about
王族とシトー会の関係が刻まれた修道院
ポルトガルの首都リスボンの北にある『アルコバサの修道院』は、ポルトガルにおける初期ゴシック様式最大のシトー会修道院です。1143年にポルトガル初代国王に即位したアフォンソ1世は、1152年にはアルコバサ周辺の開拓を委任する形で、シトー会へ一帯の土地を譲渡します。これには、当時キリスト教世界で力をつけ始めたシトー会の聖ベルナールから支援を得たいというアフォンソ1世の目論見があったと言われています。修道院の建設は1178年に開始されました。
中世の修道院の面影を残す
修道院は、フランスのブルゴーニュ地方にあるポンティニー修道院に倣い整備されていきました。その後も増改築を経て5つの回廊、7棟の寮、来訪者の宿泊所、台所などの施設と聖堂を持つ壮大な建造物となりました。これらは中世の修道院配置を示す好例とされています。14世紀に完成したゴシック様式の美しい回廊は、ポルトガル最大級の中世回廊でした。15〜16世紀には、ジェロニモス修道院の建設にも携わった建築家ジョアン・デ・カスティーリョの手によって、回廊に2階部分が増設されました。また、食堂の入口は狭く設計されており、太ると通ることができません。これは「禁欲」を重んじた生活を送るシトー会の主義を象徴するものとされています。
ペドロ1世とイネスの恋が眠る墓
1360年に建てられた墓は、ゴシック様式の美しい彫刻が有名で、墓にはアフォンソ4世の息子ペドロ1世と、イネス・デ・カストロが眠っています。ペドロ1世は、妻の侍女であったイネスと恋に落ちますが、アフォンソ4世はこの2人の恋に猛反対します。ついには、アフォンソ4世の命により、イネスはコインブラで暗殺され、2人の恋が実ることはありませんでした。墓を飾る彫刻は、人間の運命、死、そして永遠の命へのキリスト教徒の希望を象徴しているとされています。
アクセス
リスボン・セッテリオスバスターミナルからバスで約2時間。
執筆協力者PROFILE
広島県出身。平和継承の入口として世界遺産検定を受験。現在は認定講師として大学、専門学校等で講座実施。2021年にポッドキャスト「行きたくなる世界遺産!」(地域情報/トラベル部門最高2位獲得)を開設しパーソナリティを務めつつ世界遺産関連施設で番組イベントを開催。
アクセス
リスボン・セッテリオスバスターミナルからバスで約2時間。
執筆協力者PROFILE
広島県出身。平和継承の入口として世界遺産検定を受験。現在は認定講師として大学、専門学校等で講座実施。2021年にポッドキャスト「行きたくなる世界遺産!」(地域情報/トラベル部門最高2位獲得)を開設しパーソナリティを務めつつ世界遺産関連施設で番組イベントを開催。
Similar Heritage
特徴が似た遺産を探す