World Heritage Sites

世界遺産一覧

(1979年登録)

アウシュヴィッツ・ビルケナウ:ナチス・ドイツの強制絶滅収容所(1940-1945)

Auschwitz Birkenau German Nazi Concentration and Extermination Camp (1940-1945)
アウシュヴィッツ・ビルケナウ:ナチス・ドイツの強制絶滅収容所(1940-1945)
アウシュヴィッツ・ビルケナウは、ナチス・ドイツがユダヤ人を中心とする民族の絶滅を目的に設立した最大の強制収容所であり、ホロコーストの象徴的な現場です。1940年にポーランドのオシフィエンチムに設立され、1942年から1944年にかけて、ユダヤ人を中心に約150万人が組織的に殺害されました。この場所が選ばれた理由は、鉄道での輸送・運搬が容易で、周囲からの隔離が比較的簡単にできること、そしてナチス・ドイツが考える劣等民族をドイツ本国内に入れないようにするためでした。この地にて殺害された人の大半はユダヤ人だったとされ、他にも政治犯や犯罪者、精神や身体に障害のある人、ロマなどの少数民族なども命を落としました。この収容所は、20世紀における人類の残酷さの象徴です。
地域: ヨーロッパ / 国名: ポーランド共和国 / 分類: 文化遺産 / 登録年: 1979年 / 登録基準: (vi)
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イスファハーンのイマーム広場

Meidan Emam, Esfahan
イスファハーンのイマーム広場
1598年、サファヴィー朝の第5代王アッバース1世(在位:1588~1629年)は首都をイスファハーンに定め、壮大な都市建設に着手しました。旧市街に隣接して新市街を建設し、その新旧をつなぐ地に築かれたのがイマーム広場です。南北510m、東西160m、面積約9万㎡の広大な長方形の広場は、上下2層構造の回廊アーケードで囲まれており、1階部分には現在も店舗などが入っています。また、アーケードの4辺にはそれぞれ重要な建造物が配置され、東にシェイフ・ロトフォッラー・モスク、西にアリー・カプー宮殿、南にイマーム・モスク、北にはバザールの入口となるカイセリーヤ門があります。現在では芝生や池が配され公園のようになっていますが、元は一面砂地の平らなグラウンドで、各種の儀式やペルシア発祥のポロ競技、さらには公開処刑などが行われていました。1979年のイラン革命以後は「王(シャー)」という名称をやめ、イスラムの宗教指導者を意味する「イマーム」という名を冠して呼ぶようになりました。ペルシア語では「世界の写絵」を意味するナクシェ・ジャハーン広場とも呼ばれています。
地域: 西・南アジア / 国名: イラン・イスラム共和国 / 分類: 文化遺産 / 登録年: 1979年 / 登録基準: (i)(v)(vi)
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イワノヴォの岩窟教会群

Rock-Hewn Churches of Ivanovo
イワノヴォの岩窟教会群
ブルガリア北東部、ルセンスキー・ロム川の渓谷にあるイワノヴォ村の周辺には、岩をくり抜いて造られた石窟教会や礼拝堂、修道院、修行僧の住居などの複合施設が広がっています。隠者たちがこの地の断崖に自らの住居や教会を掘り始めたのは、12世紀頃のことです。イワノヴォの教会群に描かれたフレスコ画は、14世紀の絵画とブルガリア中世美術における卓越した芸術性と感性を示していて、南東ヨーロッパのキリスト教美術における重要な成果です。
地域: ヨーロッパ / 国名: ブルガリア共和国 / 分類: 文化遺産 / 登録年: 1979年 / 登録基準: (ii)(iii)
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ヴェズレーの教会と丘

Vézelay, Church and Hill
ヴェズレーの教会と丘
現在はブルゴーニュの丘に静かに佇む小さな街にすぎないヴェズレーですが、かつては多くの巡礼者が訪れ、十字軍に向かう王たちが集うなどフランスの歴史の中にも登場する街でした。9世紀末にヴェズレーに教会が建てられると、マグダラのマリアの聖遺物が運び込まれたのをきっかけに、ヨーロッパ世界にとって重要な巡礼地となっていきます。11世紀になると、スペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼地の中継地として多くの巡礼者が訪れにぎわいました。そのため別の世界遺産『フランスのサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路』の構成資産にもなっています。
地域: ヨーロッパ / 国名: フランス共和国 / 分類: 文化遺産 / 登録年: 1979年 / 登録基準: (i)(vi)
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ヴィルンガ国立公園

