about
地質学上きわめて重要な場所
グランマ号上陸記念国立公園は、キューバの南東部、シエラ・マエストラ山脈西側部分に位置する国立公園です。「グランマ号」はキューバの革命家フィデル・カストロが乗っていたヨットの名前で、グランマ号が上陸した岬があることが園名の由来となっています。この場所には、海上360mから海中180mに及ぶ石灰岩の海岸段丘が完全な形で残ります。海岸段丘とは、その名の通り海岸に沿って見られる階段状の地形のことです。地殻変動による隆起や海水面の低下によって、海面付近の浅く平らな海底が陸地となることが繰り返されて形成されます。この地域では、サンゴ礁由来の石灰岩が隆起して海岸段丘となり、その後の風化や溶食でカルスト地形が発達しました。最大100mの段丘崖を含む手つかずの景観や、直径77mのドリーネ(巨大な陥没穴)といった壮大なカルスト地形などが残ります。
地質学以外にも貴重な生態系、考古遺跡も
本遺産は、カリブ海プレートと北米プレートの境界上に位置しており、地質学的にも極めて重要な地域です。年間降水量が700〜1,200mmと少ない半乾燥気候であることから、独自の進化を遂げた生物が多く見られます。植物は500種のうち約60%にあたる12種が、爬虫類は約91%、両生類は87.5%がこの地域にしか生息していない固有種とされています。さらに一帯には先住民の儀式用の洞窟など、文化的にも貴重な考古遺跡が残っています。世界遺産には登録基準(vii)「自然の景観美」と、登録基準(viii)「地球の歴史」の2つが認められており、生物多様性や文化的価値は評価対象とはなっていません。しかし、この地域の生態系が貴重な場所であることに変わりはありません。
アクセス
首都ハバナからバヤモのカルロス・マヌエル・デ・セスベデス空港へ。そこから車で30分。
執筆協力者PROFILE
世界遺産検定初代マイスターの一人。地歴公民科の教諭として7年間大阪の公立高校で勤務。現在、世界遺産アカデミー認定講師として大学や私立中学で講義、授業を展開。また、自身のYouTubeチャンネル「翼の世界史チャンネル」で受験世界史の動画を配信。
アクセス
首都ハバナからバヤモのカルロス・マヌエル・デ・セスベデス空港へ。そこから車で30分。
執筆協力者PROFILE
世界遺産検定初代マイスターの一人。地歴公民科の教諭として7年間大阪の公立高校で勤務。現在、世界遺産アカデミー認定講師として大学や私立中学で講義、授業を展開。また、自身のYouTubeチャンネル「翼の世界史チャンネル」で受験世界史の動画を配信。
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