アムステルダム中心部:ジンフェルグラハト内部の17世紀の環状運河地区
アムステルダム中心部では運河沿いに切妻屋根の建物が立ち並ぶ

遺産DATA

地域 : ヨーロッパ 保有国 : オランダ王国 所在地 : City of Amsterdam, North Holland Province 分類 : 文化遺産 登録年 : 2010年 登録基準 : (i) (ii) (iv) 遺産の面積 : 1.982㎢ バッファ・ゾーン : 4.817㎢ 座標 : N52 21 54 E4 53 16

about

オランダの繁栄を偲ばせる運河網と美しく実用的な街並み

13世紀にアムステル川にダムをつくり、海水の侵入を防いでそこに集落が成立したのが現在の「アムステルダム」の起源です。現在の運河地区は16世紀末から17世紀初頭にかけての湾岸都市プロジェクトとして建設されました。一番外側の「ジンフェルグラハト」まで扇状に広がる運河をつくり、さらに同心円状に運河を整備し、その間の土地(沼沢地)を排水して市街地化していきました。この町の運河と都市景観は美しいだけでなく実用的でかつ経済的なものです。16世紀末以降、オランダは海洋国家として黄金期を迎えていました。日本を含むアジアとの交易等で莫大な富を蓄え、アムステルダムは世界有数の富裕都市となりました。そしてその非常に均質な街並みは19世紀に至るまで大規模都市計画のモデルとなりました。

アクセス

日本からアムステルダムまで直行便で13~14時間。スキポール空港からアムステルダム市内までは電車・バス・タクシーで20~30分程度。

執筆協力者PROFILE

細谷 正文
細谷 正文
大東文化大学・フェリス女学院大学講師/NPO法人世界遺産アカデミー認定講師

早稲田大学卒業。損害保険会社勤務の傍ら世界遺産を勉強し、退職後いくつかの大学にて関連講座を担当。現在は大学講師と趣味の音楽(クラシック歌手)の二刀流。

Details

ネック・ガブル

ネック・ガブル

Gabled Facades/neck gable

ネック・ガブルとは、オランダの17~18世紀の建築に特徴的な様式のこと。元の意味は「首(neck)のような破風(gable)」で、正面壁の部分から90度の角度で上へのびる矩形(長方形)の破風が首(neck)のように見えることからこう呼ばれた。特にアムステルダムの運河沿いの町屋で流行り、装飾性とともに都市の景観に統一感をもたらした。また、荷物を上層階へつり上げるための支点となる梁を設けることにより、運河沿いの狭いスペースでの荷揚げ荷下ろしを効率的に行う構造ともなった。
シンゲル運河

シンゲル運河

Singel

世界遺産登録名の「ジンフェルグラハト(Singelgracht)」とは、この「シンゲル運河」の原語で、中世のアムステルダム旧市街を取り囲み、その外堀にあたるものだった。その後アムステルダムの発展とともに市街地はこの運河の外側へも拡大していき、17世紀には一番外側にもう一つの「シンゲル運河」が建設された。現在世界遺産に登録されている地域は、この新しい運河の内側にある運河網とその一帯の街並みだ。
アンネ・フランクの家

アンネ・フランクの家

Anne Frank Huis

プリンセン運河沿いにある「アンネ・フランクの家」は、1635年に建てられた家屋。アンネ・フランク一家らは、18世紀には増築された裏側部分に隠れ住み、潜伏生活を送った。1944年にナチスの秘密警察(ゲシュタポ)に発見され、アンネはアウシュヴィッツの強制収容所に送られたが、この潜伏の間の日々を綴ったものが「アンネの日記」だ。現在、家の内部は公開されており、隠れ家に通じる入口や日記を綴った屋根裏部屋なども見ることができる。
西教会

西教会

Westerkerk

西教会はプリンセン運河とケイザー運河に面するプロテスタントの教会。17世紀前半にルネサンス様式で建てられた。アムステルダム最大の高さ85mの塔は1638年に建設された。ここには有名な画家レンブラントも埋葬されている。

遺産DATA

保有国 : オランダ王国
所在地 : City of Amsterdam, North Holland Province
分類 : 文化遺産
登録年 : 2010年
登録基準 : (i) (ii) (iv)
遺産の面積 : 1.982㎢
バッファ・ゾーン : 4.817㎢
座標 :N52 21 54 E4 53 16

アクセス

日本からアムステルダムまで直行便で13~14時間。スキポール空港からアムステルダム市内までは電車・バス・タクシーで20~30分程度。

執筆協力者PROFILE

細谷 正文
細谷 正文
大東文化大学・フェリス女学院大学講師/NPO法人世界遺産アカデミー認定講師

早稲田大学卒業。損害保険会社勤務の傍ら世界遺産を勉強し、退職後いくつかの大学にて関連講座を担当。現在は大学講師と趣味の音楽(クラシック歌手)の二刀流。