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頤和園:北京の夏の離宮と皇帝庭園
Summer Palace, an Imperial Garden in Beijing
北京の中心部から北西約15kmに位置する頤和園は、敷地総面積約290万㎡を誇り、中国に現存する最大かつ最後に建造された皇室庭園です。12世紀半ばに、金王朝時代に建造された小規模な離宮を前身とし、1750年に清の乾隆帝が広大な庭園へと整備して清漪園(せいいえん)と名付けられました。中国の名だたる庭園や名景、有名建築の精華を取り入れたものとなりました。自然景観を模倣した庭園は、建物や楼閣、橋などと見事に調和し、中国だけでなく、日本や朝鮮半島の庭園にも大きな影響を及ぼしました。第二次アヘン戦争で北京に侵攻した英仏連合軍により庭園は破壊されてしまいますが、その30年後の1886年、西太后が海軍の経費を流用して復元し、頤和園と改称しました。
殷墟
Yin Xu
雲岡石窟
Yungang Grottoes
雲岡石窟は、山西省武周山南麓の断崖面の全長およそ1kmの範囲に現存する、252の石窟です。452年に即位した北魏の文成帝が、高僧曇曜(どんよう)の提言に従い、460年に開鑿を行ったのがその始まりです。文成帝は「曇曜五窟」と呼ばれる5つの石窟に、自身を含めた5人の皇帝を模した大仏を建立しました。494年、洛陽に遷都したことを機に造営は終息に向かい、石窟は存在を忘れられていきましたが、1902年に建築家の伊東忠太が建築研究のため中国を訪れ再発見しました。仏像は5万体以上あり、第20窟の如来坐像は傑作とされています。仏像は制作年によって様式が異なり、徐々に中国独自のものになっていった様子がうかがえます。
普洱(プーアル)の景邁山古茶林の文化的景観
Cultural Landscape of Old Tea Forests of the Jingmai Mountain in Pu’er
中国南西部の雲南省普洱(プーアル)市にある景邁(けいまん)山は、普洱茶の原産地と考えられている場所です。10~14世紀頃にこの地へ移り住み、野生の茶樹を発見した少数民族の布朗族(プーラン族)と傣族(タイ族)は、自然林の一部の樹木と低木を間引きし、そこに茶樹を植える林下栽培という手法で茶の生産を行ってきました。古茶林は高木層、低木層、草本層の3つに分かれ、茶樹は主に低木層に生育します。森林の生態系を生かし、普洱茶の生育に理想的な環境をつくり出しました。また、布朗族と傣族がもつ茶祖信仰や伝統的な儀式は、千年以上にわたり古茶林の景観を維持するのに重要な役割を果たしてきました。布朗族と傣族は景邁山に定住し茶樹を発見して栽培を始めた先祖を「茶祖」として崇拝しており、毎年4月に茶祖に祈りを捧げる祭りがとり行われています。世界遺産には古茶林のほか、集落や防護林なども登録されています。
峨眉山と楽山大仏
Mount Emei Scenic Area, including Leshan Giant Buddha Scenic Area
九寨溝:歴史的・景観的重要地区
Jiuzhaigou Valley Scenic and Historic Interest Area
京杭大運河
The Grand Canal
紅河ハニ族棚田群の文化的景観
Cultural Landscape of Honghe Hani Rice Terraces
黄山
Mount Huangshan
杭州にある西湖の文化的景観
West Lake Cultural Landscape of Hangzhou
鼓浪嶼(コロンス島):歴史的共同租界
Kulangsu, a Historic International Settlement
厦門に面した小さな島、鼓浪嶼(コロンス島)に残る931の歴史的建造物からなっています。1842年に結ばれた南京条約によって、翌1843年に厦門が開港し、1903年に鼓浪嶼に共同租界が設立されると、中国における海外貿易の重要な窓口となりました。様々な国の外国人がここに住み着いたことから、世界の様々な様式の建築が建てられ、文化的な混交が生まれました。アール・デコやモダニズムなどの西洋の建築様式と、厦門周辺地域の文化が融合して生まれた「アモイ・デコ様式」という鼓浪嶼独自の建築様式は、その一例になっています。共同租界とは、清朝や中華民国内に築かれた外国人居留地で鼓浪嶼では各国が共同で外国人居留地を管理しました。
