デロス島
大理石のライオンのレプリカが並ぶ。本物は島内の考古学博物館に展示

遺産DATA

地域 : ヨーロッパ 保有国 : ギリシャ共和国 所在地 : Prefecture of Cyclades, Region of the South Aegean 分類 : 文化遺産 登録年 : 1990年 登録基準 : (ii) (iii) (iv) (vi) 遺産の面積 : 3.5064㎢ 座標 : N37 23 60 E25 16 0

about

太陽神と月の女神の誕生地

エーゲ海のほぼ中央、キクラデス諸島にあるデロス島は、伝説によると太陽神アポロンと月の女神アルテミスが誕生したとされている島です。紀元前3世紀に活躍した詩人カリマコスは、デロス島を「すべての島の中で最も神聖な島」と評しています。特にアポロンはオリンポス十二神の一柱であり、ゼウスの息子でもあることから、非常に重要な神とされていましいた。デロス島全体が考古遺跡となっており、ギリシャの遺跡の中でも最大級の規模を誇ります。

ギリシャ世界最大の商業の中心地へ

この島には新石器時代から人々が暮らしていましたが、紀元前9世紀以降にはアポロン神殿が建設されました。紀元前5世紀にペルシア戦争が勃発した際は、アテネを盟主とするデロス同盟が結成され、共同金庫がアポロン神殿に置かれました。紀元前426年にアテネによってデロス島での出産と埋葬が禁じられ、後にデロス人は島から追放されてしまいます。一時独立を回復するも、紀元前166年にローマ人がデロス島を自由港と宣言し、デロス人は再び追放されました。しかし、島には世界中から多くの裕福な商人や銀行家が集まり、東地中海の商業の中心地となりました。フレスコ画やモザイクタイルで装飾された豪華な邸宅や公共建造物を次々に建て、経済的にも非常に繁栄していきました。最盛期の人口は約2万5,000人と推定されています。

急速な衰退と廃墟化

デロス島の繁栄は、紀元前1世紀頃になると陰りがみえてきます。ポントス王ミトリダテス、ミトリダテスの同盟者であるアテノドロスによる2回の攻撃によりデロス島は急速に衰退していきます。その後、ビザンツ帝国、ヨハネ騎士団、オスマン帝国などの国や組織によって次々と占領されていき、また石灰を得るために神殿の柱などが焼かれて廃墟と化していきました。しかし、これらの国や組織が遺跡の上に新たな村や都市をつくらなかったため、廃墟になったといえども、多くの考古遺跡が残ることになりました。この地域は北風の影響が強いため、遺跡の保存状態は決して良いとは言えませんが、大理石のライオン像などの貴重な文化財は現在博物館で保管されており、工夫がされています。

アクセス

ミコノス島から船で約30分。島全体が世界遺産である。

執筆協力者PROFILE

藤井 翼
藤井 翼
NPO法人世界遺産アカデミー認定講師

世界遺産検定初代マイスターの一人。地歴公民科の教諭として7年間大阪の公立高校で勤務。現在、世界遺産アカデミー認定講師として大学や私立中学で講義、授業を展開。また、自身のYouTubeチャンネル「翼の世界史チャンネル」で受験世界史の動画を配信。

遺産DATA

所在地 : Prefecture of Cyclades, Region of the South Aegean
分類 : 文化遺産
登録年 : 1990年
登録基準 : (ii) (iii) (iv) (vi)
遺産の面積 : 3.5064㎢
座標 :N37 23 60 E25 16 0

アクセス

ミコノス島から船で約30分。島全体が世界遺産である。

執筆協力者PROFILE

藤井 翼
藤井 翼
NPO法人世界遺産アカデミー認定講師

世界遺産検定初代マイスターの一人。地歴公民科の教諭として7年間大阪の公立高校で勤務。現在、世界遺産アカデミー認定講師として大学や私立中学で講義、授業を展開。また、自身のYouTubeチャンネル「翼の世界史チャンネル」で受験世界史の動画を配信。