モルドヴァ地方の教会群
モルドヴィツァ教会。内外に聖人や天使の像、黙示録の場面などが描かれている

遺産DATA

地域 : ヨーロッパ 保有国 : ルーマニア 分類 : 文化遺産 登録年 : 1993年 範囲拡大年 : 2010年 登録基準 : (i) (iv) 座標 : N47 46 42 E25 42 46

about

「キリスト教世界の番人」が築いた教会群

ルーマニアの北部、北モルドヴァにある、ヨーロッパでも類を見ないユニークな教会群が「モルドヴァ地方の教会群」です。これらは15~16世紀にかけてシュテファン公のもと最盛期を迎えたモルドヴァ公国の遺産で、各地に点在しています。強大な権力を持ったシュテファン公は「キリスト教世界の番人」を自任していたとされ、オスマン帝国の侵略を阻止し国の自治を守った名君として知られています。彼はオスマン帝国の攻撃を撃退するたびに、新しい教会を建てたといわれています。これらの聖堂群は、シュテファン公とその後継者ペトル・ラレシュ公の時代を彷彿とさせるものであり、この遺産の見どころのひとつです。

建物の内外を彩るフレスコ画

モルドヴァにある12の教会のうち「スチャヴァ」「ヴォロネツ」「モルドヴィツァ」「フモール」「アルボーレ」「パトラウツィ」「プロポタ」「スチェヴィツァ」の8つの教会が世界遺産に登録されています。これらの聖堂は西ヨーロッパのものに比べると簡素な造りに見えますが、内外の壁が鮮やかな色彩のフレスコ画で埋め尽くされている点が特徴的です。風雨や太陽の日差しから壁画を守るために、屋根が建物から大きく突き出した構造になっていることも注目すべきポイントです。壁画の多くは聖書を題材としており、文字の読めない人々にも聖書の内容を伝えるために描かれたとされています。また、「エッサイの樹」はキリスト教美術の主題の一つとして、特に注目すべき作品です。

鮮やかなブルー「ヴォロネツの青」

特に有名なのが、ヴォロネツ修道院に描かれたフレスコ画です。鮮やかな青を基調とした壁画は「ヴォロネツの青」と呼ばれ、その美しさで広く知られています。この青色の顔料については、鉱物から製造されたという説やラピスラズリを使用したという説などがありますが、現在もその正確な原料は分かっておらず、謎のままとなっています。

アクセス

ルーマニアのモルドヴァ地方、スチャヴァ近郊に点在。ブカレストの北約360㎞にあり、スチャヴァまではブカレストから直行便が就航。ベルリンなどからは飛行機を乗り継ぐ。

執筆協力者PROFILE

宮澤 裕一
宮澤 裕一
NPO法人世界遺産アカデミー認定講師/保育士/社会福祉士

保育士の資格を取得後、2005年より児童関係の仕事に就く。仕事をしながら社会福祉士の資格を取得し、興味を持っていた世界遺産検定にも挑戦。世界遺産検定1級を複数回合格。現在は仕事と並行しながら保育や世界遺産を中心としたブログも執筆している。

遺産DATA

保有国 : ルーマニア
分類 : 文化遺産
登録年 : 1993年
範囲拡大年 : 2010年
登録基準 : (i) (iv)
座標 :N47 46 42 E25 42 46

アクセス

ルーマニアのモルドヴァ地方、スチャヴァ近郊に点在。ブカレストの北約360㎞にあり、スチャヴァまではブカレストから直行便が就航。ベルリンなどからは飛行機を乗り継ぐ。

執筆協力者PROFILE

宮澤 裕一
宮澤 裕一
NPO法人世界遺産アカデミー認定講師/保育士/社会福祉士

保育士の資格を取得後、2005年より児童関係の仕事に就く。仕事をしながら社会福祉士の資格を取得し、興味を持っていた世界遺産検定にも挑戦。世界遺産検定1級を複数回合格。現在は仕事と並行しながら保育や世界遺産を中心としたブログも執筆している。