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古代メソポタミア文明にまで遡る歴史的都市遺跡
バグダードの南約85kmに位置する『バビロン』は古代世界で最も強い影響力を持った帝国が存在したことを示す遺跡です。「バビロン」の名は古代アッカド語で「神の門」という意味の言葉に由来します。この地が最初に歴史に登場するのは紀元前23世紀ごろの古代アッカド帝国時代に遡ります。紀元前19世紀ごろに「ハンムラビ法典」で知られる古バビロニア王国(バビロン第1王朝)が興り、ここを首都としました。その後ヒッタイトやアッシリアなどの支配を受けますが、紀元前7世紀に新バビロニア王国その都となりました。「ユダヤ人のバビロン捕囚」で有名なネブカドネザル2世の時代には、当時の世界でもっとも人口の多い繁栄した都市であったと伝わっています。その後のペルシャ帝国やアレクサンダー大王の時代にも繁栄は続きましたが、7世紀のイスラム勢力の侵攻による破壊以降衰退し、10世紀以降は打ち捨てられました。
「古代世界の七不思議」のひとつ「バビロンの空中庭園」は?
この地は『旧約聖書』創世記には「バベル」という名で登場します。現在遺跡の中心にあるジッグラト(日干レンガで築かれた階段ピラミッド状の聖塔神殿)は伝説上の「バベルの塔」ではないかと言われています。この地で信仰されていたマルドゥク神の神殿などもあり、各時代の遺跡が残されています。特に女神イシュタルにちなんでネブカドネザル2世が造ったと伝わるイシュタル門は現在青いタイル張りで美しく復元されていますが、現地にあるのはレプリカで、本物はベルリンのペルガモン博物館に保存されています。ネブカドネザル2世は古代世界の七不思議のひとつである「空中庭園」も建設したともいわれていますが、実在したかどうかはいまだ論争中です。
遺跡のほとんどはまだ発掘調査されていない
いまこの広大な古代の遺跡には壊れた泥レンガの建物やがれきの山が目立ちますが、ここには古代メソポタミア地方の歴史文化についてのたいへん貴重な遺物がまだまだ数多く埋蔵されています。しかし、これまでに調査・発掘されたのはごく一部で、面積としては城壁内外で2〜3%、地層の時代区分としては1%以下とのことです。19世紀から本格的な発掘作業が開始されたものの、地下水位の上昇や政治情勢不安と略奪の横行などで困難が増しています。このままでは遺跡そのものの損傷も懸念されます。
アクセス
イラクの首都バグダードの南約85kmに位置。イラク国内には、外務省から渡航禁止(レベル3)や退避勧告(レベル4)が出ているエリアがある。
執筆協力者PROFILE
早稲田大学卒業。損害保険会社勤務の傍ら世界遺産を勉強し、退職後いくつかの大学にて関連講座を担当。現在は大学講師と趣味の音楽(クラシック歌手)の二刀流。
アクセス
イラクの首都バグダードの南約85kmに位置。イラク国内には、外務省から渡航禁止(レベル3)や退避勧告(レベル4)が出ているエリアがある。
執筆協力者PROFILE
早稲田大学卒業。損害保険会社勤務の傍ら世界遺産を勉強し、退職後いくつかの大学にて関連講座を担当。現在は大学講師と趣味の音楽(クラシック歌手)の二刀流。
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