エゲ(現代名ヴェルギナ)の考古遺跡
紀元前340年頃に建設されたアイガイの宮殿。平面の面積はパルテノン神殿の約7倍

遺産DATA

地域 : ヨーロッパ 保有国 : ギリシャ共和国 所在地 : Prefecture of Imathia, Region of Central Macedonia 分類 : 文化遺産 登録年 : 1996年 登録基準 : (i) (iii) 遺産の面積 : 14.2081㎢ バッファ・ゾーン : 48.1173㎢ 座標 : N40 28 17.004 E22 19 6

about

マケドニア王国の最初の首都

現代名をヴェルギナとするエゲ(当時の発音ではアイガイ)は、古代のマケドニア王国の最初の首都とされています。19世紀後半から、ナポレオン3世の支援を受けた考古学者レオン・ユーゼによる発掘が始まり、その結果宮殿跡などが発見されました。さらに調査が進められた結果、1977年頃にはアレクサンドロス大王の父であるフィリッポス2世の墓が発見されたのです。フィリッポス2世は紀元前4世紀を生きた人物であり、前338年のカイロネイアの戦いで、ギリシャのポリス連合軍を破って本土を制圧した人物として名高い王です。そのような王の墓が発見されたことで当時世界中に衝撃を与え、またこの地がエゲであるという可能性が強くなったのです。

フィリッポス2世の墓
フィリッポス2世の墓は、墳丘の地下に建設された博物館と一体化する形で保存・公開されている(ⒸAndrei Nekrassov/Adobe Stock)

ヘレニズム時代とローマ時代の移行期を示す都市

エゲには、他の古代ギリシャのポリスと同様に、アクロポリスが中心に存在し、その上に宮殿が建てられ一帯を見下ろせるようになっていました。この宮殿は、フィリッポス2世の宮殿で当時最大級とされており、さまざまなレリーフや彫刻、そしてドーリア式の柱が立ち並んでいました。また、劇場なども発掘されており、これらの都市計画はヘレニズム時代とローマ時代の移行期を示すヨーロッパ文明の重要な証拠となっています。また、近郊のネクロポリス(「死者の都市」の意味)には300以上の古代墳墓が発掘されており、先述のフィリッポス2世の墓の他に、アレクサンドロス大王の息子であるアレクサンドロス4世や、フィリッポス2世の母の墓も発見されています。

アクセス

ギリシャ北部テッサロニキから南西へ約80km。

執筆協力者PROFILE

藤井 翼
藤井 翼
NPO法人世界遺産アカデミー認定講師

世界遺産検定初代マイスターの一人。地歴公民科の教諭として7年間大阪の公立高校で勤務。現在、世界遺産アカデミー認定講師として大学や私立中学で講義、授業を展開。また、自身のYouTubeチャンネル「翼の世界史チャンネル」で受験世界史の動画を配信。

遺産DATA

所在地 : Prefecture of Imathia, Region of Central Macedonia
分類 : 文化遺産
登録年 : 1996年
登録基準 : (i) (iii)
遺産の面積 : 14.2081㎢
バッファ・ゾーン : 48.1173㎢
座標 :N40 28 17.004 E22 19 6

アクセス

ギリシャ北部テッサロニキから南西へ約80km。

執筆協力者PROFILE

藤井 翼
藤井 翼
NPO法人世界遺産アカデミー認定講師

世界遺産検定初代マイスターの一人。地歴公民科の教諭として7年間大阪の公立高校で勤務。現在、世界遺産アカデミー認定講師として大学や私立中学で講義、授業を展開。また、自身のYouTubeチャンネル「翼の世界史チャンネル」で受験世界史の動画を配信。