Virunga National Park
ヴィルンガ国立公園
ヴィルンガ国立公園は、1925年にマウンテンゴリラの保護を目的として設立された、コンゴ民主共和国初の国立公園です。この国立公園は、アフリカ大地溝帯(グレート・リフト・バレー)にあるアルバーティーン地溝帯の中心に位置しています。アフリカでも屈指の活火山であるニアムラギラ火山と、富士山に近い標高3,470mのニイラゴンゴ火山があり、この二つの活火山でアフリカの歴史的な大噴火の5分の2が発生していることから、地質学的にも非常に重要な場所として世界遺産に登録されました。また、隣国ウガンダの世界遺産『ルウェンゾリ山地国立公園』にも隣接しており、山地林だけでなく、サバンナや氷河も広がっています。
地域: アフリカ / 国名: コンゴ民主共和国 / 分類: 自然遺産 / 登録年: 1979年 / 登録基準: (vii)(viii)(x)
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ヴェルサイユ宮殿と庭園

Palace and Park of Versailles
ヴェルサイユ宮殿と庭園
フランスの首都パリから20㎞ほどのところに位置するヴェルサイユ宮殿は、ルイ14世からルイ16世の時代までのフランス国王の居城でした。1661年にルイ14世の命で建造が始まると、数世代にわたる建築家や彫刻家、装飾家による建設と拡張が行われます。贅の限りを尽くして建てられたこの宮殿はフランス・バロック様式建造物の最高傑作というだけではなく、「太陽王」としてのルイ14世を象徴するとともに、フランスの絶対王政の最盛期を象徴する権威的な宮殿にもなりました。
地域: ヨーロッパ / 国名: フランス共和国 / 分類: 文化遺産 / 登録年: 1979年 / 登録基準: (i)(ii)(vi)
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ウルネスの木造教会

Urnes Stave Church
ウルネスの木造教会
ノルウェーの西海岸にあるソグネフィヨルドの更に奥まった場所に位置するルストラフィヨルドを見下ろす120mの崖の上に立つ、1130年代初頭に建造されたノルウェーで最古の木造教会です。一部の資材は以前この場所にあった教会のものを再利用していますが、木材のみを使用しており、屋根や柱などはもちろん半円アーチ構造の身廊部分もすべて木造となっています。
地域: ヨーロッパ / 国名: ノルウェー王国 / 分類: 文化遺産 / 登録年: 1979年 / 登録基準: (i)(ii)(iii)
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エヴァーグレーズ国立公園

Everglades National Park
エヴァーグレーズ国立公園
フロリダ半島の南端に位置するエヴァーグレーズ国立公園は、アメリカ最大の湿原地帯に広がっており、その総面積は愛媛県とほぼ同じ、約5,670?に及びます。この広大な湿原は、最終氷期の終わりに水没した平坦な海底が起源とされています。最大幅は約150kmにも達しますが、水深は平均してわずか30cmほどで、水源であるオキーチョビー湖から南方のフロリダ湾に向けて、1日に数cmから数十mのゆるやかな速度で水が流れています。湿原の上流部には、「ハンモック」と呼ばれるわずか数cmの高さの小島が点在しており、常緑高木や熱帯植物が繁茂しています。下流の海岸地帯では、淡水と海水が混ざり合う汽水域にマングローブ林が広がっています。エヴァーグレーズ国立公園では、海水と淡水、温帯と熱帯が交差することにより、極めて多様で複雑な生態系が形成されており、固有種を含む1,000種以上の植物と、アリゲーターおよびクロコダイルの2種のワニを含む700種以上の動物が生息しています。
地域: 北米 / 国名: アメリカ合衆国 / 分類: 自然遺産 / 登録年: 1979年 / 登録基準: (viii)(ix)(x)
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オフリド地方の自然及び文化遺産

