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西欧諸国による囚人流刑と植民地拡大政策
『オーストラリアの囚人収容所遺跡群』は、18世紀から19世紀に大英帝国によってオーストラリアにつくられた約3,000の刑務所のうち、ポート・アーサーの刑務所、カスケーズ女子工場、ダーリントン保護観察所、フリーマントル刑務所など11の施設で構成されています。当時のオーストラリアは大英帝国の流刑地で、1787年から1868年までの約80年の間に、約17万人もの成人男女や子どもが囚人としてオーストラリアに送られ、港や道路、農地、造船所の建設などインフラ整備に従事させられました。
懲罰としての収監と植民地開拓の労働による更生
各施設には、懲罰としての収監と植民地開拓のための労働を通しての更生という2つの役目がありました。タスマニア島に位置するポート・アーサーは、国内最大の流刑地で、隔絶された環境から脱出不可能とされる過酷な土地でした。カーナヴォン湾の対岸にあるポイント・ピュアは、9歳から18歳までの少年が約3,500人収容されていました。このような囚人収容所の建設や植民地開拓は、アボリジニとの間で大きな衝突を生み出しました。アボリジニの土地の収用や移住の強制、疫病の流行、武力衝突など、深刻な影響をもたらしました。釈放後はその多くが現地に留まり、オーストラリアの人口構成にも大きな影響を与えました。西欧諸国による大規模な囚人流刑とその労働力を使った植民地拡大政策を今に伝える最大の例証といえます。
アクセス
日本からシドニーまで飛行機で10時間程度。シドニー周辺に構成資産が複数ある。タスマニア島へはシドニーやメルボルンなどを経由して飛行機で14〜20時間程度。
執筆協力者PROFILE
慶應義塾大学大学院修士課程修了。桐蔭学園高校地理科教諭。神奈川県高文連社会科専門部会事務局長。東京大学空間情報科学研究センター協力研究員。(社)日本ICOMOS会員。山川出版社地理用語集編集委員。高校地理の教科書・地理用語集などを執筆・編集。
アクセス
日本からシドニーまで飛行機で10時間程度。シドニー周辺に構成資産が複数ある。タスマニア島へはシドニーやメルボルンなどを経由して飛行機で14〜20時間程度。
執筆協力者PROFILE
慶應義塾大学大学院修士課程修了。桐蔭学園高校地理科教諭。神奈川県高文連社会科専門部会事務局長。東京大学空間情報科学研究センター協力研究員。(社)日本ICOMOS会員。山川出版社地理用語集編集委員。高校地理の教科書・地理用語集などを執筆・編集。
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