聖山アトス
エーゲ海を臨む崖の上に位置するシモノペトラ修道院

遺産DATA

地域 : ヨーロッパ 保有国 : ギリシャ共和国 所在地 : Autonomous region of Mount Athos 分類 : 複合遺産 登録年 : 1988年 登録基準 : (i) (ii) (iv) (v) (vi) (vii) 遺産の面積 : 330.423㎢ 座標 : N40 16 0.012 E24 13 0

about

厳しい自然環境の中で築かれた修道院

エーゲ海に突き出たアクティ半島は、全体がギリシャ正教の聖地です。その東南端にそびえる標高2,000mを越える山がアトス山であり、「聖山アトス」と呼ばれています。この世界遺産は同じくギリシャ正教徒の聖地である『メテオラの修道院群』と同じ1988年に、どちらも複合遺産として登録されました。このあたりの海岸線は非常に複雑であり、その結果、ギリシャでもっとも多くの種類の植物が育っているのです。なお、陸のルートは封鎖されており、巡礼者や観光客は船からしか聖山アトスに行けなくなっています。ダフニ港が入山するための唯一の入り口なのです。修道士がこの地に最初に修道院を築いたのは10世紀半ばと言われていて、以降、次々と修道院が建てられていきます。現在活動する修道院の数は約20です。

女人禁制を厳しく守る理由

聖山アトスは女人禁制の聖山でも有名であり、古くからその伝統を守っています。その様相から「聖母の花園」とも言われています。伝説によるとこの厳しいルールを決めたのは聖母マリアとも言われています。年老いたマリアがエルサレムからキプロスに向かう途中、乗っていた船が激しい嵐に遭遇し、アトスに漂着してしまいます。しかし、この地には異教徒が住んでいました。マリアが一歩足を踏み入れると大地が動き、異教の偶像が一瞬で破壊されたと言われています。これをマリアは祝して、自らの休息の地とし、他のいかなる女性の立ち入りも禁じたと言われています。実際に女人禁制としたのはビザンツ帝国であり、当時はなんと空を飛ぶ鳥以外は動物の雌でさえ入山禁止としていたようです。なお、この女人禁制に関しては、欧州議会の一部からは非難されていますが、この地の伝統や文化を守るという観点から、今も続けられています。

アクセス

テッサロニキからウラノポリまでバスで約2時間半。そこから船でダフニ港まで約2時間。 男性しか入山できない。

執筆協力者PROFILE

藤井 翼
藤井 翼
NPO法人世界遺産アカデミー認定講師

世界遺産検定初代マイスターの一人。地歴公民科の教諭として7年間大阪の公立高校で勤務。現在、世界遺産アカデミー認定講師として大学や私立中学で講義、授業を展開。また、自身のYouTubeチャンネル「翼の世界史チャンネル」で受験世界史の動画を配信。

遺産DATA

所在地 : Autonomous region of Mount Athos
分類 : 複合遺産
登録年 : 1988年
登録基準 : (i) (ii) (iv) (v) (vi) (vii)
遺産の面積 : 330.423㎢
座標 :N40 16 0.012 E24 13 0

アクセス

テッサロニキからウラノポリまでバスで約2時間半。そこから船でダフニ港まで約2時間。 男性しか入山できない。

執筆協力者PROFILE

藤井 翼
藤井 翼
NPO法人世界遺産アカデミー認定講師

世界遺産検定初代マイスターの一人。地歴公民科の教諭として7年間大阪の公立高校で勤務。現在、世界遺産アカデミー認定講師として大学や私立中学で講義、授業を展開。また、自身のYouTubeチャンネル「翼の世界史チャンネル」で受験世界史の動画を配信。