Natural and Cultural Heritage of the Ohrid region
オフリド地方の自然及び文化遺産
オフリド湖は、北マケドニア最高峰であるコラブ山などの高峰のふもとに位置し、地殻変動によって形成された深くて古い湖です。およそ200万年から300万年にわたり、絶え間なく存在し続けてきました。ロシアのバイカル湖、アフリカのタンガニーカ湖と並び、世界最古の湖の一つとされています。湖は透明度が高く、冬でも凍結しないため、他の地域では絶滅した水生生物が残っています。藻類、渦虫類、巻貝、甲殻類、2種のマスを含む17種の固有魚類など、湖固有の動植物は200種を超えています。また、鳥類も豊富に生息しています。
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ガーナのベナン湾沿いの城塞群

Forts and Castles, Volta, Greater Accra, Central and Western Regions
ガーナのベナン湾沿いの城塞群
西アフリカ・ガーナのベナン湾沿いには、およそ500㎞にわたり城塞群が点在します。これは、15世紀末から18世紀末にかけてヨーロッパ人により築かれたものです。もとは、ポルトガルからの航海者たちが、この地の金鉱脈に目をつけ、交易拠点として建設したのが始まりです。ガーナは「黄金(ゴールド)海岸(コースト)」という呼び名があるほどの金の産地で、そのほかにも、象牙や香辛料などが取引されていました。やがて、スペイン人、デンマーク人、スウェーデン人、オランダ人、ドイツ人、イギリス人も交易に参入し、覇権争いが繰り広げられることになります。そのような歴史のなかで築かれた城塞は60にも及びました。そのうちの3分の1程度が現存し、博物館や学校として活用されているものもあります。
地域: アフリカ / 国名: ガーナ共和国 / 分類: 文化遺産 / 登録年: 1979年 / 登録基準: (vi)
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カイロの歴史地区

Historic Cairo
カイロの歴史地区
現在のエジプトの首都カイロは、7世紀にアラビアから攻めてきたイスラム・アラブ軍の軍事拠点フスタートを起源とします。10世紀の中頃にファーティマ朝がここに新都市を建設し、そこを「勝利者の都市(ミスル・アル・カーヒラ)」と名づけました。カーヒラの英語読みが「カイロ」です。その後交易等で発展し、政治・経済の面だけでなく、イスラム教の学問と芸術の中心地となりました。13世紀のマムルーク朝の時代にはさらに発展をとげ、町中にモスクやミナレットが建設され「1,000のミナレットが立つ街」と呼ばれました。
地域: アフリカ / 国名: エジプト・アラブ共和国 / 分類: 文化遺産 / 登録年: 1979年 / 登録基準: (i)(v)(vi)
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カザンラクのトラキア人の古墳

Thracian Tomb of Kazanlak
カザンラクのトラキア人の古墳
ブルガリア中部のカザンラクにあるトラキア人の古墳は、紀元前4世紀末頃のヘレニズム時代のものです。古代トラキア人のオドリュサイ王セウテス3世が建設した首都セウトポリスの近くに位置し、大規模なトラキア人のネクロポリスの一部です。ネクロポリスとは、巨大な墓地や埋葬場所のことです。トラキアの埋葬儀式や文化を表す壁画で飾られていて、これらの壁画は、ブルガリアで最も保存状態の良いヘレニズム時代の傑作です。とりわけ、葬送儀式の様子を描いた天井画は、紀元前6~前3 世紀にかけて花開いたトラキア芸術の最高峰とされ、同時にトラキア人を知る上で重要な史料となっています。まだ多くの謎が残る遺跡でもあります。
地域: ヨーロッパ / 国名: ブルガリア共和国 / 分類: 文化遺産 / 登録年: 1979年 / 登録基準: (i)(iii)(iv)
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カルタゴの考古遺跡

Archaeological Site of Carthage
カルタゴの考古遺跡
フェニキア人によって建設されたカルタゴは、チュニス湾とその周囲の平野を見下ろす丘に位置し、紀元前6世紀から後2世紀ごろにかけて繁栄した広大な考古学的遺跡です。ローマ時代のアフリカ属州の首都として、カルタゴは古代において重要な商業帝国の役割を果たしました。長いポエニ戦争の間、カルタゴはローマの領土を占領しましたが、最終的に146年にローマによって破壊されました。その後、ローマ人が古代都市を、カルタゴの遺跡の上に再建しました。フェニキア、ローマ、キリスト教、アラブ文化が次々と融合し、開花する特別な場所として、この大都市とその港は地中海で広範な交流を促進しました。カルタゴはハンニバルという戦士かつ策略家、探検家ハノン、有名な農学者マゴンを輩出しました。また、その歴史的・文学的な名声を通じて、カルタゴは常に世界的な想像力をかき立ててきました。カルタゴの主要な構成要素には、ビュルサの丘、プニック港、プニック・トフェット、ネクロポリス、劇場、円形劇場、サーカス、住宅地、バシリカ、アントニヌス浴場、マラガ貯水池、そして考古学保護区域が含まれます。
地域: アフリカ / 国名: チュニジア共和国 / 分類: 文化遺産 / 登録年: 1979年 / 登録基準: (ii)(iii)(vi)
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グランド・キャニオン国立公園

