隊商都市ボスラ
ローマ劇場。黒い玄武岩が建材に使用されているため、全体的に黒みを帯びている

遺産DATA

地域 : 西・南アジア 保有国 : シリア・アラブ共和国 所在地 : Governorate of Deraa 分類 : 文化遺産 登録年 : 1980年 範囲変更年 : 2017年 危機遺産 : 2013年~ 登録基準 : (i) (iii) (vi) 遺産の面積 : 1.162㎢ バッファ・ゾーン : 2.004㎢ 座標 : N32 31 9 E36 29 3

about

ローマ帝国の州都として繁栄した都市

シリア南部のハウラン平原に広がるボスラは、1世紀頃、ナバテア王国の北の都でありましたが、2世紀初頭にローマ帝国アラビア属州の州都になると穀倉地帯として繁栄しました。この一帯は湧水が多く、肥沃な土壌に恵まれていました。町には他のローマの都市にあるような聖堂、娯楽施設、公共浴場などが作られていきました。また、長さ100mにも及ぶ地下道は、倉庫の役割を果たしていました。これは、ボスラが地中海とアラビア海を結ぶ通商路の途中にあり、様々な物資を保存しなければならなかったためと考えられています。興味深いのが、この遺跡が全体的に黒っぽいことです。これは、建材が黒い玄武岩であるからであり、他のローマ遺跡が大理石などを使用して全体的に白っぽいので、対照的であります。また、イスラーム勢力が入ってきてからの遺構も残されており、特にアル・オマリ・モスクは8世紀初頭の建造であり、イスラーム世界でも最古のモスクの一つと言われています。

要塞と化したローマ劇場

37列の座席に5,000人を収容できたローマ劇場は、ボスラの遺跡で最も重要なものと言えます。中東最大規模の半円形の劇場であり、特筆すべきなのがその保存状態の良さです。これは、他の地域のローマ劇場と比べても最良と言えるものであり、これ程保存状態が良いことには理由があります。それは、7世紀以降、イスラーム勢力がこの地域を支配した時、この劇場を要塞としたからです。外壁が作られてより強固になった元劇場は、二度の十字軍の侵攻にも耐え、その後砂に埋もれたため、ほぼ完全な形で残ったのです。現在でも上空から見ると、元劇場をしっかり囲う濠が確認できます。建物の本来の用途が変わったことにより、完全な状態で残ったということは皮肉ではありますが、非常に興味深い事例と言えるでしょう。残念ながら、2011年に発生したシリア内戦に伴い危機遺産となり、現在も解除されていません。

アクセス

首都ダマスカスから車で約2時間半。

執筆協力者PROFILE

NPO法人世界遺産アカデミー認定講師

世界遺産検定初代マイスターの一人。地歴公民科の教諭として7年間大阪の公立高校で勤務。現在、世界遺産アカデミー認定講師として大学や私立中学で講義、授業を展開。また、自身のYouTubeチャンネル「翼の世界史チャンネル」で受験世界史の動画を配信。

遺産DATA

所在地 : Governorate of Deraa
分類 : 文化遺産
登録年 : 1980年
範囲変更年 : 2017年
危機遺産 : 2013年~
登録基準 : (i) (iii) (vi)
遺産の面積 : 1.162㎢
バッファ・ゾーン : 2.004㎢
座標 :N32 31 9 E36 29 3

アクセス

首都ダマスカスから車で約2時間半。

執筆協力者PROFILE

NPO法人世界遺産アカデミー認定講師

世界遺産検定初代マイスターの一人。地歴公民科の教諭として7年間大阪の公立高校で勤務。現在、世界遺産アカデミー認定講師として大学や私立中学で講義、授業を展開。また、自身のYouTubeチャンネル「翼の世界史チャンネル」で受験世界史の動画を配信。