about
ムガル帝国第3代皇帝アクバルが世継ぎ誕生を記念して建設
ファテープル・シークリーは、インドの古都アーグラ近郊にあるムガル帝国の都の遺跡です。1571年、3代皇帝アクバルは、イスラム神秘主義者スーフィーの聖者シャイフ・サリーム・チシュティーが、息子(後の4代皇帝ジャハーンギール)の誕生を予言した場所に新たな都市の建設を開始しました。当時アクバルが西部グジャラート地方での戦いに勝利したことにちなみ、「勝利の都市」を意味するファテープル・シークリーと名付けられ、1573年に完成しました。しかし水不足や酷暑、またアフガン民族との戦いから、わずか14年後の1585年にラホールへと遷都されました。1619年には、疫病が流行したアーグラから避難したジャハーンギールが約3ヵ月間滞在しましたが、その後は完全に放棄されました。
皇帝の公的・私的空間を兼ね備えた「宮廷地区」
この都市は9つの門を持つ約6kmにおよぶ城壁に囲まれています。内部は幾何学的な都市計画に基づいて建設されており、格子状に延びる街路や排水システムを備えていました。皇帝の行政関連施設が並ぶ「宮廷地区」とモスクや霊廟のある「モスク地区」の2つのエリアがあり、それぞれに重要な建物が並んでいます。ほとんどの建物が赤砂岩でつくられているため、全体として赤い印象です。「宮廷地区」には皇帝の納涼のためにつくられた、壁のない5層の吹き抜け構造の「パンチ・マハル」や、謁見のための施設「ディワーネ・アーム」などがあります。
宗教的建造物が並ぶモスク地区
「モスク地区」には、約1万人を収容できるインド最大級のモスク「ジャーマ・マスジド(金曜モスク)」があります。中庭にあるサリーム・チシュティーの霊廟は白大理石で築かれており、精緻な彫刻が施されています。また、中庭の南側には高さ40mを超える門「ブランド・ダルワーザ」があります。これらは他のイスラム建築のようにドームやアーチを多用せず、インド古来の様式をベースにしています。これはアクバル帝の諸民族・諸宗教融和策を表しているともいわれています。
アクセス
首都デリーからアーグラまで200㎞、特急列車で約2時間。アーグラから遺跡までバスで約1時間。
執筆協力者PROFILE
早稲田大学卒業。損害保険会社勤務の傍ら世界遺産を勉強し、退職後いくつかの大学にて関連講座を担当。現在は大学講師と趣味の音楽(クラシック歌手)の二刀流。
アクセス
首都デリーからアーグラまで200㎞、特急列車で約2時間。アーグラから遺跡までバスで約1時間。
執筆協力者PROFILE
早稲田大学卒業。損害保険会社勤務の傍ら世界遺産を勉強し、退職後いくつかの大学にて関連講座を担当。現在は大学講師と趣味の音楽(クラシック歌手)の二刀流。
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