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孤島となったため独自の進化遂げた動植物
アツィナナナの熱帯雨林は、インド洋に浮かぶマダガスカルの北東部から南東部にかけて点在します。これは、島で最大のマソアラ国立公園や、26種のキツネザルや多くの鳥類が暮らすラノマファナ国立公園など、6つの国立公園で構成される自然遺産です。海辺から標高2,500メートルを超える山地まで、さまざまな環境に熱帯雨林が広がります。この島は、かつてゴンドワナ大陸の一部でしたが、約6000万年から8000万年前に、ほかのすべての陸地から分離し、孤島となりました。そのため、ここに生息する動植物は孤立しながらも独自の進化を遂げていきました。
森林伐採や密猟が原因で危機遺産に
マダガスカルは、「メガ・ダイバーシティ」(豊かな生物多様性)で知られる世界有数の国のひとつです。アツィナナナの熱帯雨林はまさに動植物の宝庫で、8~9割は固有種です。固有植物種は1万2,000種にも上ります。しかし、近年、貧困や人口の急増により森林伐採が進み、マダガスカル東部の森林は、もともとあった原生林のうち、もはや8.5%しか残っていません。それでも、同国で確認されている120種以上の哺乳類のうち78種はこの熱帯雨林で暮らし、そのうちの72種は絶滅危惧種となっています。ローズウッドや黒檀などの貴重な木材を含む森林の違法伐採、さらには密猟など、この地域にはさまざまな課題があり、2010年にはやむなく危機遺産リストに記載されました。その後、ユネスコのBIOCOMというプロジェクトを通じて森林被覆率が63%まで回復し、違法伐採や密猟についても状況の改善が進んだことが評価され、2025年に危機遺産リストから削除されました。
アクセス
執筆協力者PROFILE
北海道出身。高校時代にAFSでタイ王国へ交換留学。その後、同志社大学へ進学し、卒業後は専門紙記者として10年働いたのち、一般メディアで編集および取材活動に従事。世界遺産検定マイスター。特に好きな分野は、一神教などの宗教・信仰関連遺産。趣味は華道。
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執筆協力者PROFILE
北海道出身。高校時代にAFSでタイ王国へ交換留学。その後、同志社大学へ進学し、卒業後は専門紙記者として10年働いたのち、一般メディアで編集および取材活動に従事。世界遺産検定マイスター。特に好きな分野は、一神教などの宗教・信仰関連遺産。趣味は華道。
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