Grand Canyon National Park
グランド・キャニオン国立公園
アメリカ西部のアリゾナ州を横断するグランド・キャニオンは、長年にわたるコロラド川の浸食作用と風化によってつくり出された、世界最大規模の渓谷です。全長は445km、深さは約1,500m、幅は500mから30kmにも及び、600万年にわたる地質活動の痕跡を現在に伝えています。この一帯の土地は、約6,500万年前に発生した地殻変動による造山活動によって隆起し、その結果としてコロラド高原が形成されました。約1,000万年前からは、軟らかい堆積層がコロラド川の浸食により削られ、約120万年前には現在の姿になったと考えられています。なお、この地域の隆起速度がコロラド川の浸食速度よりも遅かったため、川の流れが逸れることなく深い渓谷が形成されました。
地域: 北米 / 国名: アメリカ合衆国 / 分類: 自然遺産 / 登録年: 1979年 / 登録基準: (vii)(viii)(ix)(x)
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コトルの文化歴史地域と自然

Natural and Culturo-Historical Region of Kotor
コトルの文化歴史地域と自然
コトルはアドリア海に面したコトル湾に位置する港町です。古くからロヴツェン山という天然の要塞もあったことから、ローマ時代から争奪の対象となってきました。15世紀にヴェネツィア共和国の支配を受けますが、それ以前に建設された聖トリフォン大聖堂や宮殿など中世の面影も色濃く残っています。要塞都市としての景観だけでなく集落や宮殿、修道院、岩山の斜面の段々畑と海の景観とも調和した都市です。コトルは海洋交易によって栄え、何世紀にもわたり芸術活動の中心地であったため、コトルの美術や金細工、建築学校はアドリア海岸の芸術に深い影響を与えました。
地域: ヨーロッパ / 国名: モンテネグロ / 分類: 文化遺産 / 登録年: 1979年 / 登録基準: (i)(ii)(iii)(iv)
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サガルマータ国立公園

Sagarmatha National Park
サガルマータ国立公園
標高8,848mの世界最高峰サガルマータ(チベット語:チョモランマ、英語:エヴェレスト)を中心とした国立公園で、登録範囲の1,244㎢には壮大な山々や氷河、深い渓谷が広がっており、ユキヒョウやジャコウジカ、レッサーパンダといった希少動物も生息している。また、公園内の標高3,500~5,000m付近には2,500人を超えるシェルパ族の共通地域となっています。500年以上にもわたってこの地域に居住している彼らは、動物の狩猟や屠殺の禁止、あらゆる生き物への畏敬の念といった文化や慣習を受け継いでおり、国立公園の保全にも大きく貢献しています。
地域: 西・南アジア / 国名: ネパール / 分類: 自然遺産 / 登録年: 1979年 / 登録基準: (vii)
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シャルトルの大聖堂

Chartres Cathedral
シャルトルの大聖堂
シャルトル大聖堂は、13世紀初頭の宗教建築の中でも最も完全で、中世西ヨーロッパで最も人気のあった聖母マリアへの巡礼地として知られています。その建築と装飾の統一性、フランスを代表するゴシック建築であること、中世キリスト教美術に及ぼした巨大な影響により、シャルトル大聖堂は中世建築史における重要なランドマークとして位置づけられています。特に、12世紀と13世紀の際立ったステンドグラス群、記念碑的な彫刻は、シャルトル大聖堂をゴシック美術の中でも最も素晴らしく、最も保存状態の良い例の一つとしています。シャルトル大聖堂は1210年から1250年にかけて製作されたステンドグラスの窓の統一された装飾をほぼ完全に保存しています。これに加えて、王室の玄関の上に12世紀の3つのステンドグラスの窓、そして13世紀の3つのファサードに施された大きなバラ窓があります。これら3つのファサードの大きなバラ窓はそれぞれ西側が「最後の審判」、北側が「聖母の栄光」、そして南側が「キリストの栄光」と呼ばれています。
地域: ヨーロッパ / 国名: フランス共和国 / 分類: 文化遺産 / 登録年: 1979年 / 登録基準: (i)(ii)(iv)
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スタリ・ラスの遺跡とソポチャニの修道院

