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時のカリフの保養地として築かれた都市
レバノンの東部、アンティ・レバノン山脈の麓にアンジャルという遺跡が残っています。レバノンにはフェニキア人の遺跡や古代ローマの遺跡がよく残っているのですが、このアンジャルはイスラームに関連する遺跡です。イスラーム最初の王朝とも言えるウマイヤ朝661年~750年)の第6代カリフ、アル・ワリード1世の命によって築かれた保養地です。アンジャルは当時の都であったダマスクスから約40km離れていましたが、この地には豊かな泉水があり、暑さを凌ぎやすかったので避暑地として選定されたのです。ローマ帝国やビザンツ帝国の遺構を再利用して作られたためその特色が残っており、発掘当初はそれらの帝国の遺跡だと思われていました。しかし、1940年代の調査でイスラーム王朝の都市遺跡ということが判明したのです。
わずか40年で放棄された夢の跡
遺跡には古代ローマを彷彿させるアーチ構造の建築や、古代ギリシアでよく使用されていた柱頭飾りが発見されており、前者は大通りに残り、後者はカリフの王宮の円柱に使用されました。また、王宮跡にはビザンツ帝国時代の聖堂建築様式が見られ、確かに一見するとイスラーム王朝の都市とは思えない見栄えです。アル・ワリード1世の趣向だったのか、古代文明を彷彿させるような都市でしたが、彼が亡くなってからの権力争いの結果、アンジャルの街は破壊され、わずか40年ほどで放棄されてしまいました。その後8世紀半ばにウマイヤ朝も滅び、まさしく夢の跡と言える遺跡となりましたが、ここはウマイヤ朝の繁栄を今に伝える貴重な遺跡です。
アクセス
首都ベイルートから車で約1時間30分。なお、当該地域には2026年1月時点で外務省より退避勧告が出ている。
執筆協力者PROFILE
世界遺産検定初代マイスターの一人。地歴公民科の教諭として7年間大阪の公立高校で勤務。現在、世界遺産アカデミー認定講師として大学や私立中学で講義、授業を展開。また、自身のYouTubeチャンネル「翼の世界史チャンネル」で受験世界史の動画を配信。
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首都ベイルートから車で約1時間30分。なお、当該地域には2026年1月時点で外務省より退避勧告が出ている。
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世界遺産検定初代マイスターの一人。地歴公民科の教諭として7年間大阪の公立高校で勤務。現在、世界遺産アカデミー認定講師として大学や私立中学で講義、授業を展開。また、自身のYouTubeチャンネル「翼の世界史チャンネル」で受験世界史の動画を配信。
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