カサ・ヴィセンス
カサ・ヴィセンスのファサード。アントニ・ガウディ初期の建築作品

構成資産DATA

建築家ガウディの出発点

カサ・ヴィセンスは、バルセロナの郊外グラシア地区にあります。1883年から1888年にかけて、通貨取引業者で株式仲買人のマヌエル・ヴィセンスと妻ドロルス・ヒラルトの夏の別荘として、若きガウディによって設計されました。この場所は当時グラシア村とよばれた農村でしたが、急速に都市化するバルセロナの労働者や中流階級の人々が移り住む地区として発展しました。30歳の若いガウディにとって初めての住宅建築であり、彼の建築家としての出発点ともいえる場所です。

曲線にいたる前の直線

夏の別荘として建てられたカサ・ヴィセンスは、採光や風通しを考慮して庭に面して設計されています。ガウディは外壁に東洋風のデザインや、イスラム建築に影響を受けたスペインの建築様式であるムデハル様式を取り入れました。鉄、陶器、レンガ、木材などさまざまな素材を組み合わせ、色鮮やかな幾何学模様を生みだしています。白と緑のタイルが市松模様のように配置されている外壁は直線的で、のちにガウディ建築を特徴づける曲線にいたる前の、彼の初期の作風をあらわした建物といえます。

カサ・ヴィセンス
カサ・ヴィセンスの屋上。白と緑のタイルが市松模様のように配置されている(©olyasolodenko/Adobe Stock)

インスピレーションの源である自然が見られる

カサ・ヴィセンスの入口の鉄扉はシュロの葉をかたどり、外壁のタイルにはマリーゴールドの花が描かれるなど、建物のいたる所に自然のモチーフが取り入れられています。内部は食堂を中心にベランダ、喫煙室、台所が配置され、その壁にはシュロ、マリーゴールドのほか、トケイソウ、オリーブ、ツタ、バラ、シダ、カーネーション、デイジー、ブラックベリーなどが描かれた装飾を見ることができます。またガウディは、「日常から離れて静かに考えごとができる場所」としてその屋上に上がることができるように設計し、自然を感じられる工夫もしています。

カサ・ヴィセンス
建物1階の内部から見たポーチ(©Pourya Gohari/Unsplash)

執筆協力者PROFILE

高等学校教諭/NPO法人世界遺産アカデミー認定講師/世界遺産検定マイスター

兵庫県出身。中学3年生の夏休みの台湾ひとり旅をきっかけに、旅行先の歴史・景色・料理など、世界を知る魅力のとりこになる。「世界遺産を学習して見て感動して」をモットーに活動。全国通訳案内士の資格も有し、日本の魅力も発信している。

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執筆協力者PROFILE

高等学校教諭/NPO法人世界遺産アカデミー認定講師/世界遺産検定マイスター

兵庫県出身。中学3年生の夏休みの台湾ひとり旅をきっかけに、旅行先の歴史・景色・料理など、世界を知る魅力のとりこになる。「世界遺産を学習して見て感動して」をモットーに活動。全国通訳案内士の資格も有し、日本の魅力も発信している。