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ヨーロッパにも経済的影響をもたらした銀の輸送路
カミノ・レアル・デ・ティエラ・アデントロは「大地にある王の道」という意味で「銀の道」としても知られています。メキシコシティからアメリカのサンタフェまで全長2,600kmの道で、そのうちメキシコ内陸部の1,400km区間の鉱山や聖堂、市街などが世界遺産に登録されています。16世紀から約300年間使用されたこのルートは主にメキシコの銀山で採掘した銀やヨーロッパから輸入した水銀の輸送路として使用されました。ここからヨーロッパへ運ばれた銀はヨーロッパ各地の経済へ影響を与え、インフレの要因にもなりました。
銀以外も輸送した王の道
アメリカやメキシコの先住民の古代の交易路が起源とされる、この道は古くから先住民の南北の交易ネットワークの一つでした。16世紀にスペイン王立の道路としてルートが確立されると、先住民の間では社会的・文化的・宗教的な交流が盛んになり、ルート沿いには多民族の街が建設されるようになりました。先住民以外にも入植者や司祭、役人、交易業者や奴隷もこの道を通りました。物資や情報の伝達もこの道を通して行われ、主要な通信・商業地の一つでした。道を通る貨物には王の勅令や郵便物、伝達所の物資が積まれていることもありました。
紛争による影響も受けた道
1680年、アメリカの先住民指導者率いる反乱により、この道のルートが途絶えました。この反乱により、人々はヌエバ・エスパーニャを離れ、現在のテキサス州エルパソとチワワ州フアレスへと移動しました。彼らはこの地域に滞在中に、イスレタ、ソコロ、サン・エリザリオの3つのミッションを建設しました。1692年、ディエゴ・デ・バルガス率いるスペイン軍がヌエバ・エスパーニャを再征服し、かつて放棄されていたミッションを再建しました。道はその後も紛争と平和を続けながら交易路として、19世紀末にアメリカ南部に鉄道が敷かれるまで機能しました。
アクセス
アメリカからはニューメキシコ州のサンタフェやアルバカーキ、テキサス州のエルパソなどの空港から国立歴史公園へアクセスできる。メキシコからはメキシコシティからそれぞれの都市へバスの利用が可能。
執筆協力者PROFILE
筑波大学人文・文化学群人文学類在学。2021年度「世界遺産✕SDGsチャレンジ!」小論文部門、2022年度「世界遺産✕SDGs教員養成プログラム」で最優秀賞。現在は中央アジアを中心とする無形文化遺産の保護や活用について関心がある。
アクセス
アメリカからはニューメキシコ州のサンタフェやアルバカーキ、テキサス州のエルパソなどの空港から国立歴史公園へアクセスできる。メキシコからはメキシコシティからそれぞれの都市へバスの利用が可能。
執筆協力者PROFILE
筑波大学人文・文化学群人文学類在学。2021年度「世界遺産✕SDGsチャレンジ!」小論文部門、2022年度「世界遺産✕SDGs教員養成プログラム」で最優秀賞。現在は中央アジアを中心とする無形文化遺産の保護や活用について関心がある。
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