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ジャワ島奥地の森林に忘れ去られていた仏教寺院遺跡
『ボロブドゥールの仏教寺院群』は、ジャワ島中部にある仏教の石造遺跡群です。8~9世紀にかけてシャイレンドラ朝によって建設されました。インドから伝播した仏教の流れは、主に東南アジア方面で広まった「上座部仏教」と、中国経由で日本にも伝わってきた「大乗仏教」に大別されますが、この遺産は大乗仏教の寺院遺跡です。王朝がわずか100年で滅亡すると、近くにあるムラピ山の火山灰に埋もれ、植物に覆われて忘れ去られていきました。それから約1,000年後の1814年、英国のジャワ総督代理とオランダ人技師により、密林の中から「発見」されました。最大規模のボロブドゥール寺院、ムンドゥー寺院とパウォン寺院から構成され、3つの寺院はほぼ東西一直線に並んでいます。
世界最大級のストゥーパで巨大な立体曼荼羅
ボロブドゥール寺院は、780年頃から建設が始められ、8世紀末には一応の完成をみたとされます。最大の特徴は寺院でありながら、内部空間をもっていないことです。一辺約120mの基壇の上に5層の方形壇、さらにその上に3層の円形壇が重なる全9層の階段ピラミッド状の構造で、最上部には大ストゥーパが設置されています。方形壇には露天の回廊があり、その壁には仏教説話に基づくレリーフが総面積2,520㎡にわたって施されています。巡礼者はこの回廊を巡りながら、釈迦の教えを学ぶことができる構造となっています。円形壇の上には釣鐘型のストゥーパ(仏塔)が72基あり、それぞれに仏像が1体ずつ納められています。寺院自体が世界最大級のストゥーパであり、仏教的宇宙観を象徴する巨大な「立体曼荼羅」と言えます。
国際的な支援を受けて大規模な修復工事が行われた
ボロブドゥールの仏教寺院は、カンボジアの「アンコール遺跡」やミャンマーの「バガン遺跡」とならび、世界三大仏教遺跡のひとつとして有名です。しかし、インドネシア独立の1960年代初頭には崩壊寸前の危機にありました。1973~82年にかけて、ユネスコ主導で大規模な修復工事が行われ、日本も技術面において大きく貢献しました。インドネシアは日本と同じく地震大国であり、その後の地震や噴火により被害を受けているため、継続的に調査や修復計画が実施されています。
アクセス
ジョグジャカルタ市内からタクシーやバスで1時間半ほど。
執筆協力者PROFILE
早稲田大学卒業。損害保険会社勤務の傍ら世界遺産を勉強し、退職後いくつかの大学にて関連講座を担当。現在は大学講師と趣味の音楽(クラシック歌手)の二刀流。
Properties
ボロブドゥール寺院
Borobudur Temple
ムンドゥー寺院
Mundut Temple
パウォン寺院
Pawon Temple
アクセス
ジョグジャカルタ市内からタクシーやバスで1時間半ほど。
執筆協力者PROFILE
早稲田大学卒業。損害保険会社勤務の傍ら世界遺産を勉強し、退職後いくつかの大学にて関連講座を担当。現在は大学講師と趣味の音楽(クラシック歌手)の二刀流。
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