about
水に関わる遺産による文化的景観
インドネシアのジャワ島の東に浮かぶバリ島には、湖、寺院、そして優れた灌漑システムを持つ棚田景観など5つの地域で構成された世界遺産があります。それらは、神、人、自然の調和を表す文化的景観として登録されました。5つの構成資産のなかで、「バトゥール湖」は泉や川の起源である女神が住むとされていて、「ウルン・ダヌ・バトゥール寺院」は、湖の水の女神を祀っています。そして、バリ島最大規模の「タマン・アユン寺院」は、水を司る王立寺院とされています。このように、バリでは水に関わる遺産が見られます。
「トリ・ヒタ・カラナ」に基づく「スバック」
インドネシアでは、人口の87%がイスラム教を信仰していますが、バリ島があるバリ州では島の人口の90%がバリ・ヒンドゥー教を信仰しています。バリ・ヒンドゥー教は、土着の信仰やヒンドゥー教、インド仏教などが融合した独自の宗教です。水が神格化されていて、「トリ・ヒタ・カラナ」と呼ばれる哲学を持ちます。「トリ・ヒタ・カラナ」は、神と人と自然の調和をもたらす宇宙観を反映した概念です。その哲学に基づいて、灌漑用水を管理して分け合う社会共同体の水利システム「スバック」が、9世紀頃から継承されて来ました。11世紀以来、寺院はバリ島のすべての流域の棚田の水路を管理するようになりました。民主的に水を分け合う灌漑システムにより、平地と山間部の両方へ水を引くことが可能となり、豊かな米の収穫につながっています。
アクセス
ジャカルタからバリ島デンパサール空港まで約1時間50分。デンパサール空港からバトゥール山・バトゥール湖まで車で約2時間。
執筆協力者PROFILE
米国総合化学会社の日本法人にて海外人事部門などで40年間勤務した後、筑波大学大学院人間総合科学研究科世界文化遺産学専攻の博士課程を修了。博士(世界遺産学)。日本造園学会会員。日本シルク学会会員。元大東文化大学国際関係学部非常勤講師。
アクセス
ジャカルタからバリ島デンパサール空港まで約1時間50分。デンパサール空港からバトゥール山・バトゥール湖まで車で約2時間。
執筆協力者PROFILE
米国総合化学会社の日本法人にて海外人事部門などで40年間勤務した後、筑波大学大学院人間総合科学研究科世界文化遺産学専攻の博士課程を修了。博士(世界遺産学)。日本造園学会会員。日本シルク学会会員。元大東文化大学国際関係学部非常勤講師。
Similar Heritage
特徴が似た遺産を探す