グエル邸
ガウディのパトロンであったエウゼビ・グエルの邸宅として建てられた。モデルニスモ初期の建物のうちのひとつ

構成資産DATA

娘によって守られたガウディ初期の傑作

グエル邸は、1886年から1890年にかけて、バルセロナ中心部に実業家エウゼビ・グエル一家の住居と当時の富裕層が集まる社交空間として、建築家アントニ・ガウディによって設計されました。1918年のグエルの死後、邸宅は未亡人や相続人たちに受け継がれたのち、スペイン内戦中は警察署として使われた時期もありました。1944年アメリカの大富豪から邸宅の石材を一つずつ解体して自国に移築したいという申し出がありましたが、1945年グエルの末娘であるメルセ・イ・ロペスは、終身年金と建物を保存して文化的目的で使用する条件で邸宅をバルセロナ州議会に寄贈しました。

建物正面
建物正面にはカテナリーアーチの巨大な入口が2つある(©Maria/Adobe Stock)
建物正面
建物正面の中央にはカタルーニャ州旗(セニェラ)と力を象徴する兜、さらに不死鳥を表現した鉄製の装飾が施されている(©snowdrop/Adobe Stock)
階段
玄関から中2階へと至る階段。大理石の柱が並ぶ、宮殿のような雰囲気(©Tomasz Zielonka/Unsplash)

ガウディの工夫と特徴が見られるアール・ヌーヴォー様式

ガウディは限られた敷地と採光の少ない条件のもと、グエル邸の設計に取り組みました。邸宅にはグエルが所有する採石場の石が運ばれ、当時入手できる最高級の建材が使われました。建物の中央にある大広間は3階までの吹き抜けになっており、天井は多くの小さな穴から自然光が差し込む放射状のアーチに支えられたドームになっています。ガウディは各部屋の配置や遠近法によって、その狭さを感じさせない工夫をしています。また邸宅の屋上には、貝殻や放射状のアーチの形をした天窓や採光塔、コウモリなどの形の避雷針、装飾をほどこした笠を持つ煙突など、曲線で形づくられるガウディ建築の特徴を見ることができます。

中央の大広間の入口
中央の大広間の入口(©tatsuya/Adobe Stock)

大広間の吹き抜け
大広間の吹き抜け。ドームは六角形の板を組み合わせてつくられており、所々開いた穴から自然光が差し込む(©Manuel Torres Garcia/Unsplash)
3階
3階には家族の寝室や居室が設けられた(©snowdrop/Adobe Stock)
屋上
屋上には多様な形状の煙突が並ぶ(©vanhop/Adobe Stock)

煙突
破砕タイル(トレンカディス)で装飾された煙突(©Bianca/Adobe Stock)

執筆協力者PROFILE

高等学校教諭/NPO法人世界遺産アカデミー認定講師/世界遺産検定マイスター

兵庫県出身。中学3年生の夏休みの台湾ひとり旅をきっかけに、旅行先の歴史・景色・料理など、世界を知る魅力のとりこになる。「世界遺産を学習して見て感動して」をモットーに活動。全国通訳案内士の資格も有し、日本の魅力も発信している。

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執筆協力者PROFILE

高等学校教諭/NPO法人世界遺産アカデミー認定講師/世界遺産検定マイスター

兵庫県出身。中学3年生の夏休みの台湾ひとり旅をきっかけに、旅行先の歴史・景色・料理など、世界を知る魅力のとりこになる。「世界遺産を学習して見て感動して」をモットーに活動。全国通訳案内士の資格も有し、日本の魅力も発信している。