アル・アハサ・オアシス:進化する文化的景観
この地のナツメヤシの実(デーツ)は人々の主食となり、長きにわたって暮らしを支えてきた

遺産DATA

地域 : 西・南アジア 保有国 : サウジアラビア王国 分類 : 文化遺産 登録年 : 2018年 登録基準 : (iii) (iv) (v) 遺産の面積 : 85.44㎢ バッファ・ゾーン : 215.56㎢ 座標 : N25 24 7.8 E49 37 50

about

世界最大級のナツメヤシ生産地

アラビア半島東部に位置するアル・アハサ・オアシスは紀元前の新石器時代から人々が住んでいることが証明されている、世界最大のオアシスです。また、250万本ものナツメヤシが生育し、1960年代に大量生産技術が導入されるまでは、世界最大のナツメヤシ生産地でありました。今でもナツメヤシはこの地の人々にとっては主食であり、地元住民はナツメヤシの包装や販売、流通に深く携わっています。また、このオアシスには庭園や運河、農業用排水湖など12の構成資産が残り、素晴らしい文化的景観が広がっています。

イスラム教カルマト派の拠点

世界最大のオアシスということもあり、砂漠の宗教とも言えるイスラム教の信者においても重要な場所となりました。隊商交易路に組み込まれ、10世紀にはアラビア半島の東部と中央部のほとんどを支配したカルマト派の拠点にもなりました。カルマト派とはシーア派の分派の一つであり、アッバース朝時代に反体制秘密結社のような形で登場し、10世紀には中東最強の勢力として、なんとアッバース朝やファーティマ朝から貢納金をせしめていた程でした。人々が住んでいた期間があまりにも長いので、様々な様子を窺える本遺産ですが、為政者の権力を示す遺構はあまり残っておらず、先述した様な庭園や運河、そして村落や洞窟などが構成資産として価値が認められています。

アクセス

首都リヤドから飛行機でダンマンまで約1時間、そこから車で約2時間。

執筆協力者PROFILE

藤井 翼
藤井 翼
NPO法人世界遺産アカデミー認定講師

世界遺産検定初代マイスターの一人。地歴公民科の教諭として7年間大阪の公立高校で勤務。現在、世界遺産アカデミー認定講師として大学や私立中学で講義、授業を展開。また、自身のYouTubeチャンネル「翼の世界史チャンネル」で受験世界史の動画を配信。

遺産DATA

分類 : 文化遺産
登録年 : 2018年
登録基準 : (iii) (iv) (v)
遺産の面積 : 85.44㎢
バッファ・ゾーン : 215.56㎢
座標 :N25 24 7.8 E49 37 50

アクセス

首都リヤドから飛行機でダンマンまで約1時間、そこから車で約2時間。

執筆協力者PROFILE

藤井 翼
藤井 翼
NPO法人世界遺産アカデミー認定講師

世界遺産検定初代マイスターの一人。地歴公民科の教諭として7年間大阪の公立高校で勤務。現在、世界遺産アカデミー認定講師として大学や私立中学で講義、授業を展開。また、自身のYouTubeチャンネル「翼の世界史チャンネル」で受験世界史の動画を配信。