聖都アブー・メナー
1,500年以上前にコプト教の聖地として栄えていた都市の遺跡。地下水位の上昇などを理由に、2001年以来危機遺産リストに記載されていたが、2025年に指定を解除された(Ⓒ2009 Iris Fernandez, Institute for the Study of the Ancient World/flickr/CC BY 2.0

遺産DATA

地域 : アフリカ 保有国 : エジプト・アラブ共和国 所在地 : Mariut desert, Borg el-Arab District, Alexandria Governorate 分類 : 文化遺産 登録年 : 1979年 危機遺産 : 2001年~2025年 登録基準 : (iv) 遺産の面積 : 1.8272㎢ 座標 : N30 50 9 E29 40 0

about

古代のキリスト教の巡礼地で現在もコプト教の聖地

エジプト北部地中海岸のアレクサンドリアの南西45kmにある、古代エジプトにおけるキリスト教巡礼の中心地で、原始キリスト教の流れをくむコプト教の聖地です。3世紀にはローマ帝国によるキリスト教弾圧が強まり、ここで聖者メナスが殉教しました。その埋葬地がここです。キリスト教が後任された後、ビザンツ帝国歴代皇帝の庇護を受け、4~5世紀にかけ巡礼地として発展しました。しかし、8世紀以降はイスラム勢力がここを支配し、10世紀には砂漠の民ベドウィンにより破壊され、13世紀には放棄されました。

地下水位の上昇により遺跡は危機的状況にあった

20世紀になって砂の中から発見されたこの遺跡には、聖堂や礼拝堂など初期キリスト教の聖地のにぎわいを伝える建物跡や、巡礼者のための宿泊設備なども残っており、往時の様子がよくわかります。しかし、周辺地の干拓事業などにより地下水位の上昇が見られ、粘土質の土壌の液状化や地盤軟化により崩壊の危機にありました。2001年から危機遺産に指定されていましたが、その後の排水方式の改善や管理計画の策定が評価され2025年には危機遺産を脱することができました。

アクセス

エジプト北部のアレクサンドリアから車で約1時間。タクシーやレンタカーが一般的で、公共交通機関は整備されていない。

執筆協力者PROFILE

細谷 正文
細谷 正文
大東文化大学・フェリス女学院大学講師/NPO法人世界遺産アカデミー認定講師

早稲田大学卒業。損害保険会社勤務の傍ら世界遺産を勉強し、退職後いくつかの大学にて関連講座を担当。現在は大学講師と趣味の音楽(クラシック歌手)の二刀流。

遺産DATA

地域 : アフリカ
所在地 : Mariut desert, Borg el-Arab District, Alexandria Governorate
分類 : 文化遺産
登録年 : 1979年
危機遺産 : 2001年~2025年
登録基準 : (iv)
遺産の面積 : 1.8272㎢
座標 :N30 50 9 E29 40 0

アクセス

エジプト北部のアレクサンドリアから車で約1時間。タクシーやレンタカーが一般的で、公共交通機関は整備されていない。

執筆協力者PROFILE

細谷 正文
細谷 正文
大東文化大学・フェリス女学院大学講師/NPO法人世界遺産アカデミー認定講師

早稲田大学卒業。損害保険会社勤務の傍ら世界遺産を勉強し、退職後いくつかの大学にて関連講座を担当。現在は大学講師と趣味の音楽(クラシック歌手)の二刀流。