about
イスラム建築の残るモロッコの古都
モロッコ北部、セブ川中流の内陸都市フェズは、8世紀末イドリース朝のイドリース2世によって建設されたモロッコ最古のイスラム都市です。13世紀のマリーン朝時代に発展し、西方イスラム宗教や学術の中心となり、現在でも中世イスラム都市の姿が残っています。都市空間の本来の機能と特性の大部分が完全な状態で保存されている点にフェズの遺産としての価値があります。建築や考古学、都市景観だけでなく、存続する暮らしぶりや技術、文化が維持され今日にも伝えられています。

10世紀以上の歴史をもつ都
フェズの歴史は古く、イドリース朝によって8世紀にはすでに街が築かれたという記録が残っています。11世紀になるとムラービト朝によって街は一つの城壁で再統合されました。12、13世紀にはモハド朝期には旧市街はすでに現在の規模にまで成長していました。13世紀から15世紀のメリニド朝には旧市街の西に新市街が築かれ、そこには王宮や軍本部、要塞、住宅地なども築かれました。16世紀のサアド朝の統治下でフェズは一時的に衰退しましたが、1666年に再び首都として復興しました。

成長する古代都市
フェズの市街は現在も多くの人々が暮らしており、人口は構成資産外も含めて100万人を超えます。そのため保護地区外周辺では制御されていない都市開発や、都市の劣化や過密人口が大きな都市問題となっています。またフェズは当時の伝統的な都市空間が残っている一方、未舗装な道路も多く、未承認な道路舗装や開発、排水収集装置の設置など景観や環境問題も抱えています。フェズでは関係機関との連携やプロジェクト等を立ち上げ、これらの脅威から遺産を保護する取り組みを行っています。
アクセス
日本からの直行便はないため、ヨーロッパや中東で乗り継ぐ必要がある。
執筆協力者PROFILE
筑波大学人文・文化学群人文学類在学。2021年度「世界遺産✕SDGsチャレンジ!」小論文部門、2022年度「世界遺産✕SDGs教員養成プログラム」で最優秀賞。現在は中央アジアを中心とする無形文化遺産の保護や活用について関心がある。
アクセス
日本からの直行便はないため、ヨーロッパや中東で乗り継ぐ必要がある。
執筆協力者PROFILE
筑波大学人文・文化学群人文学類在学。2021年度「世界遺産✕SDGsチャレンジ!」小論文部門、2022年度「世界遺産✕SDGs教員養成プログラム」で最優秀賞。現在は中央アジアを中心とする無形文化遺産の保護や活用について関心がある。
Similar Heritage
特徴が似た遺産を探す