構成資産DATA
フィレンツェ市内で最も高い塔
ヴェッキオ宮殿は、アルノルフォ・ディ・カンビオの設計で1298年から建設が始まりました。ローマ教皇を支持するゲルフ(教皇派)に敗れた、神聖ローマ皇帝を支持するギベリン(皇帝派)の貴族の邸宅跡に建てられたプリオーリ宮殿(政務官の宮殿)を増築する形で建設され、権力の象徴として建てられた高くそびえる塔はアルノルフォの塔とも呼ばれます。シニョーリア宮殿(領主の宮殿)と呼ばれていましたが、1540年からコジモ1世の邸宅として使用され、新たにピッティ宮殿が建設されてコジモ1世がそちらに移ってからは、ヴェッキオ宮殿(古い宮殿)と呼ばれるようになりました。
逸話も芸術作品も豊富な内部
ヴェッキオ宮殿では、ゲルフ様式の凹型の胸壁とギベリン様式の燕尾型の胸壁を見ることができます。アルノルフォの塔の中には、アルベルゲットと呼ばれる独房があり、1433年にはコジモ1世が、1498年にはジローラモ・サヴォナローラが投獄されていました。他にも「フランチェスコ1世の書斎」や「ユリの間」などがあり、サヴォナローラが権力を持っていた時代に作られた「五百人広間」には、レオナルド・ダ・ヴィンチ作の壁画「アンギアーリの戦い」が隠されていると考えられています。また、シニョーリア広場に面する入口前にはミケランジェロ作の「ダヴィデ像」のレプリカが展示されています。
執筆協力者PROFILE
北海道大学大学院博士後期課程を満期単位取得退学。仏グルノーブル第Ⅱ大学留学。2008年より現職。世界遺産に関するさまざまな書籍の編集・執筆・監修を手掛けるほか、「チコちゃんに叱られる!」(NHK)などの多くのメディア出演や、全国各地で100本を超す講演・講座を実施している。著書に『13歳からの世界遺産』(マイナビ出版)、『世界遺産のひみつ』(イースト・プレス)など。
構成資産DATA
執筆協力者PROFILE
北海道大学大学院博士後期課程を満期単位取得退学。仏グルノーブル第Ⅱ大学留学。2008年より現職。世界遺産に関するさまざまな書籍の編集・執筆・監修を手掛けるほか、「チコちゃんに叱られる!」(NHK)などの多くのメディア出演や、全国各地で100本を超す講演・講座を実施している。著書に『13歳からの世界遺産』(マイナビ出版)、『世界遺産のひみつ』(イースト・プレス)など。