エピダウロスにあるアスクレピオスの聖域
音響効果も考慮された大劇場。ギリシャ世界で最も美しい傑作と評される

遺産DATA

地域 : ヨーロッパ 保有国 : ギリシャ共和国 所在地 : Prefecture of Argolis, Region of the Peloponnesos 分類 : 文化遺産 登録年 : 1988年 登録基準 : (i) (ii) (iii) (iv) (vi) 遺産の面積 : 13.938㎢ バッファ・ゾーン : 33.864㎢ 座標 : N37 36 0 E23 4 50

about

治癒の神に捧げられてきた聖域

ペロポネソス半島東部の谷間に位置するエピダウロスは、医療の神アスクレピオスが祀られている聖地です。元々は先史時代から治癒の力をもつ神々に捧げられ、紀元前800年頃に治癒の神・アポロンの聖域となった丘がありました。その後紀元前6世紀頃までに、ギリシャ神話においてアポロンの息子とされ、人間の健康と幸福の守護神であるアスクレピオスに捧げられた聖域が、アポロンの聖域の丘から1kmほど離れた平地に築かれました。二柱の治癒の神の聖地であるエピダウロスには、ギリシャ中から病で苦しむ人々が訪れるようになりました。

古代ギリシャの一大医療センター

紀元前4世紀にはアスクレピオス神殿をはじめ、医療施設や運動施設、劇場、宿泊施設なども建設され、一大医療センターと変貌していきました。医療センターといっても治療にあたるのは医者ではなく祭司たちでした。病に悩んだ者たちは、神への祈りや催眠療法(エンコイメシス)、運動、入浴などを通じて「全身療法」を施していたのです。その中でも特に際立つのが、最大1万4,000人も収容できたとされる劇場です。この劇場は現存するギリシャの劇場で最も保存状態が良く、直径20mのオルケストラ(演舞場)でのささやきが、観客席の最上段でも良く聞こえるほどでした。また、患者たちはアバトンと呼ばれる仮眠所のベッドに横たわり、神託を待つ儀式も行われていました。ちなみに、ギリシャ語でベッドのことを「クリーニ」と呼び、今日のクリニックの語源となっています。エピダウロスは、神の奇跡による治癒が行われていた聖地から、記録と知識が蓄積するにつれて科学的な治療の場へと発展していきました。あらゆる方法で免疫力を高める治療方法は、現代におけるヒーリング効果を狙うものだったとされ、非常に評価されています。

アクセス

首都アテネから車で約2時間30分。

執筆協力者PROFILE

NPO法人世界遺産アカデミー認定講師

世界遺産検定初代マイスターの一人。地歴公民科の教諭として7年間大阪の公立高校で勤務。現在、世界遺産アカデミー認定講師として大学や私立中学で講義、授業を展開。また、自身のYouTubeチャンネル「翼の世界史チャンネル」で受験世界史の動画を配信。

遺産DATA

所在地 : Prefecture of Argolis, Region of the Peloponnesos
分類 : 文化遺産
登録年 : 1988年
登録基準 : (i) (ii) (iii) (iv) (vi)
遺産の面積 : 13.938㎢
バッファ・ゾーン : 33.864㎢
座標 :N37 36 0 E23 4 50

アクセス

首都アテネから車で約2時間30分。

執筆協力者PROFILE

NPO法人世界遺産アカデミー認定講師

世界遺産検定初代マイスターの一人。地歴公民科の教諭として7年間大阪の公立高校で勤務。現在、世界遺産アカデミー認定講師として大学や私立中学で講義、授業を展開。また、自身のYouTubeチャンネル「翼の世界史チャンネル」で受験世界史の動画を配信。