アフラージュ-オマーンの灌漑システム
オマーン最古のファラジのひとつと考えられているファラジ・ダリス

遺産DATA

地域 : 西・南アジア 保有国 : オマーン国 所在地 : Dakhiliya, Sharqiya and Batinah Regions 分類 : 文化遺産 登録年 : 2006年 登録基準 : (v) 遺産の面積 : 14.55949㎢ バッファ・ゾーン : 164.0433㎢ 座標 : N22 59 56 E57 32 9.8

about

先人の知恵で作られたシステムが人々に潤いを与えた

アフラージュとは、井戸の底を横穴でつなげた灌漑システムのことです。そのもととなるファラジ(アフラージュはファラジの複数形)オマーンに3,000あると言われています。その歴史は古く、紀元前2500年頃から存在していたという説もあります。アフラージュでは地下水や地表水などの限られた水資源が収集され、家庭用およびナツメヤシを含めた農業用水として公平に分配されました。その際、日時計などで各水路に水を流す時間を管理していました。このあたりは年間降水量が非常に少ないため、水の分配は命に関わることでした。先人たちの知恵により造られたこれらの灌漑施設は、今でも現役で稼働しており、重要な役割を果たしています。 

5つの代表的なファラジ

世界遺産にはファラジ・アル・ジーラ、ファラジ・ムヤッセル、ファラジ・ダリス、ファラジ・マルキ、ファラジ・ハトメインの五つの代表的なファラジと、観測塔や日時計、住居やモスクが登録されています。また、当時の水の競売場も残っており興味深いです。ファラジ・アル・ジーラは、今日でも機能し続けている伝統的なファラジの代表例であり、ファラジ・ハトメインとともに、保存状態も非常に良好です。また、ファラジ・ダリは最古のファラジのひとつとされ、ファラジ・マルキは最大規模のファラジとされます。近年、開発が進む中、水路を横切るような建築物などが建設されると、灌漑施設に損傷を与える可能性があります。開発と伝統的なインフラの共存が昨今の課題となっています。 

アクセス

マスカット国際空港からそれぞれのファラジへは車で1~2時間程度。

執筆協力者PROFILE

藤井 翼
藤井 翼
NPO法人世界遺産アカデミー認定講師

世界遺産検定初代マイスターの一人。地歴公民科の教諭として7年間大阪の公立高校で勤務。現在、世界遺産アカデミー認定講師として大学や私立中学で講義、授業を展開。また、自身のYouTubeチャンネル「翼の世界史チャンネル」で受験世界史の動画を配信。

遺産DATA

保有国 : オマーン国
所在地 : Dakhiliya, Sharqiya and Batinah Regions
分類 : 文化遺産
登録年 : 2006年
登録基準 : (v)
遺産の面積 : 14.55949㎢
バッファ・ゾーン : 164.0433㎢
座標 :N22 59 56 E57 32 9.8

アクセス

マスカット国際空港からそれぞれのファラジへは車で1~2時間程度。

執筆協力者PROFILE

藤井 翼
藤井 翼
NPO法人世界遺産アカデミー認定講師

世界遺産検定初代マイスターの一人。地歴公民科の教諭として7年間大阪の公立高校で勤務。現在、世界遺産アカデミー認定講師として大学や私立中学で講義、授業を展開。また、自身のYouTubeチャンネル「翼の世界史チャンネル」で受験世界史の動画を配信。