Stari Ras and Sopoćani
スタリ・ラスの遺跡とソポチャニの修道院
スタリ・ラスは、ラシュカ川とセベチェヴォ川の合流点近くの山岳地帯に位置し、セルビア王国の最初の首都となった都市です。丘の上のグラディナ要塞や麓のトゥルゴヴィシュテの待ちなど、9世紀頃から建造された建造物が残る考古学遺跡となっています。これらは、中世においてセルビア民族がスラヴ文化や他の民族の文化にもたらした独自の貢献を象徴しています。
地域: ヨーロッパ / 国名: セルビア共和国 / 分類: 文化遺産 / 登録年: 1979年 / 登録基準: (i)(iii)
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スプリトのディオクレティアヌス帝の宮殿と歴史的建造物群

Historical Complex of Split with the Palace of Diocletian
スプリトのディオクレティアヌス帝の宮殿と歴史的建造物群
クロアチア南部の港町スプリトには、ローマ皇帝ディオクレティアヌス帝(在位:284〜305年)が退位後に余生を過ごした宮殿が存在しました。ディオクレティアヌスは、軍人皇帝時代を終結させた後に専制君主政を始め、またローマ帝国最大かつ最後のキリスト教徒迫害を行ったことで知られている人物です。305年に帝国の再建を見届けると、故郷サロナ近郊のスプリトに造営していた宮殿に移り住みました。東京ドーム3分の2ほどの大きさを誇る広大な宮殿に、ディオクレティアヌスは11年間過ごしたと言われていますが、没後は帝国の衰退とともに宮殿は放置されました。
地域: ヨーロッパ / 国名: クロアチア共和国 / 分類: 文化遺産 / 登録年: 1979年 / 登録基準: (ii)(iii)(iv)
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聖都アブー・メナー

Abu Mena
聖都アブー・メナー
エジプト北部地中海岸のアレクサンドリアの南西45kmにある、古代エジプトにおけるキリスト教巡礼の中心地で、原始キリスト教の流れをくむコプト教の聖地です。3世紀にはローマ帝国によるキリスト教弾圧が強まり、ここで聖者メナスが殉教しました。その埋葬地がここです。キリスト教が後任された後、ビザンツ帝国歴代皇帝の庇護を受け、4~5世紀にかけ巡礼地として発展しました。しかし、8世紀以降はイスラム勢力がここを支配し、10世紀には砂漠の民ベドウィンにより破壊され、13世紀には放棄されました。
地域: アフリカ / 国名: エジプト・アラブ共和国 / 分類: 文化遺産 / 登録年: 1979年 / 登録基準: (iv)
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ダイナソール州立公園

Dinosaur Provincial Park
ダイナソール州立公園
カナダのカナディアン・ロッキー南東に位置する「ダイナソール州立公園」は、バッドランド(樹木が育たない荒れ地)と呼ばれる乾燥した原野が広がる州立公園で、世界遺産には約78㎢が登録されています。荒涼としながらも卓越した自然美の景観を有するとして、登録基準(ⅶ)に該当しています。この地域は、太古の昔には亜熱帯気候にあり、一面に緑が生い茂り、ヤシの木や巨大なシダが繁茂していました。また、当時の大地には大河が内海へと流れ、サメやクロコダイルなど多様な動物が生息していたことが明らかになっています。
地域: 北米 / 国名: カナダ / 分類: 自然遺産 / 登録年: 1979年 / 登録基準: (vii)(viii)
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チュニスの旧市街

