ドーラヴィーラ:ハラッパーの都市
精巧な石積みによる建築物の遺跡が残る。写真は貯水槽で、階段のような構造物も確認できる

遺産DATA

地域 : 西・南アジア 保有国 : インド 所在地 : Village Dholavira, Tehsil Bhachau, Kachchh district, Gujarat 分類 : 文化遺産 登録年 : 2021年 登録基準 : (iii) (iv) 遺産の面積 : 1.03㎢ バッファ・ゾーン : 48.65㎢ 座標 : N23 53 18.27 E70 12 47.9

about

インダス川流域から離れた場所にある交易都市遺跡

「古代四大文明」のひとつ「インダス文明(別名ハラッパー文明)」の代表的遺跡です。インダス側流域には紀元前3000年頃から人々が住み始め「モヘンジョ・ダーロ」や「ハラッパー」などの都市ができましたが、紀元前2000年頃から徐々に衰退して紀元前1500年頃にはほぼ廃墟となりました。文明衰退の理由は、川筋の移動や気候変動などが推測されていますが定かではありません。ドーラヴィーラはインダス川本流から少し離れた、インド西部のカッチ湿原に浮かぶカディール島にあり、雨季には2つの川が出現し水に囲まれます。また出土する工芸品などから、メソポタミア文明との交流があったことが窺われ、ここは古代文明間の水運交易の中継地であったとも言われます。

優れた水利システムがある快適な都市

ドーラヴィーラは、南北約600m×東西約800mのエリアに城塞と市街地があり、モヘンジョ・ダーロに似た多層構造です。建物の素材は近隣で採れる石灰岩で、水がよく浸透し、乾燥と暑さをしのぐ構造となっています。インダス文明の都市の特徴は優れた水利設備だと言われますが、ここドーラヴィーラでも雨水を効率的に集め、かつ雨季には川の水を取り入れて貯水槽に貯め、高い場所の貯水槽から低いところにある貯水槽や沐浴場へ流していく、洗練された水利システムがあります。また、インダス文明の諸遺跡で崩壊が進みつつあるものも多い中、ドーラヴィーラは人の手による破壊も自然災害や塩害もなく、保存状態が良い点も特徴です。

アクセス

パキスタンとの国境地帯にあり、遺跡に一番近い街ブジからバスで約5時間。

執筆協力者PROFILE

細谷 正文
細谷 正文
大東文化大学・フェリス女学院大学講師/NPO法人世界遺産アカデミー認定講師

早稲田大学卒業。損害保険会社勤務の傍ら世界遺産を勉強し、退職後いくつかの大学にて関連講座を担当。現在は大学講師と趣味の音楽(クラシック歌手)の二刀流。

遺産DATA

保有国 : インド
所在地 : Village Dholavira, Tehsil Bhachau, Kachchh district, Gujarat
分類 : 文化遺産
登録年 : 2021年
登録基準 : (iii) (iv)
遺産の面積 : 1.03㎢
バッファ・ゾーン : 48.65㎢
座標 :N23 53 18.27 E70 12 47.9

アクセス

パキスタンとの国境地帯にあり、遺跡に一番近い街ブジからバスで約5時間。

執筆協力者PROFILE

細谷 正文
細谷 正文
大東文化大学・フェリス女学院大学講師/NPO法人世界遺産アカデミー認定講師

早稲田大学卒業。損害保険会社勤務の傍ら世界遺産を勉強し、退職後いくつかの大学にて関連講座を担当。現在は大学講師と趣味の音楽(クラシック歌手)の二刀流。