現在はマリ共和国の地方都市に過ぎないトンブクトゥですが、かつては「黄金の都」と称えられ、ヨーロッパではその栄華が伝説となるほどの繁栄を極めました。元々は遊牧民トゥアレグ族の宿営地だったトンブクトゥは、13世紀、マリ帝国の時代に金や岩塩の交易地として栄え、16世紀にはソンガイ帝国の支配下で最盛期を迎えます。しかし、ヨーロッパ人が大西洋岸航路を発達させたことで地域の情況は変わり、また、1591年にサハラの塩床をめぐる紛争が引き金となってモロッコ軍に占領されるなどして、次第にトンブクトゥは衰退の道をたどります。19世紀には、黄金伝説を信じた探検家がヨーロッパから訪れますが、すでに荒廃していました。