と湖群
中央アジアカザフスタンの北部イルティシュ川流域には淡水湖や塩湖が点在する湿地帯と草原が広がっています。総面積450,000haに及ぶこの地域は、絶滅が危惧されるソデグロヅルやハイイロペリカンなどの生息地としてきわめて貴重で、また「中央アジア・フライウェイ」と呼ばれる南アジアや西ユーラシアからシベリアへ向かう渡り鳥の飛行ルートの中継地かつ分岐地としてもたいへん重要な地です。テンギズ・コルガルジュン湖系は250万羽の雁をはじめとする1500万羽以上の渡り鳥の餌場となっています。また、密猟により個体数が激減し絶滅危惧種となったサイガと呼ばれるカモシカの仲間にとっても貴重な避難場所となっています。
地域: 西・南アジア / 国名: カザフスタン共和国 / 分類: 自然遺産 / 登録年: 2008年 / 登録基準: (ix)(x)
詳細ページを見る Arrow-right

サンガイ国立公園

Sangay National Park
サンガイ国立公園
エクアドルの中央部にある国立公園で、アンデス山脈の東側からアマゾン川上流域まで広がり、総面積は2,700㎢です。標高約800mから5,000mを越えるサンガイ火山山頂まで、標高差はなんと4,000mに及び、植物の垂直分布が見られます。また、ここには火山・氷河・雲霧林・湿原・熱帯雨林・湖沼や草原などが含まれ、まさにエクアドルの自然と生態系の全貌を見ることができます。絶滅危惧種のヤマバクや南米大陸唯一の熊であるメガネグマ、そしてアンデスコンドルなど希少な生物も多く生息しています。
地域: 南米 / 国名: エクアドル共和国 / 分類: 自然遺産 / 登録年: 1983年 / 登録基準: (vii)(viii)(ix)(x)
詳細ページを見る Arrow-right

シダーデ・ヴェーリャ、リベイラ・グランデの歴史地区

Cidade Velha, Historic Centre of Ribeira Grande
シダーデ・ヴェーリャ、リベイラ・グランデの歴史地区
アフリカ西部セネガルの西方沖合の大西洋に浮かぶ島国カーボ・ヴェルデには、15世紀半ばにポルトガルが建設した植民都市リベイラ・グランデがあります。1494年のスペインとのトルデシリャス条約により、アフリカにおける交易の独占権を得ていたポルトガルはここに交易の拠点として、ヨーロッパ諸国としては初の熱帯地域における植民都市を建設しました。しかし、その交易による富を狙って、他のヨーロッパ諸国から度々攻撃を受けることになり、要塞(サン・フェリペ要塞)も造られました。一方で文化の面では、植民政策や奴隷貿易の拠点であったことから、各地の文化が混ざり合い「クレオール文化」といわれる文化が花開きました。18世紀以降、都市は荒廃し「古い町」という意味のシターデ・ヴェーリャと呼ばれることになります。
地域: アフリカ / 国名: カーボヴェルデ共和国 / 分類: 文化遺産 / 登録年: 2009年 / 登録基準: (ii)(iii)(vi)
詳細ページを見る Arrow-right

シドニーのオペラハウス

Sydney Opera House
シドニーのオペラハウス
オーストラリアのシドニー湾に突き出た半島の先端ベネロング・ポイントに、1973年に建設されたコンサート・ホールとオペラ劇場他の複合施設です。国際的な設計コンペティションが行われ、選ばれたのはデンマーク人の建築家ヨーン・ウッツォンの設計案でした。白い貝殻を重ねたような彼の斬新なデザインは当時は奇異の目で見られたこともありましたが、いまでは「20世紀建築の傑作」と称されています。現代技術を駆使して建設されたこのオペラハウスは、創造性と革新性を兼ね備えた20世紀の偉大な建築作品であると言えます。
地域: オセアニア / 国名: オーストラリア連邦 / 分類: 文化遺産 / 登録年: 2007年 / 登録基準: (i)
詳細ページを見る Arrow-right

シベニクの聖ヤコブ大聖堂

The Cathedral of St James in Šibenik
シベニクの聖ヤコブ大聖堂
クロアチア南西部ダルマチア地方の沿岸部のシベニクには、15世紀前半から16世紀にかけて建造された聖ヤコブ大聖堂があります。ゴシック様式からルネサンス様式への過渡期であるこの時期は、北イタリアやトスカーナ地方との芸術交流が盛んであったため、その交流の影響を如実に物語るものとなっています。建造には3名の建築家が受け継いで担当し、ゴシックとルネサンスが見事に融合したヨーロッパ有数の大聖堂となりました。20世紀後半のユーゴスラビア内戦で大きな被害を受けましたが、現在は完全に修復されています。
地域: ヨーロッパ / 国名: クロアチア共和国 / 分類: 文化遺産 / 登録年: 2000年 / 登録基準: (i)(ii)(iv)
詳細ページを見る Arrow-right

