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1,700年以上忘れ去られていた神殿
ペロポネソス半島中央部のアルカディア地方の緑の丘に、壮大な神殿がそびえたっています。この神殿は紀元前5世紀後半のギリシャ文明最盛期にあたる、紀元前420~前400年頃にフィガリア人により建設されました。当時、近隣ではペストが流行していたのですが、この地方には被害が及ばなかったため、市民はそれをアポロン神の加護だと信じて、標高1,160mの地に神殿を建てました。僻地に建設されたこともあり、1765年に発見されるまで1,700年以上歴史の舞台から姿を消していましたが、同時に石材などが盗まれることもなく、結果的に保存状態の良いままで遺されました。
ほかのギリシャ神殿では見られない特徴
アポロン・エピクリオス神殿は、アテネのパルテノン神殿の後に造られた神殿の中でも最初期の神殿のひとつであり、列柱にドーリア式、イオニア式、コリント式の融合が見られます。また、正面の柱が6本、側面が15本という変則的な柱の数や、柱に支えられた水平材の帯状の装飾が、内陣の内側のみに施されている点など、他のギリシャ神殿とは違う点がいくつもあります。西暦174年頃に神殿を訪れた旅行家パウサニアスは、神殿の美しさと調和を賞賛しました。また、ギリシャ古典様式からヘレニズム様式へと移行する際の先駆的な建築物になっていたとも推測できます。なお、発見当時の保存状態は良かったものの、近年は神殿の損傷が激しいため、1965年より修復活動が始まり、現在でも巨大なテントが神殿を覆っています。
アクセス
首都アテネから車で約5時間。
執筆協力者PROFILE
世界遺産検定初代マイスターの一人。地歴公民科の教諭として7年間大阪の公立高校で勤務。現在、世界遺産アカデミー認定講師として大学や私立中学で講義、授業を展開。また、自身のYouTubeチャンネル「翼の世界史チャンネル」で受験世界史の動画を配信。
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首都アテネから車で約5時間。
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世界遺産検定初代マイスターの一人。地歴公民科の教諭として7年間大阪の公立高校で勤務。現在、世界遺産アカデミー認定講師として大学や私立中学で講義、授業を展開。また、自身のYouTubeチャンネル「翼の世界史チャンネル」で受験世界史の動画を配信。
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