グレート・スモーキー山脈国立公園

煙のような特徴的な霧に包まれた山

グレート・スモーキー山脈国立公園は、アメリカ合衆国東部のアパラチア山脈南部、ノース・カロライナ州とテネシー州の州境に位置しており、東京都とほぼ同じ面積を誇る広大な公園です。国立公園の名前は、煙のような特徴的な霧に包まれた山々に由来しています。広大な原生林と澄んだ小川の美しい景観を備え、並外れた自然美を誇っています。20万ヘクタールを超えるこの国立公園は、アパラチア山脈南部における最大級の手つかずの森林生態系の一つであり、北米に残る落葉樹、温帯、原生林の大規模地域の一つです。敷地の90％以上は原生林としての価値を考慮して管理されています。

3,500種を超える非常に豊かな植物相

グレート・スモーキー山脈国立公園は、3,500種以上の非常に豊かな植物相を誇っています。最終氷期に氷河作用を免れたこの地域は、北米の他の地域で失われた多くの温帯および亜寒帯の種の避難所となり、その結果、驚くべき植生の多様性が生まれました。公園内では、1,300種以上の維管束植物が確認されており、その中には100種の在来樹木が含まれています。さらに450種のコケ植物、約50種のシダ類とその近縁種がこの地を彩ります。この豊かな植物相は、標高、降雨量、気温、地質、傾斜、方位といった多様な環境要因によって形成されています。落葉広葉樹林と常緑針葉樹林が優勢ですが、草原、湿地、崖など、様々な植生が見られます。長い年月を経て回復した森林は、原生林から遷移段階の森林まで、多様な姿を見せています。

66種の在来哺乳類からなる多様な動物相

グレート・スモーキー山脈国立公園は、多様な動植物相の宝庫であり、その動物相は特に豊かです。哺乳類は66種を数え、小型のオポッサムやコウモリから、クマ、オオカミ、シカなどの大型哺乳類まで多様な種が生息しています。鳥類も240種が記録されており、留鳥や渡り鳥が四季を通じて観察できます。特筆すべきは両生類の多様性で、31種のサンショウウオが生息しており、中には体長50cmに達する世界最大級のサンショウウオ、ヘルベンダーも含まれています。また、50種以上の魚類、80種以上の爬虫類、そして膨大な数の無脊椎動物が生息しており、その多様性は計り知れません。この豊かな生態系は、公園の重要な特徴の一つです。