Medina of Tunis
チュニスの旧市街
チュニジア北東部の肥沃な平野地域に位置し、海から数kmの場所にあるチュニスのメディナは、698年に設立されたマグリブ地方で最初のアラブ・イスラムの街のひとつです。12世紀から16世紀にかけて、ムワッヒド朝とハフス朝の統治下で、チュニスはアラブ世界で最も偉大で豊かな都市のひとつとされました。この時期およびそれ以前の時期の証拠は、現在も数多く残っています。16世紀から19世紀にかけては、新たな勢力が都市に多くの宮殿や邸宅、大モスク、ザウィア、マドラサを建てました。登録された土地は約3㎢におよび、アラブ・イスラム都市のすべての特徴を備えています。それは、中央メディナ(8世紀)と北と南の郊外(13世紀)から構成されています。およそ700の歴史的建造物が7つのエリアに分布しており、特に注目すべきものには、ザイトゥーナ・モスク、カスバ・モスクなどがあります。
地域: アフリカ / 国名: チュニジア共和国 / 分類: 文化遺産 / 登録年: 1979年 / 登録基準: (ii)(iii)(v)
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ティカル国立公園

Tikal National Park
ティカル国立公園
グアテマラの北部の密林にあるティカル国立公園には、ユカタン半島で興ったマヤ文明の最大級の都市遺跡が残っています。1696年にスペイン人によって発見されたこの都市は、当時ローマ帝国の遺跡と間違えられた程。また、マヤ文字が解読されていなかったので詳しいことはわかりませんでした。ところが19世紀半ばのアメリカの外交官、ジョン・ロイド・ステファンズの徹底的な調査の結果、これらはローマ帝国の遺跡ではなく、先住民の祖先が築いたものだということがわかり始めました。さらに1950年代後半にマヤ文字の解読が進むと、強大な権力をもつ王のもと、周辺国家と戦争や政略結婚を繰り返し、交易で繁栄した都市国家であったということが判明しました。少なくとも33人の王がいたとされ、王の遺体なども発見されています。
地域: 中米・カリブ海 / 国名: グアテマラ共和国 / 分類: 複合遺産 / 登録年: 1979年 / 登録基準: (i)(iii)(iv)(ix)(x)
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ドゥブロヴニクの旧市街

Old City of Dubrovnik
ドゥブロヴニクの旧市街
クロアチア南部のアドリア海に面するドゥブロヴニクは、7世紀初頭から地中海交易の拠点として繁栄した自治都市です。かつてイギリスの劇作家バーナード・ショーが「ドゥブロヴニクを見ずして天国を語るなかれ」と称していたように、まるで天国のような景観のドゥブロヴニクは、1979年と、かなり早い段階で世界遺産に登録されました。ところが、ユーゴスラヴィア内戦が1991年に勃発すると、同年10月に最初の砲弾が落とされて、なんと建物の7割が損壊しました。市民たちは「世界遺産の街は攻撃しないだろう」という期待をしていたようですから、これは非常に衝撃的な出来事です。その結果、ドゥブロヴニクは危機遺産に登録されたのですが、内戦が終了すると、復旧工事が進み、1998年に危機遺産リストから削除され、復活を遂げました。
地域: ヨーロッパ / 国名: クロアチア共和国 / 分類: 文化遺産 / 登録年: 1979年 / 登録基準: (i)(iii)(iv)
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独立記念館

Independence Hall
独立記念館
「独立記念館」は、アメリカ北東部ペンシルベニア州南東部に位置するフィラデルフィアにあります。1776年7月4日、この建物においてアメリカ東部の13のイギリス植民地代表による第2回大陸会議が開催され、ヴァージニア代表トマス・ジェファソンが起草した独立宣言が採択されました。アメリカ独立戦争の結果として、1783年のパリ条約によりイギリスはアメリカの独立を承認しました。さらに、1787年にはこの建物で憲法制定会議が開かれ、世界最古の近代的成文憲法であり、現行憲法でもあるアメリカ合衆国憲法が承認されました。1790年から1800年までの10年間、フィラデルフィアはアメリカの首都であり、この期間中、この建物は国会議事堂として使用されました。当時、議員数の少なかった元老院は2階を、多かった代議院は1階を議場として使用しており、これが「上院」「下院」の語源となっています。
地域: 北米 / 国名: アメリカ合衆国 / 分類: 文化遺産 / 登録年: 1979年 / 登録基準: (vi)
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ヌビアの遺跡群:アブ・シンベルからフィラエまで

