エッサウィーラ(旧名モガドール)の旧市街
ヨーロッパ風の壁に囲まれた要塞都市

遺産DATA

地域 : アフリカ 保有国 : モロッコ王国 分類 : 文化遺産 登録年 : 2001年 登録基準 : (ii) (iv) 遺産の面積 : 0.567㎢ 座標 : N31 30 50.8 W9 46 13.1

about

イスラムと調和したヨーロッパの軍事建築

絵描きやミュージシャンなど、多くの芸術家をも魅了するエッサウィーラは、モロッコの大西洋岸に位置します。ここが今のような街並みに形成されたのは、1765年です。当時この地域を支配していたアラウィー朝のスルタンは、外に開かれたモロッコ最大の国際貿易拠点にすることを目指しました。街の設計を担ったのが、フランス人建築家のニコラ・テオドール・コルニュです。ヴォーバン様式の影響を受けていたコルニュは、北アフリカにおけるこの港町にヨーロッパの機能的な軍事建築を取り入れ、再構築しました。イスラームの伝統的な街並みとそれらは調和し、異文化が融合した独自の景観を生み出しています。エッサウィーラという名は、「見事な設計」を意味します。

エッサウィーラ(旧名モガドール)の旧市街
多民族・多宗教が共存する、白漆喰が美しいモロッコの港町(©jon_chica/Adobe Stock)

「トンブクトゥの港」としてキャラバンの目的地にも

城壁で囲まれた旧市街には、スカラと呼ばれる堅牢な要塞があります。そこには海に向かって重厚な大砲が並ぶ砲台があり、ここがかつて海上交通を統制する上でも重要な役割を担っていたことが伺えます。スルタンが目指した貿易強化により、18世紀末から19世紀にかけて、エッサウィーラが国の商業中心地となっていくと、「トンブクトゥ(現在のマリ共和国)の港」としても知られるようになりました。それは、サハラ以南の地域から、奴隷を含む多様な商品や資源を運ぶキャラバンの目的地であったからです。

モスク、教会、シナゴーグ…異なる宗教施設の共存

モロッコやアフリカ大陸内部をヨーロッパとつなぐ国際貿易港として栄えたエッサウィーラには、ベルベル人やアラブ人のみならず、サハラ以南のアフリカやヨーロッパといった多様なルーツをもつ人々が共に暮らしていました。旧市街にイスラームのモスク、カトリック教会、ユダヤ教のシナゴーグといった異なる宗教施設が共存している事実は、当時のその地域の多様性を象徴しています。また、旧市街北側にはメラというユダヤ人街があります。王はこのユダヤ人コミュニティを通して、ヨーロッパとの関係を築き商業活動を促進させました。ユダヤ人たちは「王室商人」の称号を与えられ、社会的にも大きな特権を得ていました。

アクセス

カサブランカ、アガディール、マラケシュなどの主要都市からバスが出ている。カサブランカからは約7時間、アガディールからは約3時間30分、マラケシュからは約3時間。

執筆協力者PROFILE

記者(フリーランス)/NPO法人世界遺産アカデミー認定講師

北海道出身。高校時代にAFSでタイ王国へ交換留学。その後、同志社大学へ進学し、卒業後は専門紙記者として10年働いたのち、一般メディアで編集および取材活動に従事。世界遺産検定マイスター。特に好きな分野は、一神教などの宗教・信仰関連遺産。趣味は華道。

遺産DATA

地域 : アフリカ
保有国 : モロッコ王国
分類 : 文化遺産
登録年 : 2001年
登録基準 : (ii) (iv)
遺産の面積 : 0.567㎢
座標 :N31 30 50.8 W9 46 13.1

アクセス

カサブランカ、アガディール、マラケシュなどの主要都市からバスが出ている。カサブランカからは約7時間、アガディールからは約3時間30分、マラケシュからは約3時間。

執筆協力者PROFILE

記者(フリーランス)/NPO法人世界遺産アカデミー認定講師

北海道出身。高校時代にAFSでタイ王国へ交換留学。その後、同志社大学へ進学し、卒業後は専門紙記者として10年働いたのち、一般メディアで編集および取材活動に従事。世界遺産検定マイスター。特に好きな分野は、一神教などの宗教・信仰関連遺産。趣味は華道。