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インド洋の「進化の実験室」
インド洋上に浮かぶアルダブラ環礁は、アフリカ大陸から640kmも離れているため、これまでほとんど人間が近づくことはありませんでした。「環礁」とはサンゴ礁の一種であり、中央の島の部分が完全に水没してしまっている状態のサンゴ礁を示します。アルダブラ環礁はラグーン(潟湖)を含めると琵琶湖の半分ほどの大きさを誇り、独自の生態系が広がります。ここにはインド洋上でもっとも多くの海鳥が集まり、またタイマイやアオウミガメが産卵場所を求めてやってきます。この状況をみた『進化論』でも有名なチャールズ・ダーウィンは、当時の政府に保護を進言したほどでした。
ガラパゴスゾウガメと並ぶ世界最大のゾウガメ
アルダブラ環礁には、体長30cmにもなるヤシガニや、西インド洋で最後に残った飛べない鳥の一種であるノドジロクイナなど、貴重な生物が生息します。特に有名なのはアルダブラゾウガメです。このゾウガメは体重300kg近くまでに達する、ガラパゴスゾウガメと並ぶ世界最大のリクガメです。実はこのゾウガメは、昔インド洋の島々に広く生息していましたが、食用となるため多くの人間がゾウガメを捕獲していったのです。先述の通り、アルダブラ環礁は人間を寄せ付けない場所にあったため、ここに生息するアルダブラゾウガメだけが生き残ったのです。しかし、狭い地域であるため病気などが蔓延し、一時期は5万頭にまで減少。現在は15万頭ほどに回復はしていますが、このゾウガメをはじめとした多くの動植物をどう保全していくかが、今後の課題となります。
アクセス
セーシェルのマエー島から飛行機で約2時間30分。ただし、観光目的の立ち入りは厳しく制限されている。
執筆協力者PROFILE
世界遺産検定初代マイスターの一人。地歴公民科の教諭として7年間大阪の公立高校で勤務。現在、世界遺産アカデミー認定講師として大学や私立中学で講義、授業を展開。また、自身のYouTubeチャンネル「翼の世界史チャンネル」で受験世界史の動画を配信。
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セーシェルのマエー島から飛行機で約2時間30分。ただし、観光目的の立ち入りは厳しく制限されている。
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世界遺産検定初代マイスターの一人。地歴公民科の教諭として7年間大阪の公立高校で勤務。現在、世界遺産アカデミー認定講師として大学や私立中学で講義、授業を展開。また、自身のYouTubeチャンネル「翼の世界史チャンネル」で受験世界史の動画を配信。
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