Procedure of Inscription

登録までの流れ

登録までの流れ
フランス・パリのユネスコ本部で行われた世界遺産委員会での審議の様子

登録までの流れ

 

世界遺産登録は、プレリミナリー・アセスメント(事前評価)と本推薦の2段階に分かれます。プレリミナリー・アセスメントは2021年の世界遺産委員会で導入が決定し、2027年に推薦する遺産からは必須のプロセスとなりました。日本からは2023年に「彦根城」が初めてプレリミナリー・アセスメントを受けました。

1)世界遺産条約の批准

自分の国にある文化財や自然の世界遺産登録を目指す国は、国内の行政・立法機関などの承認を得て世界遺産条約を批准します。

2)暫定リストの作成

国内の世界遺産登録を目指す遺産を載せた暫定リストを作成して、ユネスコの世界遺産センターに提出します。暫定リストに記載される遺産は「顕著な普遍的価値(OUV)」があると考えられるものですが、暫定リストに記載されている段階ではまだOUVが世界遺産委員会で認められていないため、その価値は「潜在的なOUV」と呼ばれます。

3)プレリミナリー・アセスメント(事前評価)

暫定リストの中から、推薦の準備が整ったものを、諮問機関のプレリミナリー・アセスメントに申請します。諮問機関は、遺産保有国から提出された「事前評価申請書」に基づき書類審査を行い、1年後を目処に遺産保有国と協議を行いながら「事前評価報告書」を作成します。

4)仮推薦書の提出

遺産保有国は、事前評価報告書に記載されたアドヴァイスなどを基に推薦書を作成し、2月1日までにユネスコの世界遺産センターに提出します。事前評価報告書を受け取ってから推薦書を提出するまでには、最低12ヵ月あける必要があります。その間に、仮の推薦書(推薦書の草案)を作成し世界遺産センターからアドヴァイスを受けることもできますが、これは必須のプロセスではありません。

5)諮問機関による専門調査

ユネスコの世界遺産センターで推薦書が受理されると、世界遺産センターは推薦書を諮問機関に送り専門調査を依頼します。文化遺産の場合はICOMOS(国際記念物遺跡会議)、自然遺産の場合はIUCN(国際自然保護連合)、複合遺産の場合はそれぞれが担当する分野において現地調査を含む専門調査を行います。そうして世界遺産委員会の6週間前までに、4段階の勧告が出されます。

4段階の勧告
登録 「顕著な普遍的価値」があるとして世界遺産リストへの記載を勧めるもの。
情報照会 「顕著な普遍的価値」は認められると考えられるが、比較検討や情報が不十分であるとして、追加情報の提出を求めるもの。
登録延期 「顕著な普遍的価値」は認められると考えられるが、推薦内容の根本的な修正が必要とされるもの。
不登録 「顕著な普遍的価値」は認められず、世界遺産登録はふさわしくないとするもの。

 

6)世界遺産委員会での審議

諮問機関からの勧告を基に、世界遺産委員国21ヵ国で審議が行われ、勧告と同じ4段階で決議されます。情報照会が決議された遺産は、次の年の世界遺産委員会に向けて推薦書を再提出して審議を受けることができますが、不登録が決議された遺産は、同じ遺産価値で再度推薦することはできません。