ムガル帝国の3代皇帝アクバルが建設した城塞。後代の皇帝が改築を行い、都市機能をも備える都城となった
about
アクバル帝のあと、シャー・ジャハーン帝が華麗に整備
インド北部、ニューデリーの南約200kmの古都アーグラにあるムガル帝国の旧都城です。16世紀に第3代皇帝アクバルが建設しましたが、現在城内に残る建築物の大部分は第5代シャー・ジャハーン時代の造営です。外見は赤砂岩造りの二重の城壁と門が象徴的で「赤い城」の名の由来となっています。シャー・ジャハーンの時代には宮廷建築群など華麗なムガル朝の建築が花開きましたが、17世紀のデリーへの遷都、その後の反乱や略奪などでその栄華は衰えました。
アクセス
デリーから鉄道かバスでアーグラへ、アグラ・カント駅から車で20分ほど。
執筆協力者PROFILE
細谷 正文
大東文化大学・フェリス女学院大学講師/NPO法人世界遺産アカデミー認定講師
早稲田大学卒業。損害保険会社勤務の傍ら世界遺産を勉強し、退職後いくつかの大学にて関連講座を担当。現在は大学講師と趣味の音楽(クラシック歌手)の二刀流。
Gallery
城壁の建材には赤砂岩が用いられ、「レッド・フォート」とも称される。写真は城への入口となるアマル・シン門
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アマル・シン門のさらに内側にあるアクバル門
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アングリー庭園に面した「ディーワーネ・カース」。皇帝が私的に貴族や大使と謁見する場であったとされる
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アングリー庭園の3辺は、多弁アーチをもつ回廊で囲われている
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一般市民が皇帝と謁見する「ディーワーネ・アーム」の装飾。5代皇帝シャー・ジャハーンの趣味がよく表れている
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5代皇帝シャー・ジャハーンが、息子のアウラングゼーブ帝によって幽閉されたムサンマン・ブルジュ。シャー・ジャハーンは、写真左奥に見えるタージ・マハルを眺めて晩年を過ごしたとされる
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Properties
ジャハーンギール宮殿
Jahangir Mahal
城内に残る唯一のアクバル時代の建物で、アクバルが息子のジャハーンギールのために建てた2階建ての宮殿。ペルシアとヒンドゥーの建築様式が混在しており、イスラム教徒とヒンドゥー教徒の融和に心をくだいたアクバルの政治姿勢を象徴するものとされる。
ディーワーネアーム(公的謁見の間)
Diwan-i-Am
シャー・ジャハーンにより建設された公的謁見の間。シャー・ジャハーンは質素な赤砂岩よりも美しい大理石を好んだことから、ディーワーネアームにも、白大理石の列柱が並び豪華絢爛な装飾が施されている。
アングリー庭園
Anguri Bagh
ペルシア由来の庭園(チャハル・バーグ四分庭園)。通路で4分割され、2階建ての柱廊で囲まれた幾何学模様の庭園である。
ムサンマン・ブルジュ(ジャスミンの館)
the octogonal tower of Musammam Burj
宮殿の東側にある八角形の優美な塔。シャー・ジャハーンは晩年、後継のアウラングゼーブと対立し、この塔に幽閉された。塔からは、シャー・ジャハーンが愛妃ムムターズ・マハルのために建てた、タージ・マハルを臨むことができる。
アクセス
デリーから鉄道かバスでアーグラへ、アグラ・カント駅から車で20分ほど。
執筆協力者PROFILE
細谷 正文
大東文化大学・フェリス女学院大学講師/NPO法人世界遺産アカデミー認定講師
早稲田大学卒業。損害保険会社勤務の傍ら世界遺産を勉強し、退職後いくつかの大学にて関連講座を担当。現在は大学講師と趣味の音楽(クラシック歌手)の二刀流。
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