about
古代都市が中世ヨーロッパに適応した街並み
フランス南部のプロヴァンス地方に位置するアルルは、ローヌ川のデルタ地帯の始まり場所とされ、旧市街のすぐ脇をローヌ川が流れています。この地中海からも近いアルルが重要な都市となったのは、古代ローマが紀元前123年にこの地を占領して都市の整備を行ってからです。前104年には地中海につながる運河が築かれたほか、紀元前90年頃から円形闘技場やローマ劇場、地下回廊なども築かれ、軍事と貿易の両方で重要な拠点として都市が拡大しました。世界遺産には、こうした古代とロマネスクの時代から受け継がれてきた建造物や街並み、街路などの構造が中世ヨーロッパにうまく適応していったことが評価され、旧市街の街並みがエリアで登録されました。
ローマ時代の都市設備を今に伝える建造物群
アルルのシンボルでもある円形闘技場(レ・ザレーヌ)は、2万5,000人を収容し剣闘士たちの戦いなどが行われました。しかし、ローマ帝国が東西に分裂した後、6世紀末頃から要塞として使用されるようになり、円形劇場の内部には200以上の住居や教会などが築かれました。現在ではコンサートや闘牛などに用いられており、何もない日には多くの猫が自由に歩き回っています。また紀元前40年ころに建築が始まったとされる古代ローマ劇場は、サン・トロフィーム聖堂の建築の時に石切り場として使用されたため、現在は演劇などが行われた舞台の土台と、2本のコリント式の柱のみが残されています。
地中海世界に影響を与えたロマネスク芸術の傑作
ロマネスク様式の建築の代表例は、街の中心に位置するサン・トロフィーム聖堂と付属の回廊です。アルルにキリスト教を伝えた初代司教の聖トロフィムスに由来する名前のこの聖堂は、11~12世紀にかけて作られ、厚い壁や小さな窓、円いアーチ構造の窓、扉のうえの半円形のタンパンなど、ロマネスク様式の特徴がよく残されています。聖堂正面の門は、1178年に神聖ローマ皇帝フリードリヒ1世がアルル王国(ブルグント王国)の国王として戴冠する際に捧げられたものです。1180年頃に制作された正面の扉のタンパンには、聖書をもつイエス・キリストと、翼をもつ「4つの生き物(テトラモルフ:獅子、鷲、牡牛、天使)」が彫られており、ロマネスク芸術の傑作のひとつとされています。また、プロヴァンス地方で最も美しいと称される聖堂付属の回廊は、2回に分けて築かれたため、12世紀頃のロマネスク様式と、15世紀頃のゴシック様式の場所が見事に混在しています。
アクセス
リのリヨン駅からTGVで約3時間。そこから旧市街まで徒歩で約10分。
執筆協力者PROFILE
北海道大学大学院博士後期課程を満期単位取得退学。仏グルノーブル第Ⅱ大学留学。2008年より現職。世界遺産に関するさまざまな書籍の編集・執筆・監修を手掛けるほか、「チコちゃんに叱られる!」(NHK)などの多くのメディア出演や、全国各地で100本を超す講演・講座を実施している。著書に『13歳からの世界遺産』(マイナビ出版)、『世界遺産のひみつ』(イースト・プレス)など。
≫世界遺産の執筆記事一覧
≫構成資産・みどころの執筆記事一覧
≫コラムの執筆記事一覧
アクセス
リのリヨン駅からTGVで約3時間。そこから旧市街まで徒歩で約10分。
執筆協力者PROFILE
北海道大学大学院博士後期課程を満期単位取得退学。仏グルノーブル第Ⅱ大学留学。2008年より現職。世界遺産に関するさまざまな書籍の編集・執筆・監修を手掛けるほか、「チコちゃんに叱られる!」(NHK)などの多くのメディア出演や、全国各地で100本を超す講演・講座を実施している。著書に『13歳からの世界遺産』(マイナビ出版)、『世界遺産のひみつ』(イースト・プレス)など。
≫世界遺産の執筆記事一覧
≫構成資産・みどころの執筆記事一覧
≫コラムの執筆記事一覧
Similar Heritage
特徴が似た遺産を探す