エチミアジンの大聖堂と教会群、およびズヴァルトノツの考古遺跡
630年に建てられた聖ガヤネ教会。この教会に用いられた建築様式は、アルメニアにとどまらず西アジアにも広まった

遺産DATA

地域 : ヨーロッパ 保有国 : アルメニア共和国 所在地 : Armavir Region 分類 : 文化遺産 登録年 : 2000年 登録基準 : (ii) (iii) 遺産の面積 : 0.743㎢ 座標 : N40 9 33.516 E44 17 42.5

about

アルメニアの教会史を伝える遺産

アルメニアのエチミアジン市に位置する当遺産は、市内および近郊地域から石器時代、青銅器時代、鉄器時代の遺跡が数多く確認されています。またアルメニア正教会の総本山としても機能しており、アルメニア独自の中央ドームを備えた教会建築が残されています。世界遺産には教会群や遺跡を含む3つのエリアが登録されており、世界最初のキリスト教国家であるアルメニアのキリスト教の歴史や教会建築の発展の様子を物語っています。

エチミアジン大聖堂

エチミアジン大聖堂は301年から303年にかけて建設されました。伝承によるとアルメニア正教会の創始者であるグレゴリウス・イルミネーターによって建設されたといわれています。また民間伝承では旧約聖書に登場する『ノアの方舟』とも関りがある場所とされています。聖槍ゲガルドや福音書記者のマタイやマルコの聖遺物など重要な聖遺物が保管されています。建設以降は周辺国から何度も侵攻や戦争による被害を受け、再建や修復を繰り返してきました。また長い歴史の中で改修工事や増築も何度か行われ、20世紀の改修工事の際には祭壇下の発掘調査も行われました。

ズヴァルトノツの考古遺跡

ズヴァルトノツの考古遺跡は世界遺産を構成する3つのエリアの一つに属し、大聖堂や宮殿、浴場、ワイン工房、井戸などの複合施設の遺跡が残っています。7世紀中頃に建設された大聖堂は10世紀後半の地震で崩壊してしまいました。19~20世紀にかけて発掘調査が本格的に行われるようになり、20世紀に入ると大聖堂は修復と改修が行われました。また同時に大聖堂の近くに博物館が建設されました。

ズヴァルトノツの考古遺跡
ズヴァルトノツの考古遺跡。かつてはここに高さ45mの教会が建っていた(ⒸMehmetOZB/Adobe Stock)

アクセス

首都エレバンから車で約30分。

執筆協力者PROFILE

角濱 さくら
角濱 さくら
NPO法人世界遺産アカデミー認定講師/大学生

筑波大学人文・文化学群人文学類在学。2021年度「世界遺産✕SDGsチャレンジ!」小論文部門、2022年度「世界遺産✕SDGs教員養成プログラム」で最優秀賞。現在は中央アジアを中心とする無形文化遺産の保護や活用について関心がある。

遺産DATA

所在地 : Armavir Region
分類 : 文化遺産
登録年 : 2000年
登録基準 : (ii) (iii)
遺産の面積 : 0.743㎢
座標 :N40 9 33.516 E44 17 42.5

アクセス

首都エレバンから車で約30分。

執筆協力者PROFILE

角濱 さくら
角濱 さくら
NPO法人世界遺産アカデミー認定講師/大学生

筑波大学人文・文化学群人文学類在学。2021年度「世界遺産✕SDGsチャレンジ!」小論文部門、2022年度「世界遺産✕SDGs教員養成プログラム」で最優秀賞。現在は中央アジアを中心とする無形文化遺産の保護や活用について関心がある。