Nubian Monuments from Abu Simbel to Philae
ヌビアの遺跡群:アブ・シンベルからフィラエまで
エジプトの最南部からスーダン北部にかけてのナイル川沿いのヌビア地方は、アフリカ奥地との交易の中継地として栄え、紀元前1500年以降のエジプト新王国時代には多くの建築物が建てられました。しかし、1959年にアスワン・ハイ・ダムの建設計画が発表されると、遺跡群が水没してしまうことになり、ユネスコが世界に向け「遺跡救済キャンペーン」を展開することとなりました。その結果、多くの国からの支援でアブ・シンベル神殿他20件以上の移築が進み、多くの遺跡が水没から救われました。この時の「人類共通の宝物」という概念が、後の世界遺産誕生のきっかけとなりました。
地域: アフリカ / 国名: エジプト・アラブ共和国 / 分類: 文化遺産 / 登録年: 1979年 / 登録基準: (i)(iii)(vi)
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ビャウォヴィエジャ森林保護区

Białowieża Forest
ビャウォヴィエジャ森林保護区
ビャウォヴィエジャ森林保護区は、ポーランドとベラルーシの国境に広がるヨーロッパ最大の森林地帯で、総面積は141,885ヘクタールに及びます。森林内には59種の哺乳類、250種以上の鳥類、13種の両生類、7種の爬虫類、12,000種以上の昆虫が生息しており、多様で豊かな野生生物の宝庫となっています。
地域: ヨーロッパ / 国名: ベラルーシ共和国, ポーランド共和国 / 分類: 自然遺産 / 登録年: 1979年 / 登録基準: (ix)(x)
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プリトヴィツェ湖群国立公園

Plitvice Lakes National Park
プリトヴィツェ湖群国立公園
プリトヴィツェ湖群国立公園は、約300㎢の広さを誇るクロアチア最大の国立公園です。一帯は石灰岩地帯(カルスト地形)に位置し、主に中生代の石灰岩や苦灰岩(ドロマイト)で形成されています。プリトヴィツェ川の水は炭酸カルシウムが高濃度で含まれており(過飽和状態)、植物やコケ類、藻類などの光合成の作用が関わって炭酸カルシウムが沈殿することで、トゥファ(石灰華)といわれる石灰質の堆積物がつくられました。トゥファはまるで天然のダムのように河川をせき止め、大小16の湖が形成されました。これらの湖を計92の滝がつないでいます。湖底まで見ることのできる水の透明度の高さは、流域周辺を覆う森林の働きによるものです。幻想的なエメラルドグリーンの湖は、訪れる観光客を魅了します。
地域: ヨーロッパ / 国名: クロアチア共和国 / 分類: 自然遺産 / 登録年: 1979年 / 登録基準: (vii)(viii)(ix)
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ベルゲンのブリッゲン地区

Bryggen
ベルゲンのブリッゲン地区
ベルゲンはノルウェー南西端に位置する北海に面した港湾都市で、11世紀に港が開かれて以降、海上交易の拠点として繁栄しました。13世紀以降はこの時期の北海とバルト海沿岸の海上交易を掌握したハンザ同盟の拠点都市のひとつとなり、その中でもベルゲンのブリッゲン地区には1350年に在外ハンザ商人が設けた4つの商館のうちの1つが設立されました。他の3つのものは現存していませんので、ブリッゲンに残るものが現存する唯一の在外ハンザ商館となります。
地域: ヨーロッパ / 国名: ノルウェー王国 / 分類: 文化遺産 / 登録年: 1979年 / 登録基準: (iii)
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ペルセポリス

Persepolis
ペルセポリス
ペルセポリスは、イラン南部シーラーズの北東約60kmにある世界屈指の考古遺跡です。建築、都市計画、建設技術、更に芸術の分野において、アケメネス朝ペルシアの傑作として知られるペルセポリスは、他に類を見ない、大帝国の繁栄の証を遺す考古遺跡のひとつです。紀元前6世紀、ペルシアのキュロス2世(大王)はメディア王国を滅ぼすとアケメネス朝を勃興し、近隣国を次々に征服します。続くカンビュセス2世の時代では古代オリエントを初めて統一し大帝国を築き上げました。
地域: 西・南アジア / 国名: イラン・イスラム共和国 / 分類: 文化遺産 / 登録年: 1979年 / 登録基準: (i)(iii)(vi)
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