始皇帝陵と兵馬俑坑
Mausoleum of the First Qin Emperor
四川省のジャイアントパンダ保護区群
Sichuan Giant Panda Sanctuaries - Wolong, Mt Siguniang and Jiajin Mountains
『四川省のジャイアントパンダ保護区群』は、絶滅危惧種かつ中国を代表する「国宝」であるジャイアントパンダの保護に特化した世界最大規模の生息地です。このエリアは、野生パンダの約30%以上にあたる約500頭が暮らす連続した重要な生息域であり、絶滅危惧種の繁殖にも欠かせない場所です。また、レッサーパンダやユキヒョウ、ウンピョウなど、109種もの哺乳類が生息し、多様な動物たちの楽園となっています。さらに植生も非常に豊かで、5,000種以上の植物が確認されており、マグノリアやツツジ、ランなど希少な種も多く存在します。四川省の複雑な地形と生態系が育んだこの保護区は、国境や県境を越えた保全活動の成功例とされています。
承徳の避暑山荘と外八廟
Mountain Resort and its Outlying Temples, Chengde
シルク・ロード:長安から天山回廊の交易網
Silk Roads: the Routes Network of Chang'an-Tianshan Corridor
青海フフシル(可可西里)
Qinghai Hoh Xil
フフシルはモンゴル語で「青い峰」を意味し、チベット語では「ホホシリ」と呼ばれています。「青海フフシル」は、チベット高原の北東端に位置し、世界最大かつ最も高い場所にある高原です。海抜4,500m以上の高山とステップ地帯からなる北部エリアが世界遺産に登録されています。年間平均気温は0℃以下、最低気温はマイナス45℃に達することもある極寒の高原気候で、北極・南極とならんで「第三極」と言われています。氷河の雪解け水は無数の河川となり、湿地帯や湖沼を形成しています。このような環境下で独特な生態系が築かれ、3分の1以上の植物種と、すべての草食哺乳類は 一帯の固有種です。この地はチベットカモシカ(チルー) が「渡り」を行うルートでもあります。北のアルトゥン山脈からフフシルを経由して青海省南部まで移動するルート上には高速道路や鉄道が敷かれているうえに密猟者も出現することから、現在は国家自然保護区に登録され、パトロール活動が盛んです。
西夏王陵群
Xixia Imperial Tombs
中国寧夏回族自治区・銀川市の西方、賀蘭山東麓に広がるのが「西夏王陵群」です。11世紀から13世紀にかけてタングート族が築いた西夏王朝(1038~1227)の皇帝陵墓群です。約40㎢にわたる広大なエリアに、9基の皇帝陵を中心に271基の陪葬墓、宮殿や防御施設、治水遺構などが点在しています。中国における西夏時代最大かつ最も保存状態の良い考古遺跡であり、タングート王朝の皇統を示す唯一無二の証拠としても評価されています。その墓制や建築技術、葬送儀礼には農耕文化と遊牧文化、中国的な帝権観念、さらには仏教の要素が複雑に融合しており、多民族交流の成果が具体的な形で残されています。シルクロードの交通拠点として栄えたこの地は、中国文明の多元性と多民族融合を象徴するとともに、世界文明史においても重要な位置を占めています。
泉州:宋・元時代の中国における世界的な商業の中心地
Quanzhou: Emporium of the World in Song-Yuan China
中国南西部の福建省にある泉州は、市内を流れる晋江と洛陽江が海へと注ぐ港に面した都市です。8〜9世紀頃に海上貿易の拠点として次第に発展し始め、宋代(960〜1276年)と元代(1271〜1368年)にあたる10〜14世紀にかけては世界的な貿易港として華々しい繁栄を遂げました。泉州は中国内陸部とアジアの海、そして世界とをつなぎ、「海のシルク・ロード」の東の拠点とも言われます。その名声は遠くヨーロッパまで伝わり、同時期の西洋の文献にはアラビア語でオリーブを意味する「ザイトゥーン」という名で登場します。13世紀にこの地を訪れたマルコ・ポーロは、著書「世界の記述」(東方見聞録)にて、泉州を世界最大の開港のひとつであると称賛しています。
