
about
海洋生物の繁殖・越冬地
メキシコの北西部にあるエル・ビスカイノ鯨保護地区はコククジラやゼニガタアザラシ、シロナガスクジラなどの多くの海洋生物の繁殖・越冬地です。この地は世界中のコククジラの半分が誕生すると言われています。またラグーンには絶滅危惧種のウミガメも生息しています。保護区は2つの潟とその周辺の湿地や沼地を含む海域と内陸の砂漠や高山地帯を含み、内陸では砂漠気候に適応した動植物の生態系も確認できます。
鯨保護の先駆者としての歴史
コククジラは19世紀に北米の船舶の狩猟対象となりほぼ絶滅に追い込まれていました。しかしその後、1933年にメキシコは国際捕鯨取締条約に加盟し、1949年に国際捕鯨委員会に加盟します。1972年には当時の国際的なクジラ保護運動の影響を受けてオホ・デ・リエブレ礁湖を保護区に指定し、クジラ保護活動の先駆者となりました。また同時期にラムサール条約にも指定されました。その後も周辺の礁湖を保護区に制定し、1988年にエル・ビスカイノの鯨保護区が制定され、1993年に世界遺産に登録されました。
周辺の経済・漁業・密猟の影響を受ける保護区
エル・ビスカイノクジラ保護区のラグーンの一部はホエールウォッチングの中心であるとともに、工業規模の塩の採掘地の港があります。船舶の往来による海洋哺乳類への衝突や妨害、環境汚染のリスクが懸念されています。また乱獲や密猟の影響も受けています。そのため、メキシコ政府はホエールウォッチングのガイドラインの作成や、教育・研究以外での海洋哺乳類の捕獲を禁止する法律を制定し、生態系の保護に取り組んでいます。
アクセス
日本からメキシコまで直行便。メキシコからシウダード・オブレゴン国際空港またはイグナシオ・ペスケイラ・ガルシア将軍国際空港を経由してゲレロ・ネグロ空港へ。ゲレロ・ネグロからクジラ保護区までは、車で1時間半から2時間ほど。
執筆協力者PROFILE
筑波大学人文・文化学群人文学類在学。2021年度「世界遺産✕SDGsチャレンジ!」小論文部門、2022年度「世界遺産✕SDGs教員養成プログラム」で最優秀賞。現在は中央アジアを中心とする無形文化遺産の保護や活用について関心がある。
アクセス
日本からメキシコまで直行便。メキシコからシウダード・オブレゴン国際空港またはイグナシオ・ペスケイラ・ガルシア将軍国際空港を経由してゲレロ・ネグロ空港へ。ゲレロ・ネグロからクジラ保護区までは、車で1時間半から2時間ほど。
執筆協力者PROFILE
筑波大学人文・文化学群人文学類在学。2021年度「世界遺産✕SDGsチャレンジ!」小論文部門、2022年度「世界遺産✕SDGs教員養成プログラム」で最優秀賞。現在は中央アジアを中心とする無形文化遺産の保護や活用について関心がある。
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