盤亀川沿いの岩面彫刻群
周辺に建設されたダムの影響でたびたび水没していたが、保全計画が進められている(ⒸAmlou2518/Wikimedia Commons/CC BY-SA 4.0

遺産DATA

地域 : 東・東南アジア 保有国 : 大韓民国 分類 : 文化遺産 登録年 : 2025年 登録基準 : (i) (iii) 遺産の面積 : 0.4369㎢ バッファ・ゾーン : 1.4415㎢ 座標 : N35 36 30.42 E129 10 26.39

about

東アジア沿岸に残る岩絵文化

韓国南東部の盤亀川沿いにある『盤亀川沿いの岩面彫刻群』は、かつて盤亀川と呼ばれた、現在の大谷川流域に位置する「盤亀台岩刻画」と「川前里の銘文・岩刻画」の2つの遺跡をまとめた呼称です。約3kmにわたって層状の崖が広がる自然景観の中にあり、岩絵は紀元前5,000年頃から9世紀まで、世代を超えた人々によって石や金属の道具で刻まれました。描かれた内容は動物や人間、狩猟の場面、同心円や菱形、文字など多彩で、当時の文化や芸術表現をよく伝えています。特にクジラや狩猟の場面は、東アジアにおける先史時代の海洋漁労の最古の証拠として注目されています。岩に刻まれたこれらの絵や文字は、制作者たちの優れた観察力と創造力を示す貴重な文化遺産です。

岩絵からわかる人類史の発展

盤亀川沿いの岩絵は、およそ6,000年間続いた岩刻文化の証です。大谷里では新石器時代に動物をモチーフにしたものが多く、その後、天井里へと上流に広がり、青銅器時代から新羅時代にかけて人の描写や文字も刻まれました。川沿いのわずか3kmの範囲に、異なる時代の多様な岩絵が残っており、当時の社会や文化の重要な側面を伝えています。これらの岩絵は、東アジア沿岸の人々が狩猟採集社会から農耕社会へ、さらにその後の歴史にかけてどのように文化や美意識を発展させたのかを示す、非常に優れた証拠といえます。

アクセス

釜山から蔚山まで鉄道で約1時間。さらに蔚山から岩面彫刻群まで車で約30分。

執筆協力者PROFILE

KANAE
KANAE
NPO法人世界遺産アカデミー認定講師/世界遺産検定マイスター/Podcast「行きたくなる世界遺産!」パーソナリティ

世界遺産をテーマに、文化・歴史・自然の魅力を多角的に伝えるPodcast番組を展開。遺産の価値に加え、現代に通じる暮らしの哲学や自然共生の視点を取り入れた発信を行う。大学や世界遺産関連施設での講演・イベント出演のほか、2025年大阪・関西万博での登壇も経験。

遺産DATA

保有国 : 大韓民国
分類 : 文化遺産
登録年 : 2025年
登録基準 : (i) (iii)
遺産の面積 : 0.4369㎢
バッファ・ゾーン : 1.4415㎢
座標 :N35 36 30.42 E129 10 26.39

アクセス

釜山から蔚山まで鉄道で約1時間。さらに蔚山から岩面彫刻群まで車で約30分。

執筆協力者PROFILE

KANAE
KANAE
NPO法人世界遺産アカデミー認定講師/世界遺産検定マイスター/Podcast「行きたくなる世界遺産!」パーソナリティ

世界遺産をテーマに、文化・歴史・自然の魅力を多角的に伝えるPodcast番組を展開。遺産の価値に加え、現代に通じる暮らしの哲学や自然共生の視点を取り入れた発信を行う。大学や世界遺産関連施設での講演・イベント出演のほか、2025年大阪・関西万博での登壇も経験。