Basic Knowledge
そもそも世界遺産とは誰が作ったどのような制度なのか。どんな基準があり、登録のフローはどうなっているのか。基礎知識を把握しておくと、世界遺産の見方がグッと広く、深くなります。統計ではさまざまな切り口のデータで世界遺産を紹介します。
世界遺産とは、ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)で1972年に採択された世界遺産条約に基づき、世界遺産リストに記載された世界各地に存在する建造物や記念碑、遺跡、景観、自然などのことです。世界遺産を、「人類共通の宝物」として保護し、次の世代へ確実に受け継いでいくことで、世界の多様性の保護と、国家や人種、文化などの枠組みを超えて互いに尊重しあう世界の実現を目指しています。
世界遺産が持つ「顕著な普遍的価値」を証明するために、10項目の登録基準が定められています。この登録基準の(i)~(vi)に当てはまるものが文化遺産、(vii)~(x)に当てはまるものが自然遺産、その両方に当てはまるものが複合遺産となります。世界遺産になるためには、登録基準のどれか1つ以上が当てはまる必要がありますが、当てはまる基準の数が多いほど優れているというわけではありません。
世界遺産に登録されるには、遺産を保有する国が世界遺産条約を批准した後、暫定リストの作成や、プレリミナリー・アセスメント(事前評価)、諮問機関による専門調査、世界遺産委員会での審議など、いくつものステップがあります。実際に、世界遺産に推薦する準備が整った遺産をプレリミナリー・アセスメントに申請してから世界遺産委員会で登録されるまで、約4年かかります。
世界遺産に関するさまざまなデータを紹介します。エリア別・国別の世界遺産登録数や、遺産の特徴別の各年の登録数など、切り口を変えて見ることで、約半世紀にわたる世界遺産活動の足跡が確認できます。データは基本的には、2025年9月時点のユネスコの世界遺産センターのデータを基に作成しています。暫定リストや世界遺産委員会の委員国に関するデータも掲載しています。