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フロリダ半島南端に広がる全米最大の湿原
フロリダ半島の南端に位置するエヴァーグレーズ国立公園は、アメリカ最大の湿原地帯に広がっており、その総面積は愛媛県とほぼ同じ、約5,670㎢に及びます。この広大な湿原は、最終氷期の終わりに水没した平坦な海底が起源とされています。最大幅は約150kmにも達しますが、水深は平均してわずか30cmほどで、水源であるオキーチョビー湖から南方のフロリダ湾に向けて、1日に数cmから数十mのゆるやかな速度で水が流れています。湿原の上流部には、「ハンモック」と呼ばれるわずか数cmの高さの小島が点在しており、常緑高木や熱帯植物が繁茂しています。下流の海岸地帯では、淡水と海水が混ざり合う汽水域にマングローブ林が広がっています。エヴァーグレーズ国立公園では、海水と淡水、温帯と熱帯が交差することにより、極めて多様で複雑な生態系が形成されており、固有種を含む1,000種以上の植物と、アリゲーターおよびクロコダイルの2種のワニを含む700種以上の動物が生息しています。
2度にわたり危機遺産リストに登録
周辺地域の開発が進行した影響により、1930年代以降、湿原内の魚類は約80%、鳥類は約90%が減少し、現在もなおフロリダピューマやアメリカマナティなど、50種以上の動物が絶滅の危機に瀕しています。また、公園内では多数の外来種による生態系への影響も深刻であり、特にビルマニシキヘビの繁殖が大きな問題となっています。エヴァーグレーズは1947年にアメリカ政府により国立公園に指定されましたが、マイアミをはじめとする周辺都市が大量の生活用水を湿原から取水していることにより、地下水位の低下や水質汚染が進行しました。その結果、1993年にはユネスコの危機遺産リストに登録されました。その後、商業漁業の禁止や湿地回復プロジェクトの実施により、2007年にリストから除外されましたが、水質の改善が進まず、2010年には再び危機遺産に登録されることとなりました。現在では、上流域における流量回復および水質改善プロジェクトが進められており、公園を含む生態系の中心部分における流量の回復が目指されています。
アクセス
マイアミ国際空港からホームステッドにある国立公園入口まで車で約50分。
執筆協力者PROFILE
國學院大学文学部史学科卒。東海大学大学院文学研究科史学専攻修士課程修了。文学修士。NPO法人世界遺産アカデミー認定講師。世界遺産検定マイスター。歴史能力検定1級。世界史、世界遺産、ビッグヒストリーに関するさまざまな書籍の執筆・翻訳・監修を手掛けてきた。
アクセス
マイアミ国際空港からホームステッドにある国立公園入口まで車で約50分。
執筆協力者PROFILE
國學院大学文学部史学科卒。東海大学大学院文学研究科史学専攻修士課程修了。文学修士。NPO法人世界遺産アカデミー認定講師。世界遺産検定マイスター。歴史能力検定1級。世界史、世界遺産、ビッグヒストリーに関するさまざまな書籍の執筆・翻訳・監修を手掛けてきた。
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