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「千一の城塞の国」と呼ばれたオマーン地方
「バフラの砦」とは、オマーン北部のアフダル山麓に位置する、同国最大級の砦です。オマーン地方では、6世紀から7世紀頃にアラブ人のアズド族が支配し、外敵の侵入から街を守るために徐々に砦が作られていきました。外敵とは、海を渡ってくるペルシア人や砂漠の遊牧民であるベドウィンを指し、彼らの攻撃に耐えるためにアスワールという避難小屋や、スールという小規模な砦が数多く作られました。このスールが徐々に大規模化し、その中でも最大級のものがオアシス都市であったバフラの砦です。12世紀半ばから15世紀末にかけては、この地をバヌ・ネブハン族が支配しており、日干しレンガで砦を増改築していき、16世紀には現在の姿になったと言われています。このようにして、あまりにも多くの城塞がオマーン地方に存在したため、「千一の城塞の国」と呼ばれました。
外敵の侵入を防いだ堅牢な砦の繁栄
14世紀から建築されたバフラの街を囲む市壁は総延長12kmであり、上部には巡視路が張り巡らされ、要所には132の監視塔が配置されていました。外敵の侵入も多かったのですが、商業的にも発展し、特にバフラは陶器の産地としても名高く、その交易で栄えました。街では現在でも陶器工場が運営されており、いたるところで陶窯が見られます。また、砦の周辺にはスーク(市場)やペルシア時代の灌漑施設が残り、14世紀に建造された「金曜モスク」も朽ち果てて放置されてはいますが、当時の繁栄ぶりを示す例となっています。ただ、1987年に世界遺産に登録された当時、雨季のたびに砦が著しく崩壊していて、保存状態は良くありませんでした。翌年に危機遺産に登録されましたが、モロッコの協力を得て修復活動を行なった結果、2004年には危機遺産から解除されました。
アクセス
首都マスカットから車で約3時間。
執筆協力者PROFILE
世界遺産検定初代マイスターの一人。地歴公民科の教諭として7年間大阪の公立高校で勤務。現在、世界遺産アカデミー認定講師として大学や私立中学で講義、授業を展開。また、自身のYouTubeチャンネル「翼の世界史チャンネル」で受験世界史の動画を配信。
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世界遺産検定初代マイスターの一人。地歴公民科の教諭として7年間大阪の公立高校で勤務。現在、世界遺産アカデミー認定講師として大学や私立中学で講義、授業を展開。また、自身のYouTubeチャンネル「翼の世界史チャンネル」で受験世界史の動画を配信。
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