乳香の大地:交易路と関連遺跡群
豊かな香りと効能から、古代より珍重されてきた乳香。オマーンは現在も乳香の産地として名高い

遺産DATA

地域 : 西・南アジア 保有国 : オマーン国 所在地 : Dhofar Province 分類 : 文化遺産 登録年 : 2000年 登録基準 : (iii) (iv) 遺産の面積 : 8.4988㎢ バッファ・ゾーン : 12.4324㎢ 座標 : N18 15 11.988 E53 38 51.3

about

金と同じ価値を備えた乳香

乳香とは、カンラン科の樹木から採取された樹脂を固めたものです。ミルクのような乳白色が特徴的なことから乳香と呼ばれており、フランキンセンスとも言います。なんと紀元前1000年頃から、金と同程度の価値があるとされ、最高級の香料として珍重されていました。オマーン南部のドファール地方はその乳香の世界最大の産地として知られ、乳香貿易で栄えました。構成資産としては4存在し、これらは卓越した南アラビア文明の証拠として今も厳重に保全されています。 

「海のシルクロード」としての重要地

ドファーリ地方は、地理的にも「海のシルクロード」の一部として重要でした。構成資産となっているホール・ルーリとアル・バリード古代の港であり、その歴史を伝えてくれています。ホール・ルーリは、ドファール地方の中心都市ラーラから東に40kmのところにあり、淡水河口(ホール)東岸の丘の上にあります。およそ紀元前4世紀から後5世紀に栄えた港町で、当時の要塞や乳香の貯蔵庫が発見されています。また、アル・バリードは8世紀から16世紀にかけて繁栄した港湾都市中国やその他の国と乳香貿易をしたことで栄えました。ポルトガル等のヨーロッパ諸国の台頭により徐々に衰退しますが、1,500年近くにわたり、これら2つの港町は周辺地域を潤わせました。また、ワジ・ダウカ乳香公園では今でも乳香の木々が自生しており、収穫されています。 

アクセス

首都マスカットから飛行機でサラーラへ、サラーラから車で約40分。

執筆協力者PROFILE

藤井 翼
藤井 翼
NPO法人世界遺産アカデミー認定講師

世界遺産検定初代マイスターの一人。地歴公民科の教諭として7年間大阪の公立高校で勤務。現在、世界遺産アカデミー認定講師として大学や私立中学で講義、授業を展開。また、自身のYouTubeチャンネル「翼の世界史チャンネル」で受験世界史の動画を配信。

遺産DATA

保有国 : オマーン国
所在地 : Dhofar Province
分類 : 文化遺産
登録年 : 2000年
登録基準 : (iii) (iv)
遺産の面積 : 8.4988㎢
バッファ・ゾーン : 12.4324㎢
座標 :N18 15 11.988 E53 38 51.3

アクセス

首都マスカットから飛行機でサラーラへ、サラーラから車で約40分。

執筆協力者PROFILE

藤井 翼
藤井 翼
NPO法人世界遺産アカデミー認定講師

世界遺産検定初代マイスターの一人。地歴公民科の教諭として7年間大阪の公立高校で勤務。現在、世界遺産アカデミー認定講師として大学や私立中学で講義、授業を展開。また、自身のYouTubeチャンネル「翼の世界史チャンネル」で受験世界史の動画を配信。