ダーウェント峡谷の工場群
クロムフォード・ミルには1770年代に築かれたレンガ造りの建物が残る

遺産DATA

地域 : ヨーロッパ 保有国 : 英国(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国) 分類 : 文化遺産 登録年 : 2001年 登録基準 : (ii) (iv) 遺産の面積 : 12.287㎢ バッファ・ゾーン : 43.627002㎢ 座標 : N53 1 44 W1 29 17

about

一人の発明による、小さな寒村から工場の町への発展

ダーウェント渓谷の北から流れるダーウェント川の周囲に、かつてはヒツジが放牧されている小さな寒村がありました。18世紀後半、産業革命の時代になると、それまで人力で木綿から糸を生成した紡績機を使っていましたが、水力を使った工場がこの寒村の一つ、クロムフォード村に造られ、クロムフォード・ミルとして稼働しますこうして世界で初めて、水力を使った紡績技術を実現させたのがリチャード・アークライトです。その後このダーウェント川に沿って、ベルパー、ミルフォード、ダービーなど多くの村や街で工場ができ、一寒村であったこのエリアは一大工場地帯と変貌を遂げました 

安全で扱いやすい工業は、若者の労働を促し、そしてコミュニティ形成へ

アークライトによって寒村が一大工業地帯になっていったのには、単に彼の発明や工場の稼働だけではありません。もともと人口も少ない地方部であったため、何よりも労働力の確保が重要でした。工場長工場の労働者の管理だけでなく、彼らの住居を構え、その家族も管理していました。こうして職場や路上での不正行為に対する罰金などの条例、警備、および食料と福祉の提供など、一つのコミュニティを形成し、機能していったのです。当時、鉱物の採掘に若者の労働は危険を伴う一方、機械を使った紡績工業は比較的容易に働けたことも、若者の労働力の確保に繋がりました。こうした労働環境の整備はクロムフォードから、ベルパー、ダービー波及し、たな産業コミュニティの発展に寄与ました 

アクセス

ロンドンからノッティンガム駅まで鉄道で約1時間半。そこからダーウェントバレーラインに乗り換えてクロムフォード駅まで約1時間。

執筆協力者PROFILE

飯島 一隆
飯島 一隆
NPO法人世界遺産アカデミー客員研究員

前職(株)JTBにて約12年間、海外旅行のパッケージツアーの企画・造成に携わり、世界遺産も含めた観光地のプロモーションや送客に貢献。2021年より国土交通省 観光庁にて勤務、オーバーツーリズム対策や持続可能な観光地域づくりを担当し、現在に至る。世界遺産アカデミー客員研究員、(社)日本イコモス文化観光国内学術委員、(社)台湾世界遺産登録応援会アドバイザー。

遺産DATA

分類 : 文化遺産
登録年 : 2001年
登録基準 : (ii) (iv)
遺産の面積 : 12.287㎢
バッファ・ゾーン : 43.627002㎢
座標 :N53 1 44 W1 29 17

アクセス

ロンドンからノッティンガム駅まで鉄道で約1時間半。そこからダーウェントバレーラインに乗り換えてクロムフォード駅まで約1時間。

執筆協力者PROFILE

飯島 一隆
飯島 一隆
NPO法人世界遺産アカデミー客員研究員

前職(株)JTBにて約12年間、海外旅行のパッケージツアーの企画・造成に携わり、世界遺産も含めた観光地のプロモーションや送客に貢献。2021年より国土交通省 観光庁にて勤務、オーバーツーリズム対策や持続可能な観光地域づくりを担当し、現在に至る。世界遺産アカデミー客員研究員、(社)日本イコモス文化観光国内学術委員、(社)台湾世界遺産登録応援会アドバイザー。