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バッドランドと呼ばれる乾燥した原野に広がる州立公園
カナダのカナディアン・ロッキー南東に位置する「ダイナソール州立公園」は、バッドランド(樹木が育たない荒れ地)と呼ばれる乾燥した原野が広がる州立公園で、世界遺産には約78㎢が登録されています。荒涼としながらも卓越した自然美の景観を有するとして、登録基準(ⅶ)に該当しています。この地域は、太古の昔には亜熱帯気候にあり、一面に緑が生い茂り、ヤシの木や巨大なシダが繁茂していました。また、当時の大地には大河が内海へと流れ、サメやクロコダイルなど多様な動物が生息していたことが明らかになっています。
7,500万年前の白亜紀後期の地層
この一帯では、氷河期における浸食によって地層が露出し、7,500万年前の白亜紀後期の地層が地表に現れています。ここからは多数の恐竜化石が出土しており、1884年、考古学者ジョセフ・バール・ティレルにより肉食恐竜の頭蓋骨が発掘されたのを皮切りに、アルバートサウルスなど44種を超える恐竜化石,150体以上の完全な恐竜骨格が発見されています。同規模の面積において、これほど多様かつ大量の恐竜化石が発掘されている場所は他になく、世界最大級の恐竜化石層とされています。世界で知られている恐竜のおよそ5%がこの地から発見されており、今後もその数は増加すると見込まれています。
遺産の保護・保全の状況と化石の保護に向けた取り組み
世界遺産エリアの外縁部においても、開発の兆候はほとんど、あるいはまったく見られず、荒々しい自然の美しさは保持されています。最も重要な区域への一般人の立ち入りは厳しく制限されており、化石の収集も厳格に規制されています。将来的な施設開発についても、既存の施設区域内に限って許可されています。1992年には保護エリアの拡大が行われ、古生物学的資源、荒地の地形、河岸の生息地の保護が一層強化されました。また、この地の地下には重要な石油資源が存在していますが、採掘のための地表へのアクセスは許可されていません。エリア外で行われる採掘活動に対しても、視覚的および環境的影響が最小限となるよう、積極的な管理と厳重な監視が実施されています。
アクセス
カルガリー国際空港から東へ約200㎞、車で約2時間30分。
執筆協力者PROFILE
國學院大学文学部史学科卒。東海大学大学院文学研究科史学専攻修士課程修了。文学修士。NPO法人世界遺産アカデミー認定講師。世界遺産検定マイスター。歴史能力検定1級。世界史、世界遺産、ビッグヒストリーに関するさまざまな書籍の執筆・翻訳・監修を手掛けてきた。
アクセス
カルガリー国際空港から東へ約200㎞、車で約2時間30分。
執筆協力者PROFILE
國學院大学文学部史学科卒。東海大学大学院文学研究科史学専攻修士課程修了。文学修士。NPO法人世界遺産アカデミー認定講師。世界遺産検定マイスター。歴史能力検定1級。世界史、世界遺産、ビッグヒストリーに関するさまざまな書籍の執筆・翻訳・監修を手掛けてきた。
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