about
「砂漠の真珠」と称されるオアシス都市
リビア西端にあるカダーミスはアルジェリアとチュニジアの国境付近に位置しています。紀元前8世紀からサハラ砂漠の交易中継地点として栄え、その後はローマ帝国やビザンツ帝国、イスラム勢力やオスマン帝国の支配下に入りました。街の壁は日干しレンガの上に石灰を塗った白い建物が特徴的で、オアシスの中に佇む街は「砂漠の真珠」と称されています。シンプルな外観とは対照的に屋内はマグレブ美術の影響を受けた幾何学的な装飾が扉や窓周辺に施されています。

高温環境への工夫が施された居住空間
ガダーミスの住居は砂漠の乾燥地帯という厳しい自然環境に適応するための工夫が随所にみられます。白く塗られた建物は強い太陽の光を反射し、室内温度を低くする効果があると言われています。街の周辺にはヤシの木が植えられており、気温を下げる効果があります。住宅の室内は1階が倉庫で2階が居住空間になっています。最上階は女性用のスペースになっています。ほかにも室内を涼しくするために大きな窓を設けないなどの工夫があります。そのため外の気温が50℃でも室内の気温は20℃前後を保つことができると言われています。
危機に直面してきた街
ガダーミスの街は1970年代末に水が枯渇し、住民が街を離れたという過去があります。またその時に多くのヤシの木も枯れてしまいましいた。その後すぐに復旧・復興活動が行われました。しかし2000年代に入ると国内の紛争や遺産周辺の武装集団の出現など国内情勢の不安定さに加え、山火事や、集中豪雨などの自然災害も重なり2016年に危機遺産リストに記載されました。その後地元当局と複数の協力機関のもと歴史的建造物やインフラの修復が行われました。また住民への研修の実施やリスクの管理・予防計画が評価され、2025年に危機遺産リストから削除されました。
アクセス
首都トリポリから南西に約600km。2025年10月現在、外務省よりリビアにはほぼ全域に危険レベル4の退避勧告が出ている。
執筆協力者PROFILE
筑波大学人文・文化学群人文学類在学。2021年度「世界遺産✕SDGsチャレンジ!」小論文部門、2022年度「世界遺産✕SDGs教員養成プログラム」で最優秀賞。現在は中央アジアを中心とする無形文化遺産の保護や活用について関心がある。
アクセス
首都トリポリから南西に約600km。2025年10月現在、外務省よりリビアにはほぼ全域に危険レベル4の退避勧告が出ている。
執筆協力者PROFILE
筑波大学人文・文化学群人文学類在学。2021年度「世界遺産✕SDGsチャレンジ!」小論文部門、2022年度「世界遺産✕SDGs教員養成プログラム」で最優秀賞。現在は中央アジアを中心とする無形文化遺産の保護や活用について関心がある。
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