about
忘れ去られていた石窟群
インド西部ムンバイから北東に360kmの岩崖に、インド最古期の仏教壁画が残る石窟寺院があります。約600mほどの岩崖に点在する大小30の石窟は、前期(紀元前2世紀〜後2世紀)と後期(グプタ朝最盛期の5世紀〜7世紀)にかけて造営されました。石窟寺院群は、インドにおける仏教の衰退とともに忘れ去られていましたが、19世紀初頭に英国駐留軍の士官がトラ狩りの最中に偶然「発見」し、再び日の目を見ることとなりました。
アジアの仏教美術の源流
前期窟は装飾が少なく小型で簡素なものが多い一方、王侯貴族の寄進によって造営された後期窟は、多彩な壁画や浮き彫りで装飾されています。また、形態や用途によっても2種類に分類されます。ストゥーパ(仏塔)や仏像を安置した、祈りと瞑想のための祠堂である「チャイティヤ窟」と、僧侶の滞在・居住のための僧房「ヴィハーラ窟」です。アジャンターにある30の石窟のうち、チャイティヤ窟は5つで、残りはヴィハーラ窟です。これらの窟には釈迦の前生や仏教の教えを表す浮彫りや壁画が施され、いずれも美術的価値の高いものばかりです。壁画は、粘土と石灰による下地に顔料で描く「テンペラ画法」という技法で描かれています。アジャンターでの技法や壁画の構成などは、後に中央アジアや中国を経由して日本にまで伝わり、アジアの仏教美術全体に大きな影響を及ぼしました。
アクセス
最寄りのアウランガバード空港から車またはバスで2〜3時間。
執筆協力者PROFILE
早稲田大学卒業。損害保険会社勤務の傍ら世界遺産を勉強し、退職後いくつかの大学にて関連講座を担当。現在は大学講師と趣味の音楽(クラシック歌手)の二刀流。
Properties
第10窟
Cave No.10
第1窟
Cave No.1
第19窟
Cave No.19
第26窟
Cave No.26
アクセス
最寄りのアウランガバード空港から車またはバスで2〜3時間。
執筆協力者PROFILE
早稲田大学卒業。損害保険会社勤務の傍ら世界遺産を勉強し、退職後いくつかの大学にて関連講座を担当。現在は大学講師と趣味の音楽(クラシック歌手)の二刀流。
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