ジャイプールのジャンタル・マンタル-マハラジャの天文台

The Jantar Mantar, Jaipur
ジャイプールのジャンタル・マンタル-マハラジャの天文台
18世紀初頭、ラージプート諸国の一つアンベール王国の藩王(マハラジャ)であったサワーイー・ジャイ・シング2世が建設した天体観測施設群です。彼は科学者でもあったので、山上のアンベール城から平地のジャイプールへ遷都するタイミングで、自身の居城シティ・パレスの一角に観測施設をつくりました。彼は他の北インドの領地5カ所にも同様の観測施設をつくりましたが、ここジャイプールのものが最も規模が大きく、かつ完全な形で保存されています。なお、ジャイ・シング2世が整備した新都ジャイプールは、『ラジャスタン州のジャイプール市街』として世界遺産に登録されており、ジャンタル・マンタルも含まれています。
地域: 西・南アジア / 国名: インド / 分類: 文化遺産 / 登録年: 2010年 / 登録基準: (iii)(iv)
詳細ページを見る Arrow-right

シャフリサブズの歴史地区

Historic Centre of Shakhrisyabz
シャフリサブズの歴史地区
ウズベキスタン南東部のシャフリサブズは、古代にはケシュまたはキシュ(心休まる地)と呼ばれた、中央アジアでも最古の歴史をもつ都市のひとつです。紀元前1千年紀には農耕集落が存在していたことが判明しています。シルク・ロードの交易の主役であったソグド人の活動により発展し、その繁栄は玄奘の「大唐西域記」にも記されています。この地域がイスラム化した後はサマルカンドやブハラといった近隣の都市の発展により衰退していきました。
地域: 西・南アジア / 国名: ウズベキスタン共和国 / 分類: 文化遺産 / 登録年: 2000年 / 登録基準: (iii)(iv)
詳細ページを見る Arrow-right

シャフリ・ソフタ

Shahr-i Sokhta
シャフリ・ソフタ
シャフリ・ソフタはペルシャ語で「焼けた街」という名の遺跡です。ここは青銅器時代からの交易路上の中継地点で、イラン東部で最も早く建設された都市です。紀元前3,200年ごろから建設され、建材は日干しレンガです。都市の内部は「モニュメント区域」「居住区域」「製造区域」「埋葬区域」の4つのエリアに区分され、非常に機能的な都市だったようです。乾燥した気候のため各区域とも保存状態は良好です。都市は紀元前1,800年ごろ突然消滅しました。原因は水系の変化や気候変動だといわれています。ここは石器時代後期から青銅器時代の西アジアの都市の様相がわかる稀有な遺跡です。
地域: 西・南アジア / 国名: イラン・イスラム共和国 / 分類: 文化遺産 / 登録年: 2014年 / 登録基準: (ii)(iii)(iv)
詳細ページを見る Arrow-right

シャンティニケタン

Santiniketan
シャンティニケタン
インド東部西ベンガル州の農村部に、詩人で哲学者のラビンドラナート・タゴールが1901年に設立した寄宿制の学校兼芸術センターがあります。1921年にはヴィシュヴァ・バーラディ大学(世界大学)となり、タゴールの「人類の一体化」という理念を象徴する存在となっています。タゴールはアジア人として最初のノーベル文学賞を受賞し、さらにインド国歌の作詞作曲をするなど、インドの国民的偉人です。彼は「世界が一つのカゴとなる」という宗教的文化的境界を超えた人類の統一・一体化という思想をここに具現化しようとしました。この学校では、屋外授業・農村での労働と生活・芸術制作などを通じ、すべてが調和した環境下で教育・自然・芸術を組み合わせた「総合芸術」を指向しました。
地域: 西・南アジア / 国名: インド / 分類: 文化遺産 / 登録年: 2023年 / 登録基準: (iv)(vi)
詳細ページを見る Arrow-right

シューシュタルの歴史的水利システム

Shushtar Historical Hydraulic System
シューシュタルの歴史的水利システム
イラン西部にあるシューシュタルは古代ペルシャ帝国(アケメネス朝)のダレイオス1世の時代にパサルガダエから遷都されたスーサを起源とする都市で、古代以来の要衝の地です。紀元前5世紀のアケメネス朝時代の基盤の上に、紀元3世紀のササン朝ペルシャの時代になって築かれたのがこの水利システムです。シューシュタルはカルン川の中州に位置し、ササン朝の夏の都でした。ここに造られた水利施設は、古代エラム文明やメソポタミアの技術を受け継ぎ、さらにはナバテア人やローマの土木建築など様々な専門知識と技術を受け継いだものです。
地域: 西・南アジア / 国名: イラン・イスラム共和国 / 分類: 文化遺産 / 登録年: 2009年 / 登録基準: (i)(ii)(v)
詳細ページを見る Arrow-right

ジョギンズの化石断崖群

Joggins Fossil Cliffs
ジョギンズの化石断崖群
カナダ東部ノヴァスコシア州沿岸の化石断崖で、広さは6.89㎢に及びます。3億5,400万年~2億9,000万年前の石炭紀の化石の宝庫で、「石炭紀のガラパゴス」とも呼ばれています。特に石炭紀後期のペンシルベニア紀の地層が広範囲に見られ、この時期の生物の完全な化石記録といわれています。最古の爬虫類の一つと考えられているヒロノムスの化石を始めとして96属148種の化石と20種類の足跡群が確認されており、地球の歴史と生物進化を示す重要な場所です。また、ここは比較的アクセスしやすいということもあり、世界中の研究者が訪れています。
地域: 北米 / 国名: カナダ / 分類: 自然遺産 / 登録年: 2008年 / 登録基準: (viii)
詳細ページを見る Arrow-right