ウフィツィ美術館
ヨーロッパ最古の美術館の1つであるウフィツィ美術館

構成資産DATA

フィレンツェ市に遺贈されたメディチ家の美術品コレクション

コジモ1世は、フィレンツェのさまざまな場所に点在していた行政機関を一カ所にまとめることを目的に、ジョルジョ・ヴァザーリに行政庁舎の建設計画を依頼します。1560年に始まった建設は、13の事務所が集められ1580年に完成しました。ウフィツィというのは、イタリア語のオフィス(ウフィッチオ)の複数形です。コジモ1世はヴェッキオ宮殿とピッティ宮殿を結ぶ回廊の建設も命じ、1565年にはフランソワ1世とジョアンナの結婚を記念してウフィツィとピッティ宮殿を結ぶヴァザーリの回廊も建設されました。フランチェスコ1世はウフィツィの最上階を美術品の展示スペースとし、フランチェスコ1世の後を継いだ弟のフェルディナンド1世は、コジモ1世の遺言に従い肖像画コレクションをヴェッキオ宮殿からウフィツィに移しました。1737年にメディチ家のジャン・ガストーネ大公が後継者を残さずに亡くなると、妹のアンナ・マリア・ルイーザ・デ・メディチは「メディチ家の財産はフィレンツェのもの」として美術品コレクションの全てをフィレンツェ市に遺贈し、ウフィツィ美術館として公開されています。

ウフィツィ美術館
シニョーリア広場に面してコの字型をしている(ⒸTravelFlow/AdobeStock)

イタリア・ルネサンス美術品の宝庫

ウフィツィ美術館には、アレサンドロ・ボッティチェリの『春(プリマヴェーラ)』や『ヴィーナスの誕生』、レオナルド・ダ・ヴィンチの『受胎告知』、ミケランジェロ・ブオナローティの『聖家族』などのルネサンス期を代表する絵画を中心に、ルネサンス以前のチマブーエの『サンタ・トリニタの聖母』やジョット・ディ・ボンドーネの『オンニサンティの聖母』などの板絵、バロック期のミケランジェロ・カラヴァッジョの『バッカス』など多くの美術品が展示されています。

ヴィーナスの誕生
サンドロ・ボッティチェッリの『ヴィーナスの誕生』

執筆協力者PROFILE

宮澤 光
宮澤 光
NPO法人世界遺産アカデミー主任研究員

北海道大学大学院博士後期課程を満期単位取得退学。仏グルノーブル第Ⅱ大学留学。2008年より現職。世界遺産に関するさまざまな書籍の編集・執筆・監修を手掛けるほか、「チコちゃんに叱られる!」(NHK)などの多くのメディア出演や、全国各地で100本を超す講演・講座を実施している。著書に『13歳からの世界遺産』(マイナビ出版)、『世界遺産のひみつ』(イースト・プレス)など。

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執筆協力者PROFILE

宮澤 光
宮澤 光
NPO法人世界遺産アカデミー主任研究員

北海道大学大学院博士後期課程を満期単位取得退学。仏グルノーブル第Ⅱ大学留学。2008年より現職。世界遺産に関するさまざまな書籍の編集・執筆・監修を手掛けるほか、「チコちゃんに叱られる!」(NHK)などの多くのメディア出演や、全国各地で100本を超す講演・講座を実施している。著書に『13歳からの世界遺産』(マイナビ出版)、『世界遺産のひみつ』(イースト・プレス)など。