蘇州の園林
Classical Gardens of Suzhou
泰山
Mount Taishan
中国東部の山東省にそびえる標高1,535mの泰山は、世界遺産の登録基準(i)から(vii)までの全てを認められている唯一の世界遺産です。東岳の泰山、西岳の崋山(陝西省)、南岳の衡山(湖南省)、北岳の恒山(山西省)、中岳の嵩山(河南省)という中国五岳の筆頭であり、多くの人々の信仰を集める道教の聖地です。『史記』 によると紀元前219年、秦の始皇帝はこの山の山頂で天を、そして山麓で地を祀る 「封禅」という儀式を行いました。これは始皇帝以前に72人の王が行っていた儀式を再現したものであるとされます。前漢(前202~後8年)の7代皇帝の武帝はこの儀式を国家的な祭祀として採用し、清(1636~1912年)の康熙帝まで、歴代の皇帝がこの地で封禅を行いました。
大足石刻
Dazu Rock Carvings
重慶市の北西に位置する大足石刻は、唐代末期の9世紀から南宋時代の13世紀にかけて、山の岩壁に掘られた彫刻群の総称です。一帯には、石像が5万体以上、石碑文は10万点以上が現存し、75ヵ所ある文化財保護区域のうち、5ヵ所が世界遺産に登録されています。多くは大乗仏教の石刻ですが、道教や儒教の像も刻まれており、中国三大宗教の石刻がそろっているのが大きな特徴となっています。中でも宝頂山石刻群の石刻は評価が高く、特に大仏湾と呼ばれる崖の磨崖仏群、全長およそ31mの釈迦涅槃像が有名です。中国には、世界遺産に登録されている『雲岡石窟』や『龍門石窟』などの石窟芸術が残りますが、大足石刻はその中でも最も保存状態の良いものひとつに数えられています。
天壇:北京の皇帝祭壇
Temple of Heaven: an Imperial Sacrificial Altar in Beijing
敦煌の莫高窟
Mogao Caves
バダインジャラン砂漠:砂の塔と湖群
Badain Jaran Desert - Towers of Sand and Lakes
万里の長城
The Great Wall
福建土楼群
Fujian Tulou
『福建土楼群』は、中国福建省の約120kmの範囲に点在する、12~20世紀につくられた漢民族客家の伝統的集合住宅です。中庭を囲んだ円形や方形で、外側に設けられた180㎝以上の厚さを持つ土壁は、盗賊の侵入を防ぐ砦としての機能も持ち合わせていました。出入口は基本的に1ヵ所で、下の階には窓がなく、上の階に窓と狭間が設けられています。また消火用の水槽も上の階に設置されていました。1つの土楼には最大800人もの人々が集まって生活し、村のような機能を果たしています。質素な造りの外観に対して、内部は複数の家族が生活しやすいように工夫され、独特な装飾が施されるなど居心地にも配慮されていました。中央には庭があり、その周囲が住宅スペースで、各部屋は同じ大きさで同じ造りで平等に設計された構造になっています。
武陵源:歴史的・景観的重要地区
Wulingyuan Scenic and Historic Interest Area
元の上都遺跡
Site of Xanadu
ラサのポタラ宮歴史地区
Historic Ensemble of the Potala Palace, Lhasa
麗江の旧市街
Old Town of Lijiang
中国南西部、雲南省にある麗江は、12世紀の宋代末にチベット・ビルマ語族に属する少数民族納西族(ナシ族)によって建設された古都で、万年雪が積もる標高5,596mの玉龍雪山の麓に位置する高地の街です。世界遺産に登録されているのは、麗江の旧市街の保護区と、白沙、東河の近郊2村です。麗江の旧市街は「大研鎮(だいけんちん)」と呼ばれ、かつて交易の広場だった四方街を中心に、約800年にわたって歴史を重ねてきました。この街を建設した納西族は、茶葉などの交易のためにやってきた漢族やチベット族などの諸民族の文化を取り入れて、旧市街に残された壁画や、象形文字の一種である東巴文字(トンパ文字)などをはじめとする独自の文化を生み出しました。建造物や音楽も、納西族の伝統と異文化の交流を感じさせます。