シャーロットヴィルのモンティチェロとヴァージニア大学

才能あふれる建築家でもあったトマス・ジェファソン

アメリカ独立宣言の起草者であり、合衆国第3代大統領であるトマス・ジェファソン（1743〜1826）は、新古典主義建築に秀でた才能を有する建築家でもありました。彼は、自身のプランテーションであるモンティチェロと、その約8km北西に位置するシャーロットヴィルにヴァージニア大学を設計しました。ヴァージニア大学は、ジェファソンが理想とした教育理念を実現するために創設されたもので、独特のU字型平面プランを特徴としています。中心にはロタンダが据えられ、南側にはパビリオン、ホテル、学生用の居室、庭園などが整然と配置されています。これらの建築群は、自然環境との調和、機能主義と象徴主義の融合を通じて、新古典主義建築の優れたかつ個性的な例といえます。古典および当時の建築様式を綿密に研究した成果が随所に表れており、ジェファソンが描いた新しいアメリカ合衆国の理想像を色濃く反映しています。

独創的な設計と洗練された装飾美が光る

モンティチェロとヴァージニア大学は、その独創的な設計と、洗練されたプロポーションおよび装飾において際立った存在です。モンティチェロの邸宅は、ドーム屋根、ドーリア式の柱が支えるポルティコ、古代ローマ建築に由来するコーニスとフリーズを備えた赤レンガ造の壮麗な建物であり、内部には35の部屋が設けられています。パッラーディオ風の古典様式とイギリスの別荘建築が調和しており、格調高い佇まいを見せています。ヴァージニア大学は、ローマのパンテオンを想起させるロタンダを中心に、10のパビリオンが配置されており、自由、高貴、自己決定、教育、農業と結びついた繁栄といった古代ローマの理想を象徴しています。